『ザ・バットマン』スピンオフ、ショーランナーのインタビューが到着!
映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』のスピンオフドラマ『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』でショーランナー/製作総指揮を務めるローレン・ルフランのインタビューが到着した。
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『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』ローレン・ルフラン インタビュー
この作品にはヒーローもヴィランもいない
本プロジェクトに参加した経緯
HBOから、コリン・ファレル主演で“ペンギン”を描くリミテッドシリーズに興味はないかと連絡がきました。マット・リーヴスの映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』が公開される前だったので、私としては「どうだろう…何も知らないけど、マットの作品の大ファンではある」という感じでした。その後はあっという間のことでした。マットと製作のディランに会って話をしました。マットと話し始めたら、ストーリーにおける展開、キャラクター、感情の変化について、意見がぴったりと一致しました。
ソフィアのキャラクターについて
本作でオズと相対するのを誰にするべきかを考え始めたんですが、コミックを読んで育ち、映画やテレビで犯罪ドラマをたくさん見てきた経験から、女性のキャラクターは後回しにされがちで、興味深い人物として描かれることが少ないことを知っていました。だから本作の製作陣が特別な作品を作りたいと考えて私に脚本を任せてくれたことを真剣に受け止めた上で、興味深くて複雑な女性を前面に押し出したいと思ったんです。
ソフィア・ファルコーネはコミックや『Batman:The Long Halloween』ではまったく違う描かれ方をしています。でも彼女はカーマイン・ファルコーネの娘だから、本作に彼女が登場するのは自然な流れだと感じました。そこから彼女について考えたのです。ソフィアのどういうところが興味深くて、どこが他と違うのか?私が書きたいキャラクターはどんなタイプなのか?彼女を通して何を伝えたいのか?ということです。
ソフィアが有力な家の娘であることから、ケネディ家の“隠された娘”で精神障がい者と思われていたローズマリー・ケネディを思い出しました。実際にローズマリーが病んでいたのか真偽のほどは不明です。彼女が入れられた精神科病院には、“ヒステリー”という名目で多くの女性が入院させられていました。
そしてコミックでアーカムはある種の精神科病院のように描かれています。本作は現代的なものにしたかったので、ソフィアがアーカムに入っていたことにしても構わないかをマットに尋ねました。私はソフィアを精神障がい者にしたくなかった。正気の人間が精神科病院に入れられていたら面白いと思いました。だから第1話でのソフィアは、オズや他の男たちを当惑させる存在として描かれています。謎めいていて、男性視点の犯罪ドラマに登場する典型的な女性といった感じです。
だからこそ私にとって、後半のエピソードでソフィアの本当の姿を描くことが重要でした。彼女を知っていくと、複雑な内面を持つ女性だと分かります。ある意味、この作品にはヒーローもヴィランもいない。黒も白もない。でもソフィアに共感し、オズの中の闇を理解することが重要だと感じました。オズはとても魅力的だし、オズの手ごわい敵としてソフィアのことも魅力的に見せたかったんです。本作で誰が主人公で誰がアンチヒーローだと決めつける必要はない。ソフィアはオズとは対照的な人物で、彼女の苦境に共感する人もいると思います。
脚本における全体的な目標
オズという人物を解明することに興味がありました。私たちの世界にはオズのような男性がたくさんいて、オズのように成功した男性もたくさんいると思います。私は自分なりの視点でゴッサムの有毒な男性性と階級間の格差について語りたかったんです。『THE BATMAN-ザ・バットマン-』ではリドラーが防波堤を爆破して洪水が起き、街は最悪な状況に陥った。ジャンル映画の醍醐味は私たちの世界を反映した物語を語れることですが、舞台はゴッサム・シティで現実にある街とは違います。だからアメリカの実際の街について語るのは難しい場合でも、ゴッサムでならできることもあるのです。
それは私にとって本当に興味深いことでした。私は性格劇が大好きでキャラクターを深く掘り下げたいんです。本作は、とても魅力的でパワフルで、利己主義者で暴力的で怒りっぽいという、問題の多い男を描き出すいい機会になりました。オズはとても興味深い人物だし、彼とは対照的な人物が刺激となり、それぞれのキャラクターの内面がさらに浮き彫りになっていきます。また本作ではゴッサムという街全体も1つの重要なキャラクターだと思います。
