市内産ブドウで醸造 「横浜ワイン」が誕生 希少な有機栽培にこだわり
中区の横濱ワイナリー(株)が自社農園でブドウの有機栽培を始めてから4年。初の市内産・醸造となる「横浜ワイン」がついに誕生した。400本限定で、1月1日から一般販売が始まった。
同ワイナリーでは、2020年から旭区の自社農園で、ブドウ栽培を開始。「市民参加型の農園にしたい」とオーナー制度を導入し、希望したオーナーたちはボランティアで栽培作業も担ってきた。地球環境に配慮した無農薬栽培にこだわり、今回のワインは有機JAS認証を取得した。ワイン用ブドウの有機栽培は手間がかかると敬遠され、非常に珍しい。県内では初めての試みだ。
農園ではシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・グリージョの3品種の苗木を400本育てている。毎年完成が待ち望まれていたが、ワインを醸造するほどの実はつかなかった。しかし、苗植え付けから苦節4年。昨年9月に初めて約300kgのブドウを収穫できた。
横浜産のブドウを使い、横浜で醸造したワインのみ「横浜ワイン」を名乗れるという。今回は品種ごとに醸造するだけの収穫量には至らなかったため3品種を混醸し、微発泡のロゼに仕上げた。同ワイナリー代表の町田佳子さん(60)は、環境保護活動家から醸造家へと転身した経緯があり「横浜で有機栽培でワイン用ブドウが育つことが証明できたことはとても嬉しい」と語る。
一方、ワインとしては「未成熟の香味で、納得いくレベルには程遠い」。台風の影響を懸念して収穫時期を早めたため糖度が足りず、アルコール度数は7%とワインとしては低い。町田さんは「まずは育ったブドウでスタートのワインをと思い、リリースした。この味を記憶に留めて頂き、数年後に『最初のワインはあんなだったね』と皆様と語り合える日を楽しみにしながら、美味しいワインづくりを目指したい」と語った。
横浜ワインは、500ミリリットルで3千円。同サイト(https://yokohamawinery.com/)で販売。