【健康維持のための運動習慣】30〜40代の女性が特に運動不足というデータが…。忙しくても「お手軽」を「コツコツ」で効果アリ!
静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「健康維持のための運動習慣」です。先生役は静岡新聞の山本淳樹生活報道部長が務めます。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2024年11月21日放送)
(山田)今回は体力低下を阻止するための運動習慣、という話題です。
(山本)スポーツの秋ということでこの話題を取り上げました。今、「運動」は一つの重要なテーマになっていて、2015年にできたスポーツ庁はいろんな調査をしています。
そんな中で生活報道部の女性記者が取材をしたところ、30代と40代の女性の体力が低下している傾向にあることが分かりました。
(山田)へぇー。
(山本)個人差はありますが、30代の女性というのは一般的にスポーツに親しんでいない、運動していないというデータがあるということです。当然他の年代も運動していない人はいますし、私もほとんど運動はしてないんですけどね。
(山田)そのデータというのは。
(山本)スポーツ庁の調査の中で、県がその中から静岡県についての数字を抜き出してみたところ、週1回のスポーツ実施率、つまりウオーキングから競技スポーツまで含めて習慣的に何らかのスポーツをやっている率が、全体で52.2%でした。
(山田)やってますね、皆さん。週1以上のスポーツ実施率52.2%!?
(山本)そうなんですよ、結構やってるんです。散歩も含めて、全年代を調べてみると、そのような結果でした。男女年代別では、20代女性が最低で35.6%。40代女性が39.1%、30代女性が43.5%でした。この調査では、静岡県においては30代より20代の人の方が運動していないというような結果が出ています。
また、男性よりも女性の方が数値が低い傾向が強いです。県は、スポーツ実施率を70%に引き上げたいという目標を定めているのですが、まだまだ足りないという状況です。
(山田)20〜70代の週1以上の運動スポーツ実施率52.2%は高い方だなと思ったんですけど、県の目標はもっともっと高いんですね。
(山田)男性はどうなんですか。
(山本)男性は、全国の数字で54.7%と出ています。前年に比べて0.3ポイント増えています。女性は49.4%で、前年より0.8ポイント減ったということで、男女で比べると女性の方が低くなっています。
(山田)健康を意識し始めるタイミングが年齢で違うというのもありますよね。20代女性は、県内だと最低っていう数字ですが、あまり意識してないんじゃないですかね。
(山本)そうですね。ただ、健康のためにスポーツを何かやりたいって気持ちは、おそらく運動が苦手な人でもちょっとは持っていると思うんですよね。そういったところを含めて70%という計画にしてるのだと思いますが、そこまで達していなかった…。
30〜40代女性に「全く運動していない」人が多い
(山本)もう一つのデータは、スポーツ庁が行っている体力運動能力調査というものです。実際にそれぞれの年代の人たちに運動テストのようなことをやってもらい、その記録の推移を見ています。学生の場合は学校を通じて実施していますね。
23年度の数字は、30代40代については1998年以降で最低の水準だったということです。これは過去2番目に低い数字で、体力低下が非常に顕著な傾向が見られました。
(山田)何か理由はあるんですか?
