丹精込めた“生酛造り”を学び、無料試飲も◎東灘区・魚崎の『菊正宗酒造記念館』 神戸市
江戸時代中期・1659年の創業以来、日本酒造りの原点ともいえる“生酛(きもと)造り”を守り続けている「菊正宗酒造」。入館無料で展示室の見学や試飲が楽しめる『菊正宗酒造記念館』(神戸市東灘区)に行ってきました。
開館時間は9時30分から16時30分で、事前の予約は不要です。※10名以上の場合はWEB予約が必要
同館のテーマは“酒造りの原点を知ること”。1階には「酒造展示室」や「唎酒コーナー」「物販コーナー」などが、2階には「映像・展示コーナー」が広がります。見学時間の目安は40分から50分程度。
そのほか各回先着20名まで参加することができる「樽酒マイスターファクトリー」や「盃展示館」も、当日予約すればプラスで見学可能です(参加無料、各所要時間約30分)。
エントランスホールには「本店蔵」の模型が展示されています。まずは左側の展示室から進みましょう。
「酒造展示室」では、①会所場、②洗場、③釜場…、⑧囲場までの工程順に、昭和初期まで実際に使われていた酒造用具が展示されています。これらは貴重な“国指定重要有形民俗文化財”でもあります。
米、米麹、水から酛(もと)を造る、“生酛造り(きもとづくり)”は、丹波杜氏秘伝の技。映像では、蔵人たちが高らかに歌う“酛造り唄”が流れており、息ぴったりの様子は圧巻です!
生酛造りで育てた酒酵母は発酵力が強く、“辛口”のイメージが強い「菊正宗」のお酒の元になります。
阪神・淡路大震災では同酒造も大きな被害を受け、特に記念館は建物が全壊。しかし、保管されていた文化財の約9割は修復可能だとわかり、ひとつずつ社員の手で掘り出され、洗浄されて、4年後の1999年1月に耐火耐震構造を備えた新しい記念館を再建されました。
奥の「多言語映像・展示コーナー」を覗いてみると、外国人観光客がツアーで訪れているところでした。生酛造りの解説ビデオが約10分間流れ、皆さん夢中で視聴されています。
2階にも「映像・展示コーナー」が。その後ろには、ユニークな形の「変り盃」など、さまざまな酒器が飾られています。
すべて見学したあとは「物販コーナー」へ。記念館限定のお酒もあり、お土産にもおすすめです。
「きき酒コーナー」では無料試飲のほか、ここでしか食べることができない「酒蔵ソフトクリーム」の販売も。
無料試飲は1人1杯ずつ、2種類提供してくれます。まずは非売品の「生原酒」を試飲。もろみを搾ってから一切加熱殺菌や水を加えていないお酒で、アルコール度数が高く濃厚で力強い味わいです。
一方「れもん冷酒」は、フルーティーで飲みやすい♪こちらは販売も行っており、日本酒初心者も試しやすいと思いました。
もっといろいろな日本酒を試したいときは「有料試飲」もぜひ。500円で「蛇の目ぐい呑み+2種類の日本酒」が付いてくるものや、1,000円で「酒粕ソフトクリーム+有料試飲」が楽しめるお得なセットもありました。
日本酒でほろ酔いになったあとは、物販コーナーの扉から前庭に出ることができるので、こちらで身体を休めるのもおすすめ◎
ベンチに座ると、水車(精米小屋)やはねつるべが視界に入り、こちらは“酒蔵前庭の風景”を表現されているのだとか。4月に訪れたときはシダレザクラを愛でることができ、より一層癒しの空間でした。
物販コーナーには「しぼりたて3本セット飲み比べ」や、1番人気の「百黙 純米大吟醸」など日本酒だけでなく、「酒まんじゅう」や、神戸牛土産、お酒のアテになる珍味、日本酒のスキンケアアイテムなど、バリエーション豊富な商品が並びます。
1日平均300人、年間で10万人以上の来場者数を誇る同館。日本酒の歴史や手間暇かけた工程を知ることでより一層おいしく、培われた伝統と技術がこれからも受け継がれてほしいと感じました。
場所
菊正宗酒造記念館
(神戸市東灘区魚崎西町1-9-1)
開館時間
9:30~16:30
休館日
年末年始
TEL
078-854-1029