清水エスパルスユースの中盤トリオ、矢田龍之介・小竹知恩・土居佑至が世界と戦って感じたこと<SBSカップ国際ユースサッカー>
清水エスパルスユースの中核を担う矢田龍之介、小竹知恩、土居佑至の3人がSBSカップ国際ユースサッカーに静岡ユース(県選抜)の一員として出場した。海外志向の強い清水ユースの中盤トリオはアルゼンチンや韓国と戦って何を感じたかー。(シズサカ編集部・南部明宏)
矢田龍之介「全部が楽しかった」
どんなに敵が密集していても隙間から顔をのぞかせ、ボールを受ける。涼しげな顔でさばく。攻撃のスイッチを入れる…。豊富な国際経験に裏打ちされた自信があるからだろう。相手が海外勢でも、矢田龍之介のプレーは良い意味でいつも通りだった。
3試合すべてにボランチで先発出場した。最大の見せ場だったのはU-18日本代表戦の後半20分。右サイドをえぐった山崎絢心(富士市立高)の折り返しに合わせ、右足でコントロールショットを放った。惜しくも相手GKのファインセーブに遭ったが、2列目からの積極的な飛び出しはU-18日本代表・船越優蔵監督への十分なアピールになった。
「(静岡ユースの)内藤監督のつくろうとした静岡のサッカーが魅力的で楽しかったです。下から下からビルドアップしていく静岡のサッカーができて、本当に全部楽しかった」。3試合を終え、ロッカールームから出てきた矢田の表情は充実感に満ちていた。
小竹知恩「最後の質が課題」
左サイドで見せる突破はパワフルかつスピーディー。海外チームが相手でも、ボールを預ければ高い確率でクロスやシュートまでこぎつけた。前方にスペースがあった時のドリブルの破壊力はユース年代では群を抜いているだろう。
小竹が最もゴールに迫ったのはU-18日本代表戦の前半19分。左足のサイドキックで狙いすましたミドルシュートを放ったが、必死に指先を伸ばしたGKにコースを変えられた。
「相手を抜き切ることはできても、決めきるところやクロスの質はまだ足りないと思いました。最後の質はこれからの課題です」。自身の現在地を確認する大会になった。
ナイジェリア人の父を持ち、身体能力は一級品。すでにルヴァンカップでトップチームデビューも果たしている期待のサイドアタッカーだ。荒削りな部分は残っていても、周りから見ればそれは「伸びしろ」に過ぎない。
「国際試合は久々だったので、『アルゼンチンはこんなに足が伸びてくるんだ』とか独特な部分を感じました。将来は海外でプレーしたいので、各国の代表と戦えて刺激になりました」。高いポテンシャルをこれからどこまで生かすことができるか。
土居佑至「点に絡みたかった」
“飛び級”で招集された右サイドを主戦場とするドリブラーは2戦目のU-18日本代表戦に先発し、3戦目のU-18韓国代表戦は後半途中からピッチに立った。
「チームとしてまとまっていたし、自分も初日から溶け込みやすかったです。遠慮せずにできました」
U-18日本代表戦の後半5分、清水ユースの先輩小竹知恩のクロスのこぼれ球に反応してシュートを放つなど見せ場はつくった。
ただ、得意のカットインから好機を演出することはできず、最終日に取材エリアに現れた土居は「コンディションも整えていたので得点に絡みたかったです」と悔しげに3試合を総括した。
現在はU-17日本代表でも活躍中。1年後のSBSカップでは、静岡ユースの大黒柱として、またはU-18日本代表のサイドアタッカーとして異彩を放つことができるか。「今大会は外国人ならではの雰囲気を肌で感じました。これを基準にしてやっていかないと」。世界を見据えるレフティーの表情が引き締まった。