【横浜市都筑区】神奈川がんばる企業に日高システムが認定 独自センサーで「泉を護る」
神奈川県が独自の工夫で成長する中小・小規模企業等を認定する「神奈川がんばる企業2025」に、都筑区茅ケ崎東の株式会社日高システム(五十嵐崇代表取締役)が認定を受けた。今年度の認定企業は県内32者で、区内の企業では同社が唯一だった。
「がんばる企業」は、独自の工夫で年率3%以上の付加価値額や年率1%以上の経常利益増を実現させた中小企業・小規模企業を認定するもの。認定企業は「神奈川がんばる企業」のシンボルマークが使用できるほか、県がホームページなどの媒体を活用し、積極的に情報発信を行う。五十嵐さんは「客観的な評価で、自分たちのやり方が間違っていなかったことを証明してもらえた」と認定を喜んだ。
1996(平成8)年創業の日高システムは、温泉や水井戸、タンクなどの水位や流量、深度などを測定する水位センサーの開発、製造、販売を行う会社。五十嵐さんは21年、異業種から転身。義父からの事業承継で会社を引き継いだ。
「当たり前」強みに
社業を引き継いだ当初はコロナ禍もあり、会社の経営状況は厳しかった。五十嵐さんは「他所から来たので、社員たちが『当たり前』と思っている強みを指摘し、磨いていこう、と呼びかけた」という。
同社の水位センサーは、温泉や深井戸など厳しい環境下で改良を重ねてきたことから、耐久性や耐蝕性、耐圧性などに優れる強みを持つ。五十嵐さんは同社のセンサーを導入することで、水中に埋設されているポンプの故障や井戸水や温泉の枯渇を未然に防ぐことができる利点を『泉を護(まも)る』という言葉に集約。「奇をてらわず、この強みを磨いていこう」と社員に呼び掛け、少しずつ販路を拡大していった。センサーはインターネットとつなぐことで遠隔での監視や制御、管理を可能にし、温泉地や僻地の人手不足の課題にも効果を発揮している。
文系出身で来年2月に50歳になる五十嵐さん。「プロとして生きていくため」と事業承継後に電機系大学の夜間部に入学、今春卒業した。「営業などでも気後れしなくなった。社員7人の会社なので全員で力を合わせないと」と力を込めた。