【小曽根真さん インタビュー】11/29福岡シンフォニーホールで一夜限りのプログラムを開催
自身のソロ活動はもちろん、ビッグ・バンド「小曽根真 No Name Horse」や若手アーティストの演奏を支援するプロジェクト「From OZONE till Dawn」、また世界的なオーケストラとの共演など、エネルギッシュに活躍する小曽根真さんは世界的なジャズピアニスト。
11月29日(金)には『小曽根真 ピアノソロ “クラシック×ジャズ” 2024』が開催されます。「シンフォニーホールでソロで弾けるのは、チャレンジングでありながら至福の時間」と語る小曽根さん。合同記者会見ではコンサートへの意欲や、ゲストに迎えるトランペット奏者の松井秀太郎さんについてお話いただきました。
――松井秀太郎さんとのデュオで期待していることは?
僕はジャズ側からクラシックに入った人間で、秀太郎はクラシック側から来た人間。国立音大でジャズをはじめて4年であんなに吹けるようになったという天才。その二人がクラシックとジャズとジャンルを超えたところで、二人にしかできない世界を作っていくコンサートということで楽しみしています。
――松井さんは若手音楽家の演奏を支援するプロジェクト「From OZONE till Dawn」や、ビッグバンド「Makoto Ozne No Name Horses」のメンバーでもあるんですよね。
ぼくがやっているビッグバンドのNo Name Horsesにも今年から参加してもらったんだけど、秀太郎はずば抜けてリズム感がいいんですよ。リードトランペットのエリック・ミヤシロも可愛がっていて、みんなが刺激を受けています。アルバムではみんなの音が20歳くらい若返ったんじゃないかな?(笑)。テクニックはあるけど、あのキラキラ感や潔さは出せない。「No Name Horses」に若い3人(Tp:松井秀太郎、Sax:隆悠、Bass:小川晋平)が入って来てくれたことで、化学反応をおこしてバンド全員が若くなっています。何かに向かっていくエネルギーをもらっていますね。
――松井秀太郎さんはどんな方ですか?
NYでレコーディングをしたとき、一流ミュージシャたちが「彼は演奏したい方向がクリアだから一緒にやっていて楽しいしラク」だと言っていましたね。数本のトランペットを持って来ていて、曲によって吹き変えるんですが別人かというくらい音が全然違う。普通は大きな会場だとビビるんだけど燃えるんです。ホール自体が楽器になるので、シンフォニーホールでは幸せな顔して吹くんじゃないかな~?きっと楽しみにしていると思います。
――松井さんの音楽家としての良さも教えてもらえますか?
抜群にトランペットが上手いし、音楽家として技術が備わっている。昔のウィントン・マルサリスみたいだと言う人がいました。NYのレコーディングでは一流ミュージシャンに助けてもらうどころか、全員の内容や会話から自分の表現をしていった。それは自分でやりたいことが見えているということだと思います。
――11月のコンサートはどのような編成を考えていますか。
曲目に関しては決まっていないけど、秀太郎がこの前に録音した「死の舞踏(サン・サーンス)」はやろうと思っています。普段はピアノとトランペットでやらないクラシックをできたら・・・・・・と思っています。実はここでしか生まれない音楽というのをずっと考えていて、僕がやったコンサートがベースになり発展しアルバムになることが多いんです。幾つかある候補から秀太郎とじっくり考えて、このコンサートでプレミアを出してきたいです。
――ソロのとき、誰かと組むときと自由度は変わりますか?
二人でやるのが一番自由にやれるかもしれませんね。三人いると横やりが入ることで活性化することもあって発展はしていくけど、向き合っていく感じになるのはデュオ。自由でありながら、深いところまで掘り下げた会話ができます。デュオは大好きな人と密な時間を過ごしているというインティメントなものになります。合わない奴とすると地獄になりますね(笑)。
ソロというのは特殊で、自分の中でバンドが鳴っているんです。自分が弾いてるけど、ワンマンオーケストラになっている感じです。自分が弾きながら、自分が観客になっていくという不思議な現象が起こるんですよ。
――ジャズでは即興演奏が大きな特徴ですが、即興の中で大切にしている感覚は?
分かりやすくいうと、可能な限り嘘がないこと。言葉が詰まるようなことが即興でもあるんですよ。上手い人は音を埋めますが、それを弾かないで次が聴こえてくるまで待つという言葉を探します。コンサートだから実は怖いけど、それは悩んでいる時の音楽です。でも、それが即興で演奏するときに一番大切なこと。見事に弾き終えることじゃなくて。
トリオだと相方が突っ込みをいれてくれたりして、刺激があって楽しいです。二人居たら詰まったときも会話になって、物語になっていく。お客さんはそんな真実の音楽に惹かれていくんじゃないかな。音楽はすごく素敵なランゲージだと思っているので、僕はジャズをやる時は心掛けています。それでも怖くて弾いちゃう自分がいて「やっちゃったー」となるけど、それすら楽しんでいます。一番の味方と敵が自分の中にいます。
――恩師であるヴィブラフォン奏者ゲイリー・バートンから教わって、若手につなげていきたい大事なことは?
思いきり好きに演奏すること。そして、お客さんやスタッフさんへの感謝の気持ちなども含めて、一流になって欲しいとプロとしての意識は話しますね。日本にいると若い子は先輩ミュージシャンから称えられることが少ない。厳しさと愛情を持って「君たちのことを信頼している。君たちの才能はすごいよ!」ということを彼らに伝える努力をしています。それはゲイリーからバトンを継いでいます。彼らにも「20年もしたら後輩にしていくんだよ」と音楽家を育てることは伝えています。
音楽への情熱や演奏に対する真摯な姿勢を語ってくれた小曽根さん。特に、松井さんとの共演については音楽的な対話が生まれる瞬間を楽しみにされていました。お互いの個性が織りなすハーモニーが、どのように会場を彩るのか期待が高まります。
「小曽根真 ピアノソロ “クラシック×ジャズ” 2024」はアクロス福岡シンフォニーホールで11月29日(金)に開催。チケットは残りわずか。
小曽根真 ピアノソロ “クラシック×ジャズ” 2024
●イベントお問い合わせ先
ヨランダオフィス・チケットセンター(TEL:0570-033-337/092-406-1771/10:00~18:00)
●日程
2024/11/29(金)〜2024/11/29(金)●イベント公式URL
https://yolanda-office.com/concert/20241129.html
●会場アクロス福岡シンフォニーホール