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【札幌・すすきの】ど真ん中に漂う“秘境感”常連に大事にされてきた昭和レトロな地下飲食街【ススキノゼロ番地】

Sitakke

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札幌の観光名所の一つである「すすきの」。
その中心部にありながら、まるで時代に取り残されたような空間、「薄野(以下、ススキノ)ゼロ番地」。をご存知ですか?

この場所には“ただの古さ”では語りきれない、どこか懐かしくて、そして今となっては貴重ともいえる独特の空気が流れているのです。
今回は、ススキノゼロ番地に関する昔と今をご紹介します。

ススキノゼロ番地に注目が集まる

ススキノゼロ番地 提供:しょーこさん

きっかけは、札幌のブロガーしょーこ@札幌クリップ (@kotton105910) さんによる、SNSの「X」への投稿でした。

すすきのゼロ番地は趣がありいいよねー
すすきの市場の駄菓子屋さんは夜もやっているんですね

出典:しょーこ@札幌クリップ(@kotton105910)さんの投稿より

ススキノゼロ番地があるのは「すすきの市場」という、大正11年(1922年)に札幌で2カ所目の公設市場として設置された「第二公設廉売市場」が前身という建物の地下。

多くの観光客で賑わう「すすきの」とは一線を画していて、低い天井や細い通路、看板が重なり合うように並ぶその景色は、まるで昭和の映画の一場面に迷い込んだかのよう。

提供:しょーこさん

昔の姿を残しつつも、現在は新たな魅力が加わっているということで、今回SNSで注目されました。

しょーこさんの投稿で特に反響があったのが、ゼロ番地を上がるとすぐにあるすすきの市場の一角「茶寮 すすきの店」の動画でした。

提供:しょーこさん

「茶寮 すすきの店」の阿部店長によると、おすすめは皮から店内で作り、丁寧に餡を包んでいる肉まんとあんまん!
お店は1年前に一度改装し、さらに2024年10月からこの3月末くらいまで改修工事も行ったのだそうです。

歴史のある古い建物だけに改修工事は避けられないのでしょうね。

改装のためのお店の休業だったわけですが、しょーこさんの投稿で再開を知った人から「湯気が出てる!」とか「寒い日にここで肉まん食べるのが好きだった」なんて声がSNSに寄せられました。
ただの店以上に、その建物や空気感も含めて皆さん大好きだったのでしょう。

ちなみに、画像では店の上部にモニターが確認できますが、1年間に取り付けられたそう。投稿をきっかけにその変化に気づいた人もいました。
そんな些細な変化にもすぐ気づく人がいるのも、ゼロ番地が“通い慣れた場所”だからかもしれません。

また、「怖くてこの階段降りたことない」というコメントもあって、確かに地下へと続く細い階段や、何があるかわからないような暗がりはちょっとドキドキしますね。

すすきのの印象は昼夜で変わる

昼間の市場の様子 提供:しょーこさん

さまざまな意見が飛び交う形となった「ススキノゼロ番地」に関する投稿。
しょーこさんにもう少しお話を伺いました。

――ススキノゼロ番地に“趣がある”と感じた具体的なポイントはどこでしょう?その理由を教えてください。

しょーこさん:古い建物なので、昭和レトロな雰囲気と存在感があるところです。
一般的な市場と同じく、朝に活気があるそうですが、私が訪れた時間は量り売りの駄菓子屋さんが営業していて、風情がありました。

――昼間と夜の雰囲気の違いは何だと思いますか?また「昼のすすきの」ならではの魅力、おすすめの時間帯があれば教えてください。

しょーこさん:すすきののど真ん中なので、夜はネオンが輝き、人通りも多くにぎやかな雰囲気ですが、昼間は比較的静かでローカルな雰囲気が漂っていますね。
また、時間によっては肉まんやチマキ等を蒸す湯気や、24時間営業の「にぎりめし」のいいにおいが漂ってくるので、ついつい購入してしまいます(笑)。

団地として使われていた「すすきの市場」

実は、すすきの市場の建物は一部が公営住宅として使用されていた時期もありました。
住宅としては、2階から5階までが都市基盤整備公団(現在の独立行政法人都市再生機構)の公営住宅「ススキノアパート(薄野団地)」として利用されていました。

その後、建物の老朽化などにより、居住エリアは閉鎖されました。現在は1階と地下のみが活用されているのです。

独立行政法人都市再生機構の広報担当の方に管理体制について尋ねたところ、「建物はRC造地下1階、地上5階の構造で、URは2~5階の賃貸住宅を昭和33年11月から管理していました。令和6年5月に株式会社札幌振興公社に引渡しを完了しました」という回答でした。

住宅地への入り口の扉は閉ざされている 提供:しょーこさん

ちなみに住宅戸数は55戸だったそうです。閉鎖に伴い、現在は施錠されて中には入れません。かなり残念ですね。

道内最古の地下飲食店街として知名度があるものの、その独特の雰囲気が理由なのか、長年通う常連さんたちに大切にされている「ススキノゼロ番地」。
薄野ゼロ番地飲食業協同組合の公式HPでは、次のように説明しています。

その昔は殆どがスナックといった感じでしたが、時代の流れによりお店も入れ替わり、ベテラン世代から若者世代までが程よく混じりあい 造り物とは違った不思議な雰囲気に変化してきました
(薄野ゼロ番地飲食業協同組合の公式HPより引用)

すすきの市場自体も、ただ古いだけの商店街ではなく、昭和の歴史がそのまま建物に染み込んでいるような気がします。

再開発が進む札幌の中心部で、手で触れられるような“時間の証”が残っている場所は本当に貴重だと思います。

ススキノゼロ番地は、懐かしさを感じるだけじゃなくて、実際にこの街の記憶をかたちにして残しているような存在ではないでしょうか。

茶寮の湯気も、駄菓子屋の明かりも、地下飲食街の看板も、すべてが「今もここにある」ということがうれしい。
行ったことがある人はまたふと立ち寄りたくなるし、まだの人には、ぜひ一度体験してみてほしいスポットです。

<取材協力>

・しょーこ@札幌クリップ(@kotton105910)さん(X)

・AIRDO「昭和が香るディープスポット「すすきの0(ゼロ)番地」に潜入!(1)

・茶寮 すすきの店 札幌市中央区南6条西4丁目

・薄野ゼロ番地飲食業協同組合

※2025年3月取材時の情報です。最新の情報は店舗HP等でご確認ください。

文・取材:ゆきお

<プロフィール>
東京在住のWEB編集者兼ライター。札幌で働いていたことあり、再び札幌に住むことを目指す。SNSで道内の話題を探すのが好きで、日常生活で役立ちそうなネタを日々探索しています。

編集:Sitakke編集部あい

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