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雪の妖精「シマエナガ」や史上最大の飛翔できる鳥「ペラゴルニス・サンデルシ」などが鎮座 特別展『鳥』レポート

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特別展『鳥 ~ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系統~』

鳥類をテーマとした特別展『鳥 ~ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系統~』が、2025年2月24日(月・休)まで、東京・上野公園の国立科学博物館(以下、科博)にて開催されている。

生態系のピラミッドの中で多様な役割を負い、人間に次いでゲノム解析が進んでいるとされる鳥類。本展は科博で初めての鳥類をテーマとする展覧会で、ゲノム解析によって明らかになった最新の系統分類を基に体の構造や生態を紹介し、起源や進化を解説するものだ。

以下、本展のアンバサダー・音声ガイドナビゲーターを務めるレイザーラモンRGと高柳明音が登壇した報道内覧会の様子を紹介しよう。

レイザーラモンRG「最高のテーマパーク」

「日本野鳥の会」の会員だというレイザーラモンRGはバードウォッチャースタイルで現れ、本展を「僕の中では最高のテーマパークというか、ずっといたいくらい」と絶賛。圧倒的な物量で主催者の気持ちが伝わってくると述べた。

左から:高柳明音、レイザーラモンRG

鳥をあしらった服で登場した高柳明音は、子どもの頃から鳥が好きなのだそう。本展は分かりやすくて充実しており、「たくさんの人に来てほしい」内容だとコメント。今回初めて復元された史上最大の鳥「ペラゴルニス・サンデルシ」の実物大生体モデルに関し、「本当に大きくて、鳥展ならではの見どころ」とした。また本展では、見慣れている鳥でも改めてじっくり見ることができる点に触れ、勉強になり、自然に知識を得られる機会であることを強調した。

レイザーラモンRGのおすすめの展示エリアは猛禽類のコーナーだそうで、「かっこいいし、ヒーローが並んでいる」とコメント。「眼で見て感じてほしいですし、何度でも来てほしい」と語った。高柳明音は「入口の右側にいるシマエナガがかわいいので見逃さないでほしい」と微笑みながら告げ、ゲノム解析による新しい発見が反映されている点にも注目したいと熱弁。鳥への愛情と展示にかける思いを披露した。

レイザーラモンRG一押しの、第6章「猛禽とそのなかま」のコーナー

高柳明音がお勧めする、入口の右側にいるシマエナガ


貴重な標本がずらり! 多種多様な鳥たちが大集合

本展は、序章「鳥を知ろう」をはじめとし、第1章「鳥類の起源と初期進化」、第2章「多様性サークル」、第3章「走鳥類のなかま」、第4章「カモやキジのなかま」、第5章「陸鳥と水鳥のなかま」、第6章「猛禽とそのなかま」、第7章「小鳥のなかま」、第8章「鳥とともに」という9つの章から構成されている。

序章「鳥を知ろう」

会場には、多種多様なはく製や骨格標本がずらりと並ぶ。もともと筑波の収蔵庫にあったものや、他の博物館などから選り抜かれた見栄えのいいものを集めているとのことで、いずれも非常にきれいな状態だ。身近な鳥や知っている鳥であっても、静止している姿を見られるのは貴重な機会といえよう。

第6章「猛禽とそのなかま」インコ目

優雅な姿のハクチョウや絵画などで馴染みの深いオシドリ、姿も生態も独特なペンギン、猛々しい猛禽類とその仲間、ゴクラクチョウの異名で知られる美麗な姿のフウチョウなど、見た目も生態も異なる鳥たちが集結。鮮やかな羽毛や個性豊かな顔、ユニークなポージングなど、特徴が際立つ形で展示されている様は圧巻だ。

第4章「カモやキジのなかま」カモ目

第5章「陸鳥と水鳥のなかま」ペンギン目

第6章「猛禽とそのなかま」フクロウ目

第7章「小鳥のなかま」オオフウチョウ 国立科学博物館蔵


最新の研究結果を目の当たりに

近年は鳥類のゲノム解析が進み、進化の道筋などが分かるようになった。本展は最新の研究結果に基づき、系統を基にした分類の「目」ごとに会場をレイアウトして鳥類を紹介している。

鳥の系統樹

翼開長が7mもあり、飛ぶことができる鳥類としては最大の鳥、ペラゴルニス・サンデルシの実物大生体モデルが復元できたのは、テクノロジーの成果である。およそ2600万年前に生きていたこの鳥の復元は史上初めての試みで、現生鳥類の研究者と鳥の化石の研究者が協力し、体の構造を調べながら形を探ったそうだ。会場のペラゴルニス・サンデルシは造形や羽毛の質感などが大変リアルで、まるで本物の巨鳥が飛んでいるようだった。

特別展示「ペラゴルニス・サンデルシ」の実物大生体モデル 国立科学博物館蔵

特別展示「ペラゴルニス・サンデルシ」生体復元プロジェクトの一部


充実した展示内容で、鳥の魅力を再発見できる

9つにわたる章の中に5つの「特集」と23の「鳥のひみつ」コーナーを設け、鳥にまつわる最新情報を深く知ることができる本展。「鳥のひみつ」コーナーには、動物のイラストで人気があるぬまがさワタリの解説パネルがあり、学術的な要素を含む話であっても理解しやすい。パネルを読みながら会場を回るうちに知識が身につき、鳥の魅力を再発見できるだろう。

第1章「鳥類の起源と初期進化」特集2「翼」

鳥は身近な存在だが、知らないことも多い。例えば「鴛鴦(おしどり)夫婦」という言葉のように、鳥のつがいは夫婦円満の象徴と見なされるが、鳥の生態は自然の中の生存競争によって選択された結果であり、実は一夫一婦制ではない鳥もいる。人間の価値観や習慣を鳥に当てはめて考えることはできないのだと実感させられた。

第4章「カモやキジのなかま」鳥のひみつ「『子はかすがい』にならない」

ハトに対し、日本の画と西洋画を細断(スクランブル)化して混ぜ合わせたものを判別させる訓練を行ったところ、両者を区別できるようになったという。人間の場合、絵を全体像として見せると判別できるが、細分化して混ぜると区別できないそうだ。鳥と人間では、絵の特徴、ひいては世界に対する認識の仕方が異なるということだろう。

第5章「陸鳥と水鳥のなかま」鳥のひみつ「ハトが教えてくれる鳥の"心"」

本展は物販も充実しており、スヌーピーで有名なコミック『PEANUTS(TM)』ブランドとのコラボグッズも。ほか、ペラゴルニス・サンデルシのぬいぐるみや、「雪の妖精」の名で広く愛されているシマエナガのグッズなども数多く取り揃えられている。見逃さずにチェックいただきたい。

物販コーナー

物販コーナー

600点以上もの貴重な標本を鑑賞しながら、鳥に関する情報が身に付き、より詳しくなれる本展。普段何気なく見ている鳥たちも、それぞれに個性豊かな性質を備えていることを実感させられた。展示を見終わった時には好きな鳥が増え、より親しみを感じるようになっているだろう。

『鳥 ~ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系統~』は、2025年2月24日(月・休)まで、国立科学博物館にて開催中。

文・写真=中野昭子

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