社内複業が組織のウェルビーイング向上に寄与 ロート製薬、「社内ダブルジョブ制度」の効果検証
ロート製薬株式会社(大阪府大阪市)は12月4日、部門の枠を超えて、他部署と兼務する「社内ダブルジョブ制度」の効果検証を実施し、その結果を発表した。独自指標の「Well-beingポイント」に影響を与えているかの効果を検証し、同制度に自ら手を挙げた実践者のWell-beingポイントが上昇したのみならず、同じ部門で働く同僚においてもポイントが上昇することを確認したとしている。
ロート製薬の経営理念や価値観、行動規範に関連する「Well-beingポイント」
同社はウェルビーイングな社会の実現に貢献し続けるため、社員一人ひとりの自律・成長を経営の中心に置き、個人と会社の成長を目指す、さまざまな取り組みを実施してきた。「社内ダブルジョブ制度」もその一環だ。
同社では、社員一人ひとりが、どのような状態で日々仕事と向き合っているのかを把握するため、5つの質問で10段階の自己評価をする「Well-beingの振り返り」を、2021年から年2回実施。すべての雇用形態の全社員が対象で、各項目が同社の経営理念や価値観、行動規範に関連している。
こうした「Well-beingポイント」を重要な経営指標の一つとして、数々の施策を企画・実施。指標は以下の通り。
・私は仕事を通じて社会に役立ち、貢献することができている
・私は楽しく仕事に取り組み、生活を豊かにすることができている
・私は仕事を通じて成長した実感が持てている
・私は将来目指す目標があり、今後のキャリア形成に期待を持っている
・私はチームの一員としてチームワークに貢献できている
組織の活性化に寄与 「社内ダブルジョブ制度」が同僚にも変化を及ぼす
効果検証では、社内ダブルジョブ制度が、Well-beingポイントの5つの指標にどんな影響を及ぼしているかについて分析を実施。その結果、社内ダブルジョブ制度は、自ら手を挙げて兼務を実践する本人だけではなく、同じ部門で働く同僚にもポジティブな効果をもたらすことがわかったという。
具体的には、5つの指標のうち、本人の「2.楽しさや豊かさ」「3.成長実感」「4.キャリア形成に対する期待感」が向上。さらに、同じ部門で働く同僚の「3.成長実感」が向上することがわかったとしている。
また、実践している社員からは、社内ダブルジョブ制度への挑戦が社員の視野を広げ、仕事の意味や価値を再認識する契機となっていることが示唆された。その経験や学びを周囲に共有することで、同僚やチーム全体へ良い影響が波及し、組織の活性化に寄与している可能性が考えられるという。
賞賛や承認の文化形成を狙う「39メッセージ」にも好影響
同社の賞賛や承認の文化形成に資する一例として「39(サンキュー)メッセージ」施策がある。社員同士がお互いに感謝の気持ちを伝え合い、賞賛や承認の文化を根付かせるための取り組みだ。
歩く・ドリルに回答など健康的な生活習慣の実施状況に応じてもらえる社内健康通貨「ARUCO(アルコ)」が、感謝の気持ちを伝え合うことで貯まる。部門を超えて、感謝の輪を自然と広げることにつながっている
今回の効果検証でも、組織の中で相対的に多く39メッセージを受け取ると、「1.貢献実感」、「2.楽しさや豊かさ」、「4.キャリア形成に対する期待感」、「5.チームワーク」が向上する傾向があることがわかったとしている。
同社は10月に週3・4日勤務を選択可能な「ビヨンド勤務」を創設。社員自らの意思でキャリアを描ける環境づくりが制度導入の目的で、複業やリスキリング、資格取得や社会活動など、残りの日数を、自己成長や自己実現のための活動に充てることを条件としている。
同社の発表の詳細は公式リリースより確認できる。