【これはすごい】何でこんなにおいしいの!? 常識がひっくり返る「めちゃくちゃ旨いチキンカツ」が衝撃すぎた…
あのヤザワミートが揚げ物専門店「矢澤チキン」をオープンした。
【全写真】断面うまそ~!チキンカツの常識が変わる「専門店のチキンカツ」が凄かった
ヤザワミートといえば、「パーラー矢澤」のエビフライや、「あげ福」のトンカツなど、揚げ物の名作を数多く世に送り出してきたことで知られている。
そして、今回新たに提案するのはチキンカツ専門店。
チ・キ・ン・カ・ツ。洋食屋やトンカツ屋のなかには、チキンカツを出している店があるよね? でも、チキンカツ専門店なんて見たことも聞いたこともない。
「日本初のチキンカツ専門店だと思います」と料理責任者の井上彬さんは胸を張る。
そもそもなぜチキンカツ専門店を出店しようと思ったのだろうか。
「1年かけておいしいチキンカツを開発しました」
「あげ福でチキンカツを提供させていただいているのですが、チキンカツ目当ての人が増えています。チキンカツの可能性を追求したいと考え、1年かけて開発しました」
じつは、2013年に開業した「あげ福」の初代料理長が井上さんだった。いまや人気商品になったチキンカツのレシピを考案したのも井上さんだった。
「あげ福」のチキンカツはフィレを使っているが、チキンカツ専門店を標榜するこの店ではフィレ、ムネ、モモの3種類の部位を揚げているという。
鶏の唐揚げはモモ肉が一番おいしいと信じている。なぜなら脂を含んでいる部位だから。「あげ福」で人気のフィレはさておき、ムネはパサパサで、おいしそうなイメージがまったくない。ムネのカツレツなんておいしいの、井上さん?
「3種類のチキンカツを愉しめる、矢澤プレートのトリプルを召し上がってみてください」
半信半疑で矢澤プレートのトリプル(1,880円税別/以下すべて同様)を作ってもらうことにした。
「肉は生後80日前後の若鶏です。特製の塩ダレにひと晩漬け込んだものを注文ごとに揚げます」
左からフィレ、ムネ、モモ。色艶がよくて、キレイだった。
「2種類のパン粉を用意しています」
「パン粉は粗挽きと細挽きの2種類。肉質を最大限に引き出すために使い分けています」
【矢澤チキン】 左がフィレ用の粗挽きのパン粉。右がムネとモモ用の細挽きのパン粉
粗挽きのパン粉はフィレ用。フィレはやわらかい部位なので、やわらかさと、パン粉のサクサク感の違いを愉しんでもらえるよう粗挽きのパン粉を用意したのだそうだ。
「細挽きのパン粉はムネとモモ用です。ムネとモモには少し食感があります。その食感と肉の味をダイレクトに味わえるように細かいパン粉を選びました」
バッター液と呼ばれる小麦粉、鶏卵、水などを加えた生地をくぐらせた後、パン粉をつけ、米油で揚げる。軽い仕上がりになる米油に、香りづけに少量のラードを加えているそうだ。
何もつけずフィレから先に食べてみてください」
テーブルで待っていると井上さんが料理を届けてくれた。
「矢澤プレートのトリプルです。左からムネ、フィレ、モモ。まずはフィレを、そのまま召し上がってください」
ひと口食べた瞬間、驚いた。これがチキンカツなの!? むかし親戚の家で食べたチキンカツ(部位は不明)はパサパサで、ソースをぶっかけて水分を増量して食べた記憶がある。あれ以来、チキンカツが嫌いになった。
ところが、井上さんが揚げてくれたフィレのチキンカツは、ジュージューでしっとりしていて、めちゃくちゃうまい。噛むたびに大粒のパン粉がサクサクと音をたててくだける。
そのままでもめちゃくちゃうまい。パン粉のサクサク感と、肉汁ではないと思うけど、水気が口のなかにあふれる感覚が舌に心地よかった。
「専用のソースや塩もありますが、まずはそのまま」
タルタルソース、ジンジャーソース、チキンカツソース、藻塩が用意されている。藻塩のみ既製品で、それ以外はすべて自家製。それぞれ時間をかけて開発したソースだと思うけど、何もつけずに新鮮な感動を味わえた。
