<妊娠されると困る!?>登校シブリ……先生のおかげで安心して通えたのに!事態が一変【まんが】
私はアユ(40)。夫のダイキ(42)と息子のサク(6)と暮らしながらパートタイムで働いています。 サクは環境の変化が苦手です。幼稚園に入園したときは毎日大号泣。その後も進級するたびに落ち着かず、イベントも苦手で私や夫がサポートしてきました。夫のダイキには、同じような個性を持った弟さんがいます。そのためサクの個性に関して夫の理解があり、協力してくれるので助かっています。小学校入学にあたり、事前に学校には連絡してできるだけサポートしてもらうようお願いしていました。
「おはよう! サクくん。校庭の池にカエルの卵があったよ。見に行く?」 生き物が好きなサクは田畑先生の話に飛びつきました。私の手を離して、ウキウキと田畑先生と学校に入っていきます。
いい先生で、本当によかった……心からそう思っています。
サクのクラスの担任、田畑先生は明るく穏やかで、いつもにこにこしています。 忙しいなかでもサクを気にかけてくれます。 感謝してもしきれません。 私がパートタイムの仕事に休まずに行けているのも、田畑先生含め、学校の先生方のおかげです。
しかし……このあと事態を一変するような出来事が起こるのです。
田畑先生はとてもいい先生ですし、同じ女性として妊娠を素直に喜びたい気持ちはあります。 しかし年度途中で大好きな担任の先生がいなくなってしまうとなると、サクが戸惑うことは間違いありません。 そして数か月後には2年生に進級。 クラス替えと担任替えが待っています。 目まぐるしく変わる環境にサクがついていけるのか……。 親としては、喜びより不安な気持ちのほうが強いというのが正直な感想です。 いったいどうすればいいのでしょうか。
頼れる夫が即行動!「お祝いの言葉とわが家の不安」を学校へ
ダイキの弟のユウジさんは、大人になった今では会社員として働いていますが、実はユウジさんもサクと同じく、環境の変化が苦手な子どもだったそうなのです。 ダイキがサクのことを理解してくれるのも、ユウジさんの様子を間近で見てきた経験があるからだと思います。 サクは田畑先生のことをとても信頼していて、今日も先生の声かけのおかげで登校できたことを話しました。 するとダイキは……。
「ちょっと学校に手紙を書いてみるか」 というのです。
ダイキのこの行動力を、いつも「すごいな」と私は感じています。 自宅のパソコンを使って5分ほどで手紙を作成してくれました。田畑先生の妊娠への祝いの言葉、サクの不安について簡潔かつ丁寧な文章でつづられていました。 翌日。私はサクを付き添い登校したあと、職員室へ寄って教頭先生へ昨夜ダイキが書いてくれた手紙を手渡しました。
その日の夕方。 さっそく教頭先生から電話がありました。 田畑先生の体調によっては急に担任が変わるかもしれないため、早めのお知らせだったこと。 運動会の担当も変える予定だということ。 そして、サクのことについては今後も引き続きフォローしていくといった内容でした。
私と同じくダイキも息子を心配しているようでした。 とくにダイキは弟のユウジさんのこともあり、経験上なにか対策しておいたほうがいいと感じているのかもしれません。 すぐに学校に連絡してくれました。 学校側は、職場として田畑先生が無事赤ちゃんを産めるように配慮しているようです。 ちょうど週末、義実家にお邪魔することになっています。 ユウジさんやダイキの経験が、何かヒントになるかもしれない……。 そう思った私は、義両親にもぜひ話を聞きたいと考えていました。
「先生からの提案で……」義両親から明かされた夫と義弟の過去
サクは義母、義父にしっかり遊んでもらって大はしゃぎ。 遊び疲れたサクが別室で昼寝をはじめたタイミングで、私は義両親に田畑先生のことを話すことにしました。
「そう……。担任の先生が。めでたいね」 そしてダイキは、弟の面倒をみるのが当時の自分には大変だったことを話しました。すると、義父、義母は顔を見合わせて言うのです。 「ダイキには本当に頑張ってもらったね。ユウジがダイキのこと大好きで。学校でもお兄ちゃんのサポートのほうが安心するだろうって、先生からの提案だったんだよ」 この話が初耳だったダイキは驚きます。
ダイキの弟、ユウジさんは何か機会があると、まとまった金額のお金を包んで渡してくれます。サクの入学のときもそうでした。こんなに受け取れません、と伝えると、にっこり笑って「世話になりましたから」と言うのです。
義両親に相談してよかった。 なぜなら、私たちは田畑先生を信頼しているあまり、田畑先生に親子で依存している状態になっていると気づけたから。
学校はサクだけの居場所ではありません。 学校側にだってご都合があるでしょう。 ただでさえ忙しそうな先生たちに、大きな負担をかけるのは本意ではありません。 かといってサクが不安定な状態で学校に行けば、周りにも迷惑をかけてしまう可能性があります。 今すぐは難しいかもしれない。 けれど、少しずつ、田畑先生だけに依存した状態から抜け出していこう……。 それはサクの成長にもつながるはず。 私たちはそういう気持ちでこれからの日々を過ごしていきたいと思います。
【先生の気持ち】「お叱りの手紙かも…」保護者から届いた思い
私は田畑ケイコ(30)。小学校で1年生の担任をしています。夫とは2年前に結婚しました。子どもたちのことは大好きで、いつか自分の子どももほしいと思っていました。でも、子どもは授かりもの。周りの友人を見ても、ほしいと思うタイミングで授かることはなかなか難しいようです。私は自然に任せることにしました。そして病院で妊娠していると告げられたのは、新学期が始まったばかりの4月。ずいぶん悩みましたが管理職の先生に伝えました。
教頭先生によると、今まで何人か妊娠中の体調不良で予定よりも早めに産休に入った先生がいらしたそうです。 それで今回教頭先生と話し合い、まだ安定期に入っていない段階でしたが、保護者にお伝えすることにしたのです。
教頭先生や校長先生、主任の先生とよく話し合って決めた発表だけど……保護者や生徒の不安を想像すると「これで本当によかったのかな?」とも思ってしまうのです。
その放課後、教頭先生に呼ばれました。 応接室に通されると、教頭先生から一通の手紙を渡されました。封筒を裏返すとサクくんのご両親の名前が連名で書いてあります。 教頭先生に促され、不安ながらもその手紙を読み始めました。
手紙を読んで、自然と涙が出てきました。 サクくんのご両親が不安を抱えるなか、こんなに感謝と愛情がこもった手紙を書いてくださったことに感動したのです。
今日の朝もサクくんが泣いていたので行ってみようかと思っていたところ、いつも暗い顔をしていたサクくんのお母さんが明るい笑顔でサクくんに語り掛け、私が連れて行っていたカエルがいる池まで一緒に歩いていくところを見たのです。
後日、補助の先生を交えてサクくんと接する機会を作りました。 まだサクくんは緊張気味ですが、触れ合う機会を重ねていけば緊張も解けていくことでしょう。 いつ私が抜けても大丈夫なように、サクくんが安心できる関係を補助の先生と作ることができればと願っています。 教頭先生はじめ、ほかの先生方も協力してくれています。 私もできる限りのことはして、無事に元気な赤ちゃんを産もう。 それがきっと恩返しになるはず。 今はそう思っています。