【相模原市】動物愛護施設の整備検討 予定地に麻布大学
相模原市は9月2日、飼い主のいない犬や猫の保護や収容、譲渡、狂犬病対応などの拠点となる「動物愛護センター」を麻布大学(淵野辺)と連携して同大学内に整備する計画を明らかにした。両者は2029年度の完成を視野に、具体的な計画を進めていくとしている。
相模原市は県内の政令指定都市で唯一動物愛護施設を有していないため、平塚市内にある県の保護施設に依存しているのが実情。ただ、県の施設もひっ迫した状態にあり、対応に遅れが出てしまうこともある。市生活衛生課によると、「保健所に預けると殺処分されてしまうのでは」という市民の不安も根強く、実際には殺処分はほとんど行われていないものの、十分な理解や安心感を得られていない状況が続いていたという。
市と同大学は、災害時の救護や不妊去勢手術など動物愛護分野において2008年ごろから協力関係にあった。保護施設の設置をめぐっては、昨年11月に同大学と市獣医師会による研究会で同大学内に動物愛護センターを設置する構想案が示された。今年6月には同大学の運営法人が正式に市と協議を進めることを決定し、年度内の基本計画策定に向けて現在具体的な調整を行っている。
4年後の完成めざす
大学内に動物愛護センターが設置されたケースは北海道の酪農学園大学内で前例があり、早期に実現すれば全国で2例目。獣医学部を擁する同大学内に設置することで専門的な知見が期待できることに加え、駅が近く好立地であることから譲渡や一時預かりなどの相談窓口として市民が利用しやすいという利点もある。
市はセンター設置が実現すれば、犬や猫の保護や収容のほか、飼い主向けに適正飼養の啓発なども実施していきたい考え。今後は双方で連携して具体的な計画を進めていくとし、4年後の2029年度の完成を視野に入れている。市の担当者は「全国的にも数少ない獣医学の専門的な研究機関が身近にあることは大変心強く、ぜひ実現させたいと思っている」と話している。
「多頭飼育崩壊」への備えも
センター整備へ向けた動きの背景には、今年4月に施行された「多頭飼育届出制度」も影響している。増えすぎたペットに対して適正な飼育ができず、健康状態が悪化したり悪臭や害虫が発生したりすることで、全国的な問題となっている「多頭飼育崩壊」。市はこれを未然に防ぐため、犬や猫をそれぞれ6頭以上飼う場合に申請を義務付けた。8月末時点で犬が39件、猫が101件登録されている。
センターの整備には、制度と合わせて多頭飼育状態にある動物たちを救う役割も期待されている。