県薬剤師会 OD(オーバードーズ)の危険性、動画で発信 「正しい知識で防止を」
神奈川県薬剤師会がこのほど、社会問題になっている薬の過剰摂取(オーバードーズ)の危険性を訴える動画を、公式YouTubeチャンネル上で配信した。企画・製作した同会リスクマネジメント委員会所属で、トマト薬局希望が丘店=旭区=の白子順一さんは「身近に潜む危険でありながら十分理解されていない。正しい知識を持ってリスクを回避してほしい」と呼びかける。
動画は3分20秒で、冒頭では勉強に打ち込む子どもがカフェイン入りのドリンクを多く飲むようになり、次第に錠剤や医薬品を大量摂取するケースを紹介。そのうえで、薬は決められた量と回数を守って効き目が表れることや、大量に服用すると身体に悪影響を及ぼし、過剰摂取を辞められずに続ける人もいることなどを解説している。
薬剤師や厚生労働省の専用窓口への相談も勧めており、白子さんは「不安を話す先が無かったり、行き場のない子どもたちがオーバードーズをする傾向がある」と、相談しやすい環境を作ることの重要性を強調する。
動画はテンポよくアニメーションが多用され、視聴者に語り掛けるようなナレーションも特徴。「ぜひ最後まで見てください」と話す。
若年層で多発
厚生労働省と消防庁が横浜市を含む政令市や都道府県など52の消防本部を対象に行った調査によると、医薬品の過剰摂取が原因と疑われる救急搬送人員は2022年で1万682人。23年上半期は5625人で、20代が1742人と最も多く、30代(891人)、10代(846人)と続いた。
「オーバードーズが増えている実感はあります」と白子さん。同会では多くの人に注意を呼びかけようと、スマートフォンからアクセスできる動画を配信することしたという。親や祖父母にも、その危険性を知って欲しいと言い、「お子さんやお孫さんにとって、オーバードーズが身近な問題であることが伝わって欲しい」と話す。