(山本)この調査の中でも「運動しているかどうか」ということを尋ねたところ、30代女性と、40代の前半の女性は4割を超える人が「全く運動していない」と答えています。これは他の年代に比べると際立って高いそうです。他の年代は、「結構している」という回答も多く、全体で習慣的にやってる人が50%になっています。
「運動してないので体力も低い」ということは一つ言えるのではと思います。なぜ運動しないのかということを考えると、推測ですが、この年代の女性は忙しいですよね。「仕事に加えて家事や育児の分担が、男性よりも女性に偏ってるんじゃないかな」という推測もできます。
(山田)そうですね。やっぱり時間が割けない。
(山本)自身の生活を振り返ってみても、スポーツのために時間を割くっていうのは、意識してやらないと、なかなか難しい。
何かやろうとすると、この年代だとどうしても他のことを削ってやらなきゃいけなかったりします。いろいろなことが一段落した50代、60代、70代の方に比べると運動をしなくなってしまうのは仕方ないのかなと思います。
(山田)やりたいけども、って方が多いでしょうね。でも、やらないと当然運動能力も低下していきますし、それこそ肥満の原因にもなったりしますね。
(山本)健康と運動はやはり切り離せないですね。健康診断でも、「何か運動しましょうよ」ってお医者さんに言われたりしますが、なかなか難しいのが実情です。
今回、担当記者が取材したヨガ教室は、平日の講座だったのでほとんどの参加者が女性で、20代から80代の女性が20人ぐらい参加していたそうです。60代の女性の方は、全く運動経験がなかったけれども60代になって初めてヨガをやってみたということです。
「体が整う感じがして検診の結果も改善している」と話す方もいたようで、やっぱり効果があるのは確かなんだろうなと思います。
日頃から少しずつ、が大切
(山本)今回の取材の中で、スポーツクラブセイシン(静岡市葵区)で健康運動指導士として働く山内敬太さんにお話を聞いたところ「特別に運動する時間が取れなくても、日常生活の中でできることがある」ということでした。
週1回短時間やるよりも、日頃少しずつやることが大事だそうです。特に女性の場合は、どうしても出産を経験するぐらいの年齢から子供を抱いたり、家事をしたりするときに前かがみになることが多く、姿勢が悪くなっているケースが多いそうです。
(山田)なるほど。
(山本)まずはそこを改善するところから始めて、それを入り口に、他の運動も組み合わせて習慣的に運動をやっていくようなことが良さそうです。
簡単なエクササイズを教えていただいて、私も実践してみました。この内容は、11月15日付の静岡新聞の紙面に載っていて、静岡新聞デジタルでも見られますので、参考にしてもらいたいと思います。
書いてある通りにやってみますね。
その1。背筋を真っすぐ伸ばして立ち、両手を体の脇に下ろし、手のひらを前方に向ける。肘を伸ばしたまま、胸を開くように腕を後ろに引き、数秒止めて元に戻す。同じ動きを繰り返す。
(山田)よいしょ。これだけで体が伸びる感じがしますね。
(山本)その2。1と同様に真っすぐ立ち、手のひらを前方に向け、体の真横で腕を斜め45度の高さに上げる。胸を張った状態で肩甲骨を閉じるように腕を引き下げる。数秒止めて元に戻す。同じ動きを繰り返す。
(山田)あ〜。結構きますね。
(山本)その3。1,2と同様に真っすぐ立ち、腕を脇に付けた状態から前に向かって肘を90度曲げ、手のひらを上に向ける。肩甲骨を寄せるように両手を体の外側に向かって開く。数秒止めて元に戻す。同じ動きを繰り返す。
(山田)いやあ、これきつい!!
(山本)これを「1日何回何セット」と決めないで、思いついたらやると。
(山田)それでいいんですね。
(山本)プラス、歩くときには意識的に背筋を伸ばして、腕を後ろに大きく振るのも効果的だということでした。
(山田)ちょっと、気持ちいいですね。
(山本)そうそう。私も職場でデスクワークの空いた時間にやってみたんですが、確かに気持ちがいい感じがしました。いきなり激しいスポーツではなく、こういう簡単なことから始めて、何か汗をかくぐらいの運動もプラスでやるようにしていけばいいんじゃないかと山内先生が話していました。
歩くなら1日8000歩!
(山田)あとは、ウオーキングをやっている方もいますね。
(山本)これは1日1万歩とか何千歩とかっていろんな説がありますが、国が専門家向けに策定した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、大人で「歩行かそれ以上の強度の身体活動を毎日60分以上」行うことを推奨しているそうです。
これは1日8000歩以上の歩行に相当するといいます。県民健康基礎調査(2022年)によると、県内の20歳以上の女性の歩数は1日平均5715歩で、男性は6676歩と、いずれも8000歩には達していません。
(山田)僕も6000歩ぐらいですね。ちょっと意識して歩いた方がいいかもしれません。
(山本)そうですね。スポーツの秋なのでどうしても競技スポーツに意識が向きがちですが、身近なところでやることで、体力上昇にも大きく関係していくのではないかと思います。
(山田)ありがとうございます。今日の勉強はこれでおしまい!