ピックアッププレーヤー サッカー男子 伝統のパスワークを支える司令塔、河野歩夢(大分鶴崎2年) 【大分県】
昨冬の全国高校サッカー選手権県予選に続き、県高校新人大会を制した大分鶴崎。全国選手権出場のため県内33チームの中で、最も結成が遅くなった新チームを河野歩夢(2年)はキャプテンとしてまとめ上げた。まだ経験値の少ない選手たちをけん引する上で、「全国の舞台を経験したことが大きな糧となった」と語る。「初めての全国大会となった全国選手権1回戦で帝京大可児(岐阜)に1-5と大敗したことで全国レベルの高さを痛感した。普段の練習の取り組みから変えなければいけないとチームで話し合った」
河野は身長184cmの大型MF。フィジカルだけでなく、しなやかさとテクニックも兼ね備えており、その高いポテンシャルに注目が集まる。ボールタッチの正確さと長いリーチを生かしたキープ力は特筆すべきものであり、敵陣の狭いスペースでも簡単にボールを失わない。また、左右両足から繰り出される正確なスルーパスも武器。前述の帝京大可児戦の唯一の得点は、ペナルティーエリア左の狭いスペースでパスを受けた河野の縦への仕掛けと、左足での折り返しから生まれた。ボールを浮かせながら相手マーカー2人を振り切った際の、右足の繊細なタッチはトリニータの下部組織で培ったものだ。
懐が深く、キープ力の高さが武器
新人大会では、河野がボールを持つと会場の期待感が高まり、滑らかなタッチで繰り出されるターンや華麗なスルーパスに歓声があがった。準決勝の鶴崎工業戦では森玄世(2年)の得点を、決勝の大分戦でも木許央雅(同)の得点をアシスト。最少得点での勝ち上がりとなった苦しい戦いの中でも、圧倒的な存在感を見せつけた。
首藤謙二監督は、「攻撃面でアクセントをつけることができる選手。歩夢が気持ちよくプレーできるかが勝敗のカギとなる」と絶大な信頼を置き、新チームのキャプテンを任せた。また、「もっと周囲をうまく使いながら、パスだけでなく自分自身も生きるプレーができるようになればワンランク上の選手になれる」とさらなる期待を寄せる。
河野は新チームを「これまでのスタイルを踏襲しながらも、より攻撃的なチームになっている」と分析する。最高学年となる今年は、キャプテンそして伝統のパスサッカーの司令塔として、チームを全国に導き、昨冬の雪辱を果たすことを誓う。
司令塔として試合を組み立てる河野歩夢
(富田充)