「続いてモモを食べてみてください」
【矢澤チキン】 モモのチキンカツ。若干ニンニクがきいているので味変が愉しめる
フィレの次になぜモモなのか、よくわからなかったけど、モモを齧った。フィレ同様ジュージューでしっとりとしていたが、若干ニンニクがきいていた。肉を塩ダレに漬け込んでいると井上さんは教えてくれた。モモには塩ダレのほか、ニンニクも使っているようだ。
藻塩と3種類のソースをつけて食べてみたけど、そのままでも十分おいしかった。
最後はムネ。
「パサパサのはずのムネもおいしいと思います」
「ムネはパサパサだと思われているので、一番ハードルが高いと思います」
たしかに脂が少ないムネは、パサパサのはずだ。
ところが、だ。ムネもフィレやモモに負けないぐらいジュージューだった。モモのようにニンニクはきいていないようだ。下味はフィレと同じかもしれない。
3種類のチキンカツを食べ比べたわけだが、これまで嫌いだったチキンカツが大好きになった。チキンカツの概念を180度くつがえされた。
矢澤プレートにはニンジンエピ、ポテトサラダ、千切りのキャベツ、チキンスープ、ご飯がついている。サラダもチキンスープも自家製。昨今コメが話題にのぼる機会が多いが、矢澤チキンでは青森産のまっしぐらというコメを使っているそうだ。
「水分含有量がほどよく、揚げ物との相性がいいことから青森県産まっしぐらを選びました」
矢澤プレートのほか、カレーライスにチキンカツをのせた矢澤カツカレー(1,680円~)、オムライスにチキンカツを添えたオムカツボウル(1,680円~)もある。共に3種類の部位の中から1種類を選ぶスタイル。
それぞれどんな料理なのか、井上さんに説明してもらった。
「矢澤カツカレーのカレーは、チキンカツをおいしく食べてもらうために開発した料理で、黒毛和牛のバラひき肉を使っています」
精肉卸のヤザワミートでは2007年の創業以来、黒毛和牛を扱ってきた。その黒毛和牛で作ったカレーは、単品でも勝負できるぐらい完成度の高い料理だと思う。けれど、この店はチキンカツが主役なので、カレーの上にチキンカツを盛りつけることにしたそうだ。
「卵を2個使ったオムカツボウルもご用意しました」
最後にオムカツボウル。デミグラスソースの上にオムライスを盛りつけてある。
「デミグラスソースは、鶏ガラスープと牛骨スープで作りました。少しだけトマトの酸味をきかせることで爽やかな味に仕上げています」
オムレツは卵を2個使っているという。トロトロではなく、しっかりと焼くことで濃厚な味になっていた。その上にチキンカツを添えてあった。
どれもおいしかったが、最初に食べるべきは矢澤プレートのトリプルだと痛感した。フィレ、モモ、ムネの順番で3種類のチキンカツを食べ比べ、チキンカツの概念を壊してもらってから次に進むべきだと思う。
「ところが、女性客のなかには、初回でオムカツボウルを頼む人もいらっしゃいます。色味がきれいなので映えるからかもしれませんね」
何を最初に食べるかは自由だけど、チキンカツはうまい料理であることを思い知らせてくれる出会いが待っていると断言する。
次回もトリプルを頼むつもりだ。フィレもムネもモモも全部おいしかった。ひとつだけ、ふたつだけ選べなんてできません。
【矢澤チキン】
住所/東京都港区赤坂9-7-1東京ミッドタウン ガレリア B1
電話/03-6721-1229
営業時間/11:00-21:00
定休日/東京ミッドタウンの休館日に準じる
矢澤プレートにはシングル(1,480円~)、2種類のチキンカツが盛られたコンボ(1,880円~)、お好きなチキンカツと鶏メンチとエビフライがつくミックス(1,880円~)もある。ライスとスープつき。すべて税別
【矢澤チキン】 テーブルとカウンター席がある。テイクアウトも可能だ
(うまい肉/中島 茂信)