主演コリン・ファレルの印象
コリンの変身がもたらした影響
インパクトは絶大でした。私が本プロジェクトに参加した時、マットは『THE BATMAN-ザ・バットマン-』を編集している途中だったので、映画の脚本しか見ることができませんでした。映画でオズが出てくるシーンは少ないですが、彼がユーモアのあるキャラクターなのは分かっていました。私はいろいろなトーンを組み合わせるのが好きです。コメディは私にとってすごく重要。だからオズの声に耳を傾けるのはとても刺激的だったのです。
その後、マットが『THE BATMAN-ザ・バットマン-』で編集の済んだ最初の40分を見せてくれて、オズの姿が見られました。コリンは本当にすばらしかったです。マイク・マリーノと彼の特殊メイクチームは真のアーティストです。本当に驚かされました。コリンの演技にも圧倒されました。アクセントから何から細部に至るまで驚異的で、特殊メイクをしてるなんて全然思えない。
脚本家として、あるキャラクターをそのキャラクターのまま受け止めるのは初めての経験でした。私にとってオズは1人の男性で、コリンとは別物です。コリンがオズを演じているのは知ってるし、コリンのことは大好きだけど、私がオズのことを頭に思い浮かべる時はオズそのままを想像していて、コリン・ファレルが演じているキャラクターを想像しているわけじゃない。それは本当にエキサイティングなことで、私の世界を広げてくれました。
オズの考えやダークなユーモアのセンスをどう伝えるかを、多くの時間を費やして考えました。オズが何を求めて、何が彼を突き動かしているのか。本シリーズは明るいトーンで始まり、物語が進むにつれて暗いトーンへ変わっていく。コリンと私は、オズになりきるとはどういうことなのか、文字通り彼の中に入り込むとはどういうことなのかについて、何度も話し合いました。
脚本家である私は演じるわけではないけれど、ある意味オズになりきって、彼の心の闇や利己主義的感覚を共有しなくてはならない。それは自由を感じることでもあります。やりたい放題、言いたい放題の中年の白人男性を書くのは解放感がある。オズになりきるのはある程度は楽しかったけど、ずっとはつらかった。コリンとは違う意味でオズになりきるのは好きじゃないし、コリンも同じ気持ちだったようで、彼とはたくさん話しました。でもとてもワクワクする特別な経験でした。
コリンとの電話会議
すごく緊張したのは覚えています。私が考えたストーリーをコリンに気に入ってもらいたかったし、オズの心理に対する私の考えを理解してもらいたかった。そしてコリンが思うオズの人物像についても聞きたかった。コリンはすでにオズというキャラクターに入り込んでいて、背景までしっかり考えていたので、とても刺激的な電話会議になりました。
コリンはとても感じが良くて驚くような質問をしてくるんです。とても賢いです。いい協力関係になれたと思います。私もいろいろな意見を出して、それをきっかけに絶え間ないやり取りが続きました。オズというキャラクターがどのような人物で、彼がどのように変化していくかについて、ひたすらコリンと話し合いました。コリンは脚本を読みながら、様々な質問や意見を言います。シーンを行きつ戻りつしながら、コリンの意見を取り入れて脚本を変更した部分もあります。本当に有意義な会議でした。
ゴッサム・シティを舞台に女性の視点を取り入れた
本シリーズで視聴者に発見してもらいたいもの
この作品にみんなが何を期待しているのかは分かりません。『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』というタイトルから、恐らく多くの人がDCコミックを基にした物語だと思うでしょう。私が期待するのは、本作が大半の人たちが期待するものとはまったく違うものだと気づいてもらうこと。この作品には深みがあり、役者たちの演技は目を見張るものがあります。
コリン、クリスティン、ディードル、レンジーら、役者陣の演技のすばらしさをぜひ見てほしいです。とにかく驚かされるはずです。そして本作が個性的で独自の魅力を持つ作品だと感じてもらいたいです。私ならではの犯罪ドラマを書いたつもりです。ゴッサム・シティを舞台に、女性脚本家として、ある意味女性の視点を取り入れました。
でも主人公はオズなので、同時に男性的な力強さも感じてもらえると思います。いろいろなトーンが混在しています。だから視聴者の期待が何であれ、その期待をいい意味で裏切って、『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』を見たいと思っていなかった人にも興味を持ってもらい、期待以上の内容になっていることに気づいてもらいたいです。
(海外ドラマNAVI)
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