親が運動できなくても関係ない?運動能力は遺伝する?【眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話】
運動能力と遺伝は関係ある?
やる気と環境がさらなる成長を促す
昔から親子やきょうだいで活躍するアスリート、プロスポーツ選手が少なからず存在します。高校野球や相撲、競馬の騎手、最近では柔道や卓球でもきょうだいが注目を集めました。そうした人々のパフォーマンスに感動を覚える一方で、「やはりスポーツの世界にも遺伝はあるのか」と溜息がこぼれる人も多いかもしれません。実際のところはどうなのでしょうか?
下のグラフは、さまざまな運動における遺伝と共有環境、非共有環境の影響を調査したもの。種目によって結果はだいぶ異なりますが、これを見る限り一概に「運動能力は遺伝の影響が大きい」とはいえなそうです。学校の体力測定などで行われるシャトルランでは共有環境の影響が大きい一方、握力測定では遺伝の影響が無視できない数値となっています。また、全般を通じて年齢が上がるにつれて共有環境の影響が大きくなる傾向も見られます。おそらくこれは低学年のうちは全員が同じ環境で取り組むことができるため環境面での影響は少なく、高学年になるほど普段の運動環境や本人の積極性などに差が出てくるからと推測することができそうです。運動能力と遺伝はまったくの無関係とはいい切れませんが、こと学生スポーツにおいては遺伝など気にせず、本人のやる気と楽しむ心を大事にしたいものです。
種目や年齢によって能力への影響は変化する
遺伝と環境が及ぼす運動能力への影響を調べたところ、運動の種類や内容によって影響度合いに差があることがわかりました。一方で、学年が上がるに従い共有環境の影響が徐々に大きくなっていく傾向も見られます。
成長とともに環境の影響が大きくなる理由は?
成長とともに共有環境の影響が大きくなるのは、積極的に運動に取り組む環境の有無や、子ども自身のやる気も少なからず影響しているものと思われます。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』著:安藤 寿康