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『FINAL FANTASY IX』25周年展の見どころをレポート いつまでも色褪せない、命の物語

SPICE

『FINAL FANTASY IX 25th ANNIVERSARY THE EXHIBITION‐いつか帰るところ‐』

『ファイナルファンタジーIX(以下、FF9)』の生誕25周年を記念して、2025年12月7日(日)まで有楽町マルイにて特別展『FINAL FANTASY IX 25th ANNIVERSARY THE EXHIBITION‐いつか帰るところ‐』が開催されている。本展では初公開の貴重な設定資料・美術資料や、ゲーム中に登場する“ある武器”の再現フォトスポット、意表をついたオリジナルグッズなど、FF9好きの心のツボをぐっと押さえた展示が、来場者を待っている。この記事ではハイライトを少しだけ紹介。ぜひ来場に向けてテンションを高めてみてほしい。それではいざ、25年の時を超えて物語の世界へ。

キャラクターたちを紐解く

展示風景

展示の前半を占めるのは、個性豊かな登場人物たち一人ひとりをピックアップする「キャラクター」のコーナーだ。メインキャラクターはもちろん、その他の重要キャラクターにもスポットが当たるのが嬉しい。

展示風景

イメージアートを担当した天野喜孝のイラストを筆頭に、ボツ案を含む設定資料の数々が公開されている。ゲーム内では紫髪に黄色のリボンが印象的なエーコが、イメージアートだと緑一色なのが新鮮で可愛い。

展示風景

制作陣による細やかな調整の跡も見ることができて興味深い。写真右上は、女将軍ベアトリクスのタイツカラーの微妙な変更の指示書。少しの色味の変更もこだわる様子がよくわかる。

物語を創る舞台や小道具も

設定資料・美術資料が公開されているのはキャラクターだけではない。会場を進むと、「建物・背景」「乗り物」「モンスター」「召喚獣」「アイテム」など、FF9の世界を構成するあらゆる要素を振り返り、繊細なデザインや込められた思いにふれることができる。推しの召喚獣やモンスターを探しながら眺めていくと、あっという間に時間が過ぎてしまった。

展示風景

額装されたワールドマップ。左下あたりの海岸線を見ていると、プレイ中に悶絶した記憶が蘇ってくる人も多いのではないだろうか。

展示風景

特に目が離せないのは「武器」のコーナー。メインキャラクターの各武器を、細かい仕様までじっくりと総覧することができる。随所に散りばめられた、担当デザイナー・泉沢康久のコメントにこだわりが滲んでいるので必見である。

憧れの剣をこの手に!

「フォトスポット-エクスカリバーⅡ」

会場中ほどで、ついに展覧会の目玉である「エクスカリバーⅡ」に会える。本展の開催前から存在が匂わされてきた、最強の騎士剣の精巧な立体展示だ。この剣がファンの心をときめかせる理由は、強さだけでなく、信じられないほどの入手条件の厳しさにある(筆者はプレイ中ついに手にすることができなかった)。ガスバーナーのようにぼうっと青緑に発光する刀身は、憧れたイメージそのまま!

体験してみました

しかもこの「エクスカリバーⅡ」はガラスケースでの展示ではなく、なんと体験型のフォトスポットになっている。またとないチャンスなので、騎士になったつもりでガシッと構えてみよう。こんなことが出来るなら、もっとポーズを練習しておくんだった……と悔やまれる。ちなみに剣だけでなく、手前のコマンド選択ウィンドウも非常に再現度が高いので注目を。

そして探求の旅は始まった

展示風景

さらに会場を進むと、アートディレクターを務めた皆葉英夫による開発資料が多数展示されている。ケース内にあるのは、発売およそ2年前、1998年春の時点での「FF9」企画書だ。“原点回帰”という作品の軸は変わらないものの、企画当初とのストーリーや世界設定の違いを感じられて面白い。冒頭に、シリーズ第一作のオープニングシーンをオマージュしたイメージイラストが掲げられているのを見て胸が熱くなった。

展示風景(個人的に、会場内でいちばん可愛いと思った開発資料のガーネット)

会場にはこの他にも、25周年を記念して発売されたオリジナル絵本『ビビとおじいちゃんと旅立ちの日に』のコーナーや、世界中から集まったファンアート・思い出コメントが一堂に展示されるコーナーなど、見応えのある展示が用意されている。そして展覧会の最後を飾る「フィナーレ-いつか帰るところ」のエリアでは、制作者からのコメントと併せ、FF9の感動のエンディングムービーが大画面で放映されている。ぜひ改めて、この物語が語りかけてくるテーマにゆっくりと思いを馳せてみてほしい。

凝っているグッズが揃っています

物販コーナー

物販エリアでは展覧会記念グッズとして、バラエティに富んだアイテムが販売されている。例えば、左手前のオシャレなシャツは最凶の裏ボス「オズマ」の柄をアパレルに落とし込んだものだ(税込8,800円)。同様に見た目そのまんまな「オズマ クッション」(税込6,600円)も製作されており、思わず吹き出してしまった。「エクスカリバーⅡ」の展示といい、本展ではFF9プレイヤーを翻弄し、悩ませてきた因縁の存在に焦点が当てられているようである。

のんびり気の向くまま堪能して、鑑賞時間はおよそ1時間ほど。命は巡るものだということ、そして生きる意味が何なのか手探りするのが、人生だということ……たくさんの感動をくれたFF9は、やっぱり節目ごとに思い返し、語り継いでいくべき名作なのだとしみじみ感じさせてくれる展覧会だった。『FINAL FANTASY IX 25th ANNIVERSARY THE EXHIBITION‐いつか帰るところ‐』は、2025年12月7日(日)まで有楽町マルイ8F SPACE1にて開催中。この貴重な機会をお見逃しなく。

文・写真=小杉 美香

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