厚木高校生 渋滞緩和へ市と連携 横断歩道で仮説検証
厚木市で有数の渋滞箇所となっている水引交差点の交通混雑解消に向け、厚木高校の生徒と市が12月9日から実証実験を開始した。「歩行者が横断歩道を通行する速度が上がれば、右左折する車両がスムーズに通過できる」という仮説を立て、10日間の検証に臨む。
国道129号と立体交差する水引の県道は、朝夕の通学・通勤時間帯に多くの歩行者が行きかう。そのため、交差点の横断歩道を渡る歩行者を待つ右左折車が慢性的な渋滞を引き起こし、路線バスの定時運行の妨げにもなっている。
検証は、先進的な理数教育を実践する「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に指定される同校の取り組みの一環として実施。生徒の多くはこの交差点を利用して通学しており、身近なテーマについて科学的な視点から課題解決につなげようと、官学連携で今年度から研究を続けている。
生徒らが立てた仮説は、「横断歩道を渡る歩行者の速度向上が交通混雑緩和につながる」というもの。これまでの研究を踏まえ、横断歩道の左側通行を促して歩行者の動線を整理することにした。
実験初日となった9日の朝8時、「実証実験中」と書かれた案内板を首から下げた生徒は「左側通行にご協力をお願いします」と声をかけながら歩行者を誘導。30分かけて、歩行者の集団が横断歩道を渡り切る時間などを計測した。実験は平日の10日間、県道南側の厚木ヤクルト販売前と、北側のセブンイレブン前の横断歩道で20日まで続ける予定だ。
実験に参加する高島大暉さん(17)も、通学時に交差点を利用する一人。登下校時には多くの生徒が列をなして横断歩道を渡るため、「車が渋滞しているのは知っていて、少しうしろめたい気持ちもあった」という。実験を通して「歩行速度の改善が見られた気がする」と手ごたえを口にし、「左側通行を守ってもらうよう歩行者の意識を変えていくことが大切」と話した。
生徒らは実験で得られたデータを解析し、来年3月に成果報告を行う。