スタッド溶接松林さん 1秒の世界を追求 かわさきマイスター認定
スタッド溶接の技能者である(有)マスト=川崎区浅田=の松林繫さん(65)が今年度の「かわさきマイスター」に認定された。優れた技術で市の産業の発展に寄与し、後進の指導にも熱心な職人に、最高峰の匠として贈られる称号。
スタッド溶接とは橋やビルの根本を補強する基礎工事。アンカーと呼ばれる大きなねじのようなものに、専門の器具から電気を流して溶接する。流す時間は1秒未満と短かいうえに、コンマ数秒を調節して場面に応じた溶接を行う必要があり、熟練した技術が求められる。
「完璧な仕上がりはなかなかないが、だからこそ日々努力している」と語る松林さん。長く共に仕事をしてきた日本スタッドウェルディング株式会社の中嶋涼雄さんは「仕事に厳しい人。だからこそ品質を担保できるし、信頼している」と話す。これまでに羽田再拡張D滑走路建設工事や政府のODAで1年8カ月間バングラデシュのジャムナ鉄道橋頂版結合工事に携わった。
松林さんは「もっとできる人に追いつきたい。後進の人には知っていることを伝えていきたい」と抱負を語り、「今日できないことを明日できるように努めれば、人生は楽しくなる。5年10年先を想像して日々を過ごしてほしい」と若い人へエールを送った。
区内では(株)ブラザーの鈴木宏さんも「かわさきマイスター」に認定された。