【小田原 体験スポットレポ】鈴廣かまぼこ博物館 - 鈴廣の手づくり体験教室でMYかまぼこを作ってみよう
小田原に来たら必ずチェックするお土産といえば「かまぼこ」。多種多様なかまぼこが、駅の売店や商店街で売られていますが、どんな魚を原料にして、どんな工程を経て作られているのかは案外知らないものです。
今回は、そんな謎に満ちたかまぼこ作りを体験できるという「鈴廣のかまぼこ博物館」に行ってきました!
風祭駅直通のかまぼこテーマパーク
JR小田原駅から箱根登山鉄道に乗り、揺られること2駅。「風祭駅」で下車し、南口改札を一歩出ると、老舗かまぼこ店「鈴廣」が手がける「かまぼこの里」の世界が広がっています。
「かまぼこの里」とは、風祭駅直通の鈴廣のかまぼこ施設一帯を指しており、目的地の「かまぼこ博物館」もその施設のひとつなのだそうです。
涼しげな風鈴のアーチの下をくぐって「鈴なり市場」に入ります。全体に活気があり、かまぼこの食べ比べや、干物やご当地ビールなど、かまぼこ以外にもさまざまなお土産が販売されていました。そのまま通路をまっすぐ通り抜けます。
「鈴なり市場」を抜け、右手に曲がると「鈴廣かまぼこ博物館」が見えてきます。
まわりには鈴廣蒲鉾本店があり、甘味処があり、道路を挟んで向こうには、レストランがありと、一日遊べるテーマパークになっています。想像以上の広さです。
3種類の体験教室
「鈴廣かまぼこ博物館」に到着しました。かまぼこ作りを体験できるのは1階の「伝統と技」のフロアです。
まずは「鈴廣かまぼこ博物館」のカウンターで参加費を支払います。現金以外にもカードやQRコード決済も使えました。体験教室の番号が振られた受付票をいただき、最後まで大切に持っていてくださいと言われました。
体験教室は「かまぼこ・ちくわ手づくり体験教室」「ちくわ手づくり体験教室(※水曜日のみ)」「あげかま手づくり体験教室」の3種類から選ぶことができます。
わたしは「かまぼこ・ちくわ手づくり体験教室」の第4回目、13時30分からの回に参加しました。体験教室は1日5回開催しているので、旅程に合わせて選択することができます。当日予約は空きがあれば可能だそうですが、前もってネット予約しておいた方が確実に参加できそうです。
大人も熱中!かまぼこ作り
集合時間の13時10分には、すでに20名の参加者が集まっていました。紙エプロンとぼうしをかぶってキッチンに入る準備をします。荷物はコインロッカーか、無料で使える荷物置き場に預けることができます。
準備が整いました。講師の方の指示に従ってキッチンに入り、しっかり手を洗います。
10人で囲む広いまな板の上には、すでに材料や道具が用意されていました。受付票に書かれた番号の振られているかまぼこ板が今日の自分の持ち場です。
講師の方がすり身の説明をしてくださいます。小田原産のかまぼこは、主にグチと呼ばれる白身魚を原料としており、手前の大きなすり身のかたまりは魚5匹ぶん、奥の小さなすり身は魚3匹ぶんの身が入っているそうです。
まずはかまぼこからつくっていきます。
職人さんが登場して、お手本を見せてくださいました。素早い包丁さばきですり身を練り、板の上に成形します。包丁を左右に振っているあいだにかまぼこが出来上がったようなスピードで、周りからも拍手が上がります。
次は参加者の番です。講師の方の説明を聞きながら、ゆっくりと工程を踏みながらつくっていきます。
かまぼこ専用の刃がない包丁を、人差し指を添えるようにして持ち、手前のすり身をまな板に押し付けるようにして伸ばしていきます。
最初のすり身は固くて、練り始めには力が要ります。右、左、右、左、と伸ばしていくと、だんだん柔らかくなり、ツヤが出てきたように見えます。これは気泡を抜く作業で、かまぼこに弾力を出すために大切な作業なのだそうです。
かまぼこが板から離れないようにするために、少量のすり身を板にすりつけます。
まな板の上の練ったすり身をひとまとまりにします。糊のついた板でそっと掬うように引き上げると、完成形が少し見えてきました。
仕上げに包丁を縦にしてかまぼこを撫でていきます。包丁を横にして撫でると形が崩れてしまうそうです。
包丁に付いたすり身をまな板の側面でこそぎ落とし、かまぼこの穴を余ったすり身で埋めていくと、かまぼこの完成です。
どうでしょう? 周りについていくのに必死でしたが、それらしい形になった気がします。まわりの方も出来上がってほっとしている様子です。作っている間は我を忘れて熱中してしまいました。
出来上がったかまぼこは講師の方が蒸し器に入れてくれました。
一発勝負のちくわ作り
次はちくわ作りです。かまぼこ作りのようにすり身を練ります。2回目なので、みなさん心なしか慣れた手つきでした。
すり身をまとめ、手のひらぐらいのサイズに広げます。下の部分を削ぎ落とし、四角く成形します。その上にちくわ用の棒を乗せます。
すり身とまな板の間に包丁を差入れ、すり身を立ち上げるように棒に巻き付けていきます。反対の手で棒を回すのもお忘れなく。巻き付いたら、包丁でやさしく整えます。
完成しました。ちくわといえばちくわでしょうか。最後の巻きつけが一発勝負なので、かまぼこ作りより少し難易度は高めに感じました。
ちくわ作りは包丁を使う方法の他、手で棒にくっつける方法も選べます。好きな形に成形できるようなので、小さなお子さんにはいいかもしれません。
