誠心会 養護施設 退所後を支援 池田町に自立援助ホーム
児童養護施設や里親などの社会的養護を離れた若者(ケアリーバー)の自立支援を行うため、横須賀市内で児童養護施設などを運営する誠心会(池田町)が2月、「しらかばこども家庭支援ステーション自立援助ホーム」を開所した。所長の浜田和幸さん(65)=人物風土記で紹介=は「施設退所後の若者の健全な自立を促すため、必要な支援をしていきたい」と話す。
経済困窮、孤立化に懸念
児童にとって家庭に代わる生活の場となる児童養護施設。以前は18歳までの退所が基本とされていたが、2024年に改正児童福祉法が施行され、ケアリーバーの支援体制の強化が全国で進んでいる。
ケアリーバーは養護施設退所時に約50万円の現金を受け取り、就職や進学に向けて準備を行うのが一般的だ。「かつては10万円、数万円という時代もあり、国の意識も変わってきている」と浜田所長は支援体制の拡充を評価する一方、若者が金銭感覚を身に付けていないまま独立するリスクも指摘。「初めての一人暮らしで、計画性を持たずに散財してしまう人もおり、消費者トラブルに巻き込まれることもある」と課題を感じている。
退所後、入所していた施設や支援を受けていた自治体との連絡が取れなくなるケースも多い。2020年には厚生労働省がケアリーバーに関する全国調査を実施しているが、児童養護施設出身者の中で、連絡が取れて調査票を配布することができたのは、約17%にとどまる。「退所後の生活について、施設としてはフォローできないことも多い」と顔を曇らせる。
「お金の使い方や社会人としての基本など、社会に出て困らないような支援体制の整備は喫緊の課題」と浜田所長。横須賀市も来年度予算案で「社会的養護自立支援拠点の開設」を計上しており、来年1月の開所を予定している。
自立援助ホームでは、そうした現状に直面するケアリーバーの憩いの場として、児童福祉士などが学校や職場、生活での困りごとの相談に応じる。同施設では「些細な不安でも気軽に話してほしい」と利用を促す。問い合わせはしらかばこども園【電話】046・834・0690。