知のテーマパーク「BIZEN中南米美術館」は日本国内で唯一無二!(備前市)
岡山県備前市日生(ひなせ)に、日本で唯一の中南米専門の美術館「BIZEN中南米美術館」があるのを知っていますか? 写真撮影自由、館長のディープな解説。ここだけでしか体験出来ないエンタテイメントを味わい尽くしました。
BIZEN中南米美術館とは
「BIZEN中南米美術館」は、日生町で漁網の製造・販売を営んでいた故「森下精一」氏のコレクションの寄贈により、昭和50年3月に開館。外壁は岡山県重要無形文化財の備前焼作家、故「藤原建」氏の制作による備前焼の陶板が約1万6千枚も使われているそうです。
日本国内だけでなく、世界から研究者が集まり収集品の研究会を行うこともあるそうで、つい先日もここで世紀の大発見があったそうです。その内容は後述します。世界から研究者が集まるほどの収集品の数々は、森下氏が商用で南米を訪れた時に古代アメリカ文化の遺物に触れ、その魅力にとりつかれて以来収集を重ねたものです。収集品を専門家に鑑定してもらった結果、学術上・美術史上極めて貴重であることが明らかとなったため、一般に公開することを決意され、今に至ります。
生前森下氏は常に、地域文化の復興の一助となることと共に、多くの方にこの美術館を通して中南米の古代文化に親しんでもらえることを願っていたそうです。そんな思いの詰まった美術館。是非知ってください。
美術館への行き方と注意点
JR岡山駅からJR日生駅までは、JR赤穂(あこう)線に乗り約1時間。運賃は片道860円。
JR赤穂線日生駅で下車して徒歩約8分。写真の特徴的な看板が見えたらもうすぐです。道の奥にあり、ちょっと分かりづらい位置にですが、独特の建物なので近くまで行けば見間違えることは無いと思います。
入館料は大人700円、大学生・高校生500円、中学生・小学生300円。開館時間は10:00~16:45です。原則事前予約ですが、ご予約のお客様がいてたまたま空いていれば入ることが出来ます。確実に楽しみたい場合は予約して行くことをお勧めします。というのもこの美術館では館長自らが作品についての説明をしてくださいます。そのためもあり事前予約制。かなり丁寧に説明をしてくださるので、時間に余裕を持って行ってくださいね。自由に見るのも楽しいですが、館長のディ―プな説明はこの館の醍醐味のひとつだと思いました。私もさらっと見るつもりが2時間以上滞在しました(笑)。
写真撮影OKな美術館!
まず最初にお伝えしておきたいこと。この美術館は「写真撮影OK!」ということです。よく美術館に行かれる方は驚かれるかもしれません。私も最初は驚きました。でも、ここでは好きな美術品を見つけたら好きなだけ撮影してOK!
あまり皆に知られていない中南米の文化に気軽に親しんでほしい。そして、来場した人を通じて、もっと多くの方に知ってもらいたい。そんな思いが垣間見えるような気がします。私が最初に撮らせていただいたのは、この館のマスコットキャラクターになっている「ペッカリー」。約3,000年前にエクアドルで作られた “ヘソイノシシ” の土偶だそうで。とっても可愛いので、マスコットキャラクターになっているのも頷けます。グッズも色々あるみたいですよ。
進化する展覧会「ぜんぶマヤ文明」
「BIZEN中南米美術館」では企画ごとに、膨大な収集品の中から展示を決めているそうで、私が行ったときは「ぜんぶマヤ文明」という企画展が行われていました(2025年10月13日まで開催予定)。
「マヤ文明」について簡単に説明すると、メキシコの南東部、グアテマラ、ベリーズなどいわゆるマヤ地域を中心として栄えた文明。まさに中南米。また、高度に発達したマヤ文字をもつ文明でもあったそうです。写真の看板の周囲に書かれているのも全部マヤ文字。もう文字だけでアート。すごく美しいんです。
この展覧会、とにかくチョコレート推しなんですが、それもそのはず。当時の偉い人は水のようにチョコレートドリンクを飲んでいたそうで、写真の器もチョコレートを飲んでいたもの。何で分かるかって?内部にカカオ豆のカスが残っていたそうなんですよ。
冒頭に書いた最新の発見というのが、写真の靴型の土器。最近まで、靴型土器・用途不明として展示されていたそうです。しかし、館長を含めた世界の研究者たちにより、こちらにも「内部にカカオ豆の残滓(カス)が残っていた事例が報告されている」という事で、ついに世紀の大発見「カカオ型チョコレートドリンクポット」としての展示となったそうです。凄い!
チョコレート関係の展示だけでなく、マヤ文明の歴史についても他の展示についても興味深い解説をしてくださいました。こんな調子で展示の説明を聞いていると、時間がいくらあっても足りません。写真は展示の一部です。様々な展示があり、とても楽しめました。
土笛を吹く館長さん!
館長の解説でどうしても触れておきたいのが、土笛の実演。実際の展示を手に取り吹いてくださいました!こちらも動画撮影OKとの事でしたので、是非ご覧下さい。
館長さんの土笛演奏を動画でチェック
土笛を吹いて下さる「BIZEN中南米美術館」館長の森下さん。すごく楽しそうで、見ているこちらも楽しくなります。※音量注意
古代マヤ文字ドネーション
こんなに楽しい美術館である「BIZEN中南米美術館」。しかしコロナ禍の影響は大きかったようで、館の存続・発展のために「古代マヤ文字ドネーション」を始められました。館長自らが描くマヤ文字で、自分の名前をスタンプやシールにしてもらえます。名前だったら人と被ってしまうという心配は無用。古代マヤ文字は1つの文字に幾つも書き方が存在するそうで、私のように3文字名前の場合、約1,000通りの書き方が出来るそうです。
コースは3つ。マヤ文字制作、証明書、ヤシュ・ナーブ村人バッジは共通で、白黒マヤ文字スタンド、ハンコのコースが6,000円。彩色化と採色マヤ文字スタンド、マヤ文字シールコースが6,000円。前記のすべてが含まれているコースが9,000円になります。
誰かにプレゼントも出来るという事で、私は家族に古代マヤ文字をプレゼントいたしました。実際送られてきたものを見ると、とても素敵。世界に一つ、その人の名前が描かれているこの「古代マヤ文字ドネーション」は美術館の助けにもなりますし、とても良い返礼品だと思いました。自分のも欲しくなりますね!ご興味ある方は是非。
ヤシュ・ナーブ村の村人特典も
このドネーションのお得感はまだ有ります。先ほど出てきたヤシュ・ナーブ村人バッジ。これがあるとなんと村人限定のイベントに参加出来たり、展示品を手に取って写真撮影できたりします。とんでもないサービス!ちなみに、私が行った時の村人が特別に触れることが出来る美術品は、写真の翡翠製ペンダントでした。
まとめ
いかがでしたか。中南米の美術品を楽しみ尽くせる「BIZEN中南米美術館」。ここでしか味わうことのできない知のテーマパーク、是非足をお運びください。
【BIZEN中南米美術館】
所在地:岡山県備前市日生町日生241-10
TEL:0120-346-287
営業時間:10:00~16:45(原則事前予約)
駐車場:あり(8台)