作ったちくわは専用の機械で焼いてもらいます。同じ材料でも、蒸せばかまぼこ、焼けばちくわになるという違いも面白い発見でした。
およそ20分後、ちくわが焼き上がりました。焼き機の前に並ぶと、ほかほかのちくわが手渡されます。成形のときは少し心配でしたが、きつね色の焼き目がつくとすっかり「ちくわらしい」姿になりました。
食べてみるとびっくり。市販のちくわより弾力があり、皮はもちっとした歯ごたえです。塩加減もやさしくて、お魚そのものにかぶりついているよう。なにより自分でつくって自分で食べるよろこびで、おいしさも倍増です。
待ち時間は博物館探検
体験教室が終わったのは14時20分。かまぼこの引き渡しは15時30分からなので(最終受け取りは閉館の17時)、それまでは各自の自由時間になります。荷物を持って「かまぼこ博物館」を探検してみました。
1階の体験教室の隣は「かまぼこ百科」というかまぼこについて知ることができる空間になっています。
展示パネルが飾られているだけではなく、かまぼこの原料ルーレットや、産地を知ることができる小さなとびらなど、触れて学べる仕掛けがたくさんありました。専門的だけど分かりやすく、小学生が夏休みの自由研究のために来館することも多いそうです。
説明によると、かまぼこは千年前から食べられており、すり潰した魚肉を棒や鉾(ほこ)の先につけて焼いたのが始まりなのだそうです。それが「ガマの穂」という植物によく似ていたことから「かまぼこ」の名前がつけられました。文献に最初に登場した食事のサンプルを見ると、現在のちくわによく似ています。
ガラスの向こうでは、職人さんが働いていました。鈴廣の商品を実際に作っているところを見学させてもらえるスペースです。練り物をひとつひとつ手でひねり出している作業まで間近に見ることができます。ここで作られているのは、鈴廣の中でも手づくりの最高級の商品なのだそうです。
2階に上がると、通路を活かした「かまぼこ板絵美術館」になっていました。「描いてみよう捨てないで」のアイデアの元、食べ終わった後のかまぼこ板に絵を描いて展示する試みです。1982年から公募もしており、その入賞作品と、著名なアーティストによるかまぼこ板アートが展示されていました。
入賞作品というだけあって、箱根登山電車が飛び出してくるような立体的な作品や、板を2枚づかいしたアイデア勝負のものなど、見応え抜群の作品が並びます。かまぼこ板という小さなキャンバスからさまざまな世界が広がっていました。
3階は「食と科学」のフロアです。かまぼこの弾力を生むタンパク質や、かまぼこの美味しさについて、科学の面から紹介しています。
「あげかま手づくり体験教室」の会場も3階にありました。粉末状になったすり身を使い、手で成形するので、小さなお子さんにおすすめだとか。好きな具材を混ぜて、好きな形にできるのでこちらもとても楽しそうです。
かまぼこの引き渡しまで1時間ありましたが、焼きたてのちくわを食べたり、館内やかまぼこの里を歩いたりしているうちにあっという間に時間が過ぎていきました。
カウンターでかまぼこを受け取り、電車の時間まで「鈴なり市場」で買い物をしました。名残惜しさを感じつつも帰路につきます。
かまぼこのお味は?
出来上がったかまぼこは、専用のミニボックスに入れてくれました。
中には今日作ったかまぼこが入っています。裏返すと板に自分の名前が書かれていて、ちょっと照れくさいような、でも嬉しい記念になりました。体験教室での作業がよみがえってくるようです。
賞味期限は冷蔵で3日とのことですが、待ちきれないのでさっそく試食してみます。
実は「鈴なり市場」で、小田原エール(748円/税込)も一緒に買っていました。かまぼこに合うようにと鈴廣がつくった地ビールだそうです。同じく市場で見つけたあげかま「お好み」(356円/税込)も一緒に盛り付けると、ちょっとした晩酌セットの完成です。
かまぼこをひと口かじると、噛むほどにプリプリと弾むような食感です。高級かまぼこのような滑らかな口当たりで、つるりと喉を通った後に広がる上品なお魚の風味に、香ばしい小田原ビールがよく合います。わさび醤油をちょっとつけて食べると、もうお箸が止まりません。
今回参加した「かまぼこ・ちくわ手づくり体験教室」には、子ども連れのご家族やグループ旅行できた方など、幅広い方々が参加していました。体験教室には、みんなでわいわいと料理をする楽しさや、手を動かしながら名産品について学べるおもしろさ、そして出来立てのちくわや美味しい手づくりかまぼこを食べることができるうれしさがぎゅっと詰まっていました。
作業のちょっとしたむずかしさも含めて、思い出になるひとときを過ごせること間違いありません。小田原に訪れた際は、ぜひ「かまぼこ博物館」の体験教室に参加してみてください。
鈴廣かまぼこ博物館
営業時間
9:00〜17:00
休館日
1月1日
電話番号
0120-07-4547
体験教室参加費用
かまぼこ・ちくわ手づくり体験教室:1,760円(税込)ちくわ手づくり体験教室:770円(税込)あげかま手づくり体験教室:1,100円(税込)
アクセス
箱根登山鉄道「風祭駅」より徒歩2分
〒250-0032 神奈川県小田原市風祭245
駐車場:あり(無料)