【きしめん】名古屋駅で一番かき揚げが美味い「住よし」vs 池袋「爽亭」 / 両者の差の本質は味やウマさではない可能性
今ちょうど名古屋駅にいるのだが、腹が減った。そういや、名古屋ってきしめんが有名だったな。新幹線のホームで食えるらしい。
ぶっちゃけ最低でも10年以上前から池袋駅に同じ系列の「爽亭」があるのでそんなに……とも思ったが、やはりきしめんは愛知でこそ食べるべきだろう。
それに、確か在来線のホームには揚げたての天ぷらを出す店舗があるという。ようし、じゃあ今回は、名古屋駅最強の「住よし」と池袋「爽亭」を食べ比べてみようじゃないか。
・セントラル
ということで在来線ホームへ。揚げたてを出す「住よし」は昔から有名だが、場所は過去に変わったことがある可能性がある。ネットでは情報の発信時期に応じて3番4番線ホーム説と7番8番線ホーム説が見受けられるからだ。
まずは3番4番線ホームをチェックしよう。
店はあるが……ここが揚げたてを出しているかは判別不能。そのような情報は確認できない。ネット民によると張り紙が出ているらしいので、違う店舗な気がする。
では7番8番線ホームに行こう。
ここの店舗は……
!!
ということで皆さん、名古屋駅在来線ホームで天ぷらが揚げたてなのは、7番8番線ホームの店舗です。これが2025年の最新の情報です。
東京だとうどんの部分が全てきしめんだ。これが名古屋クオリティか。
オーダーしたのは「牛肉(玉子)きしめん」に、トッピングのかきあげ。揚げたての店舗だからな。天ぷらを頼まない手は無い。
調理場を撮影するのは控えたが、確かにカウンターから見て左手奥に揚げ物用のスペースがあり、私のかき揚げはそこで揚げられたものが直行で届いた。
見るからに揚がっている! 全くシナシナしていない。
そしてきしめん。まあ、麺については同じ系列ならどこで食べようが差は出ないと思う。しかし名古屋で食べるきしめんには、池袋で食べるきしめんよりも旅情バフがかかっている。食べ物ってのは、そういうのも大事だよな。
しかし注目ポイントはきしめんではなく、やはり かき揚げだった。カラッカラでゴリゴリだ! 駅ホームの立ち食い店舗でこのカラっとした天ぷらを食えるというだけでも圧倒的に強い……!
そしてけっこう違う気がしたのがつゆ。個人的に “つゆ” という日本語が嫌いなのでスープにしよう。きしめんスープが、東京よりマイルドな気がする。
東京ではこの手のスープは、だいたい濃く、塩気も強い。いわゆる関東風みたいな。しかし名古屋のこれは薄口で、しかし関西風とも違う気がする。飲み切ってしまっても健康に悪くなさそうな気がする味わいだった。
食べている間に店舗に業務連絡と思しき電話があったのだが、スタッフがこの店舗を指して「セントラルです」と応じていた。推測するに、7番8番線ホームの「住よし」は、名古屋駅の「住よし」店舗群における本拠地のようなものなのかもしれない。
・爽亭
こうして名古屋駅のきしめんを制した私がやってきたのは池袋駅。ここに「住よし」と同じ会社が運営する「爽亭」がある。池袋駅でJRを利用する人は全員知っている疑惑。
昔からきしめんを出していたかどうかは記憶にないが、とりあえず店舗がだいぶ前からあるのは間違いない。
試しにGoogleで検索してみたところ、2009年の時点でレビューがあった。つまり最低でも16年前からあるもよう。
何度か食べたことがあるが、感想を記録しながら食べたことは無いのでいい機会だ。きしめんが複数あるが、実は全てのベースは「東京きしめん」。
「東京きしめん」に牛肉やらを乗せたら「牛玉きしめん」になり、かき揚げやらを乗せたら「桜エビ乗せかき揚げきしめん」になるそう。スタッフに聞いたらそう教えてくれた。
今回はかき揚げとスープのチェックをしたかったので、「桜エビ乗せかき揚げきしめん」をオーダーした。出てきたのがこちら。
見た感じでは、スープの色は似たようなものか。店内の光の具合も違うので、厳密にはよくわからないが、パッと見て判別できるようなものではないと思う。
きしめんの具合も似たような感じ。
そしてかき揚げは……
いやもう店内の光とかそういう問題じゃないな。これが “揚げたて” の強さか……! 別の料理かってくらい違うじゃんね。
名古屋の揚げたては、箸にもカブトムシをつまんだ時に匹敵する硬質感が伝わってきていた。対して東京のは力加減を間違えると、牛乳に浸した新聞のごときソフト感。
しかしこれは名古屋でも、7番8番線ホームではない店舗だと、東京クオリティな可能性がある。
そしてシナシナかき揚げは、染み出た微妙な油テイストが、スープや麺のフレーバーにも微妙な影響を与えている。
おい、名古屋駅の新幹線ホームでかき揚げきしめんを食って喜んでる、そこの関東民たち。諸君らは、本当の喜びを知らない。かき揚げを付けるなら、7番8番線ホームで食わないと、美味さが半減くらいしててもおかしくないぞ……!
そしてスープだが、飲んだら東京の方がやっぱり濃かった。スタッフにも聞いてみたところ「東京きしめん」は関東向けの味付けらしい。具体的に何の素材がどう違うのかは不明だが、普通に関東向けの醤油がベースなのではなかろうか。
ということで、名古屋と東京で食べ比べた同じ系列の店舗のきしめん。全てを持っていったのは、名古屋の揚げたて天ぷらだった。麺とスープについては同クオリティだろう。
関東民は慣れた濃い味の「東京きしめん」を好ましく感じる可能性が高いだろうし、関西民はマイルドな名古屋のきしめんを好ましく感じる可能性が高いと思われる。
しかしこれは、きしめんのみに限って言えば、半ば神格化されていると言っても過言ではない名古屋駅のきしめんと同等のものを、池袋でも食べられるということだろう。
しかし池袋の「爽亭」が名古屋駅のきしめんほど注目されていないように見えるのは……結局名古屋にあるか、東京にあるかなのだろう。関東民は池袋駅に趣も何も感じないので……。
食べ物は時に、ウマさとは無関係のものが大きな意味を持ち得る。両者にある差の究極的な要素はそこかもしれない。
ところで名古屋民はどれほどきしめんを食べるのだろうか? 例えば香川民のうどんとか、広島民のお好み焼きのようなガチ度で食べているのだろうか? 微妙にそこまで食べて無さそうな気配を感じたのだけれど。
参考リンク:ジャパン・トラベル・サービス
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.