表参道のたまごかけごはん専門店に来たはずが「旅館に来た」と錯覚してしまった理由 / 表参道『たまごぐらし』
「幻の卵屋さん」をご存知だろうか? デパートや駅の催事で出店している、銘柄たまごをバイキング形式で販売するお店である。私(佐藤)も時々見かけるんだけど、その場でたまごかけごはんを食えたらいいのになあ……。といつも思ってしまう。
そんな私のささやかな願いをかなえてくれるお店が存在した! 幻の卵屋さんを運営する「日本たまごかけごはん研究所」が監修する、たまごかけごはん専門店が東京・表参道にオープンしていたのだ! 行ってみたら、旅館の朝食みたいなのが出てきてびっくりした。
・お重スタイル
お店の名前は「たまごぐらし」。表参道交差点の間近、東京メトロ表参道駅のA3出口を出てすぐの「FESTAE表参道ビル本館」の5階にある。
とくに目印のようなものはない上に、建物の入口に看板らしきものもない。これは一見さんが来にくい場所だな。この建物にたまごかけごはん専門店があるなんて、知ってる人じゃなきゃ入って来れないのでは。辛うじて、エレベーターホールの前に立て看板が置かれている。それでもやっぱり表からは気づきにくいんじゃないかなあ……。
入ると私のほかにお客さんはいなかった。昼過ぎとはいえ、やはりもう少し目立つ形で看板を出した方がいいのでは……。
さて、メニューを見ると、全部お重で出てくるようだ。もっともシンプルなたまご食べ比べ2種に小鉢セットと赤味噌汁の付くお重が税込1400円。高い方だと、たまご3種とおばんざい3品、赤味噌汁がつく三段のお重が税込2700円となっている。
私はたまご3種と小鉢セット、ブランドたまごサラダにおばんざい1品と赤味噌汁の三段お重の税込2400円のものを選んだ。
メニューの裏面を見ると、たまごかけごはんの食べ方の図解がある。こんなにあるのか!? 私は全卵を落として、ご飯の上で黄身を崩すスタイルなので、「The Fall」になるのかな?
「SK」(醤油かけごはん)や「TK」(たまごだけ)はたまごかけごはんじゃない。「Imagination」の食べないって何なんだか……。
・旅館の朝食!?
オーダーすると、まずは食べ比べるたまごを取りに行く。幻の卵屋さんのバイキングと同じように、自分の好きなものをチョイスできるのだ。常時6種以上を用意しているそうで、この日は全部で7種類。1つは熊本県産の「タマンゴ」。市場価格は1個888円もするのだとか。これはプラス500円の追加料金がかかる。
たまごは外見の違いが乏しいので、自分でシールを貼って目印にするそうなのだが、私はシールを貼ったにも関わらず、どれを取ったか曖昧になってしまった。多分、アレとアレとアレのはず……。
それから無料トッピングも用意されている。ブラックペッパー・山葵(わさび)・サクサクしょうゆアーモンド・生こしょうの塩漬け、それから研究所の公式七味が2種と公式マヨネーズだ。この辺も研究所の監修によるものだろう。
取ったたまご、白シールは「十六代真っ赤卵」、これは間違いない。最初に取ったから覚えている。青シールが多分「かっぱの健卵」。それから緑シールが「もみじたまご」。この2つがどっちがどっちだったかな~、多分この順番で間違いないはず~……。
たまごを準備したら、なんかスゴイの出てきた! お重にご飯のおひつ!? 旅館やん、このセットは完全に旅館の朝食やんか!
ご飯をお茶碗によそって、最初のたまごを投下して準備完了。そしてお重を展開したらこうなりました。やっぱり旅館! 完全に旅館です!
まさか表参道で、こんなに風情のある昼食を食べられるとはね。これも時代の流れか……。
・奥深きたまごかけごはん
最初の1玉に選んだのは、真っ赤卵。その名の通りに赤い卵黄が特徴で、これは「いきなり! ステーキ」のペッパーフードサービスが昨年12月にオープンしたすき焼き専門店「すきはな」でも使用しているものだ。
最初にこれを食べたことを、私はあとで少し後悔する。というのは、このたまごは色もさることながら、味も濃い。甘味が強く濃厚なので、これを先に食べるとあとのものが全部薄く感じてしまうのである。
だから、真っ赤卵を食べたいという人は、ほかのたまごを食べたあとにすることをオススメする。
続いて小鉢はセロリの浅漬け、香の物、キムチ。そして味玉のねぎ塩の4種。その味玉なのだが、黄身が白かった!
黄身は黄色だから黄身なのであって、白い黄身ということは白身!? でも、食感は黄身だ。これは「パール卵」というのかな? 見た目も味も面白い。
お次は青いシールを貼ったかっぱの健卵。割損じて黄身が崩れてしまった。いい歳して生卵もまともに割れないとは不甲斐ない……。
臭みが少ないのが特徴で、キレイな黄色をしている。味もあっさりとしていて、卵白もさっぱり。たまごかけごはんで頂くのも良いのだが、オムレツとかホットケーキ、スポンジケーキなどに使用すると、焼き上がりがキレイでほかの食材を上手に引き立ててくれる気がする。
最後はもみじたまご。今度は上手く割ることができた! 51歳でもやればできるじゃないか!
これは広島県産の純国産鶏もみじたまごなのだとか。先のかっぱの健卵とは対照的に白身にやや粘りがあって、口当たりはもっちりといった感じ。これでスポンジケーキを焼いたら、ふっくらと焼き上がるかも。ほのかな甘さも魅力のひとつ。七味や山葵と合わせると味が引き立つ。
日替わりのおばんざいもブランドのたまごサラダも、手づくりの優しい美味しさだった。個人的には真っ赤卵の味が跳び抜けて濃厚だったので、次に行くときは真っ赤卵を締めの1玉にしたいと思う。
とにかく、たまごかけごはんは奥が深いので2度3度と通って、自分好みを発見せねば。あなたも深淵なたまごかけごはんの世界へ。表参道で旅館の朝食のような食事を体験して頂きたい。
・今回訪問した店舗の情報
店名 たまごかけごはん専門店 たまごぐらし
住所 東京都港区南青山3-18-19 FESTAE表参道ビル本館5階
時間 11:00~17:00(L.O.16:30)
定休日 不定休
参考リンク:PRTIMES、日本たまごかけごはん研究所
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24