「選択的夫婦別姓」、導入されないと不便だらけ?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、6月12日の放送はジャーナリストの浜田敬子を迎え、「選択的夫婦別姓」をテーマに語った。
長野智子「おととい(6月10日)に経団連が(選択的夫婦別姓の)導入に向けて、政府に異例の提言を公表したということです。なんといっても浜田さんは、ご自身の体験から、本当に長い期間、取材されていて。ようやく経団連が提言と」
浜田敬子「ようやくですね。でも数年前に経団連会長は『旧姓使用で別にいいんじゃない?』という話をしていたんですよ。新聞なんかを読むと経団連加入企業に女性の役員が増えてきて、皆、不便を感じている。ということで中から動かしてくれたんです。これはすごく大きいなと思います」
長野「浜田さん自身がすごく不利益を被ったんですよね?」
浜田「そうですね。ここで言うことではないんですけど、2回結婚していまして。1回目はいわゆる入籍をしたんですね。そのときは夫の姓にしました。通称使用といって旧姓を仕事名として使っていた。通常も2つの名前を使い分けるのは面倒ですよね。いちばん困ったのは海外出張です」
長野「わかる~!」
浜田「パスポート名が本名でないといけないので」
長野「国際会議みたいなものでホワイトハウスに入るときなんかに身分証で『Nagano』ってなっていると、パスポートを出したときに……」
浜田「名前が違いますでしょう? 一緒に仕事している人たちは皆、『長野智子』として接しているじゃないですか。長野さんの本名、夫の姓を知らないですよね。私もそういうことがあって、それが9.11だったんですよ。ニューヨークへ取材に行っていて、朝日新聞の支局ってニューヨークタイムズの中にあったんです。当時はすごくテロを警戒していたので、建物に入るときセキュリティがすごく厳しくて。会社の人は私の名前をKeiko Hamadaで登録しているけど、私のパスポートはKeiko ○○だったんですね。それを見せても『違う人だ』と入れない」
長野「はい……」
浜田「いくら説明しても通じないんですよ。2つの名前が別々にあるっておかしいでしょう。結局支局に電話して、降りてきてもらって入れてもらったんですけど。その経験をしている人はもう、たとえば国連職員の方、海外と仕事している方……。最近だと国際会議ですね、皆さん入れなくなる、という。登録してある仕事名とパスポート名が違っていて」
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「セキュリティもどんどん厳しくなっていますからね」
長野「きのう話したけど海外出張したとき、スタッフが『長野智子』でチケットをとって、また名前を変えなきゃいけない……枚挙にいとまがない」
浜田「当事者でない人からすれば『え? それだけのことでしょう』と言われるけれど、日々こういうことが積み重なっていくと、本当にストレスが大きい」
長野「経団連がいま、提言に関してビジネス現場における通称使用の弊害例、というのをホームページに出していて。ぜひご覧になっていただきたい。たとえば研究者の方は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必要で、キャリアの問題や不利益が生じる。いろんなパターンでもいっぱい書いてある」
浜田「投資なんかも難しいみたいです」