【大阪】スーパー玉出に429円で売ってた『すき焼き』が上級者向けすぎて人間としての力量が問われる
私が「大阪といえばスーパー玉出」という情報を知っているのは、たぶんワイドショーとかバラエティ番組で刷り込まれたからだと思う。テレビで見た玉出は豆腐が1丁1円とか、モヤシが1袋1円とか、とにかく “安さ” がクローズアップされていた気がする。
しかし実際に玉出を訪れてみると、1丁1円の豆腐は見当たらない。つまり、ああいうのはルールを把握し、セールの日を狙って来なきゃダメなワケなんだね。ああ見えて意外と難易度が高いもの……それがスーパー玉出。
そんな玉出で「見たことないほど難易度が高い惣菜」を見つけたのでご紹介したい。
・ありそうでないもの
先日、大阪を訪れたときのこと。そこに玉出があったので、私は入店した。
そして惣菜コーナーで見つけたのが……
『すき焼』(税込429円)である。
冷静に考えてみてほしいのだが、皆さんは「すき焼きそのもの」が惣菜として売られているのを見たことがあるだろうか? 『すき焼き弁当』はたまに見る。だがアレはしょせん、すき焼きっぽく煮たオカズを詰めた弁当にすぎない。
対して、コレは正真正銘「すき焼きそのもの」……しかも温泉玉子入りである。温玉入りはさすがに気が利きすぎだ。これ1つで鍋が完結していることになるではないか。
もしかすると大阪では普通のことなのかもしれないが、少なくとも私はこんなの見たことない。自分が旅行者であることも忘れ、迷わず買った。
ホテルへ戻ると温玉にヒビが入っていたが、「そりゃ入るだろ」って気もした。温玉入りの惣菜といえば、頭に浮かぶのは『冷やしそば』。アレはプラスチックの容器とフタで厳重に保護されているから割れない。
しかし玉出の『すき焼』は、無造作にパックに入れられた温玉にラップをかけただけ。どこかへぶつけたら即終了であるうえ、上に他の商品を乗せることもできない。割らずに持ち帰るのはなかなかハードモードといえよう。
・我々は試されている
さて問題はここからだ。すき焼という性質上、温めずに食べることはあまり現実的でない。よってレンチンする必要が生じるが、卵をレンジにかける行為は厳禁とされている(爆発するから)。仮にレンチンできたとして、温玉を加熱しちゃ元も子もない。
そのあたりの疑問について、説明や注意書きは一切ないのだ。「自分で考えて行動しろ」ということなのだろうか? 便利さに慣れ切った現代日本人のサバイバル力が試されているといえよう。
考えたすえ、私はラップを少し破いて温玉だけを取り出した。ここが自宅であれば “追いラップ” をするところだが、ホテルなのでどうしようもない。そもそも惣菜とはパック1つで完結するよう作られているものなので、厳密にいうと追いラップは反則である。
そこからホテルのフリースペースにある共用レンジへ。恥ずかしいので袋に包んで。決して汁をこぼさないように。
共用スペースにすき焼の匂いが充満していく。逃げるように自室へ戻る私。
・コスパのバケモン
そして温玉の殻を破り、トレイに戻すと……
めちゃめちゃ見栄えのいいすき焼が現れた!
煮汁もバッチリ染み出している。すき焼は地域によって具材や味が微妙に異なる料理。果たして大阪のすき焼はどうか?
「ああ、大阪ですね」って感じの味だった。甘さはあるけど甘すぎず、ダシがしっかりしていて優しい印象。もちろん「お店の味」とはいかないが、自宅で作るすき焼と遜色ない感じだ。味が染みておいしい。
さて問題は牛肉。約400円という安さゆえ、正直「噛み切れればラッキー」くらいに考えていたのだが……
これ全っ然ウマい!!!
もちろん「口の中でトロける」とかはない。逆にこの値段でトロけられたらたまったもんじゃない。でも、全然柔らかいし全然イケる。家で出されたらメッチャ喜んで食べる……つまり、これはコスパの問題だ。コスパという点を加味すると、世界トップクラスにおいしい牛肉なんじゃなかろうか?
今回、私の一番のお気に入りは「うどん」だった。汁に浸かった状態で長時間放置されたにも関わらず、このコシとモチモチ感は何なのか? 私はすき焼における卵の存在をあまり重要視するほうではなかったが、ここへきて温玉のありがたみを痛感した。すき焼に卵は絶対必要。
玉出のすき焼は、パック1つでじゅうぶん1食まかなえるボリュームと満足度だった。これで税込429円は狂気の沙汰だと思う。何も1円のモヤシを狙わずとも、そのそものポテンシャルが高いスーパー玉出。大阪を訪れたらのぞいてみるべし!
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.