愛犬の体にしこりがある場合に考えられる病気4つ 急を要するときと問題ないときの見分け方とは
愛犬の体にしこりがある場合に考えられる病気
愛犬の体を撫でているとき、しこりに気づくことがあります。トリミングのとき、トリマーさんから「気になるしこりがある」と言われて気づくことがあります。
コリコリとして硬いしこりであったり、小さくやわらかいしこりであったり、悪性のしこりなのではないかと不安になりますよね。
しこりがあるからといって、必ずしも病気であるとは限りません。悪性の腫瘍だとも限りません。
まずは、しこりをよく確認するなどし、急を要するものであるかどうか、じっくり判断しましょう。今回はその見分け方を解説しますので、ぜひ参考になさってくださいね。
1.乳腺腫瘍
お腹にできるしこりは、乳腺腫瘍である可能性があります。
犬の乳腺腫瘍は、『悪性である確率50%、良性である確率50%』とされています。避妊手術を受けていないメス犬に発生しやすいです。
初期段階では、硬く小さなしこりを確認することができます。しかし、そのしこりが悪性であるか良性であるかを見た目だけで判断することはできません。
✔しこりが以前より大きくなったように感じられる
✔しこりが大きくなるスピードが速い
✔しこりが破れている
このような場合は悪性である可能性が高く、急を要すると言えるかと思います。
2.脂肪腫
お腹にできるしこりは、脂肪種である可能性があります。
脂肪組織の良性腫瘍で、シニア犬に発生しやすいです。しこりはやわらかく、大きさや形は様々です。
脂肪種は良性腫瘍であり、転移しません。切除する必要もなく、経過観察で問題ありません。どうしても気になるという場合には、外科手術で取り除くことができます。
しかし、脂肪種は全身のあらゆる部分に発生します。高齢になると、発生する数も増えます。急を要するしこりではないため、見守ってもよいのではないでしょうか。
3.リンパ腫
首や前足の付け根(脇の下あたり)、膝の裏側にしこりを感じた場合、リンパ種である可能性があります。
体中のリンパ節が腫れるタイプを「多中心型」と言いますが、最も発生率の高いリンパ腫です。
初期段階では、1つのリンパ節にしこりが見られますが、進行すると複数のリンパ節にしこりが見られるようになり、ステージ1~5まであるうちのステージ3では、全身のリンパ節にしこりが見られます。
リンパ節が腫れる原因は癌細胞だけではありません。歯肉炎や皮膚炎が原因である場合もありますし、細菌やウイルスへの感染が原因である場合もあります。
急を要するかどうかは、動物病院で検査を受けなければ判断することができません。
脇の下あたり、鎖骨あたり、内股あたり、膝の裏、下顎には、触れることができるリンパ節があります。しこりが発見されたときは、すぐに動物病院で診てもらいましょう。
4.皮脂腺腫瘍
まぶたにできるしこりは、皮脂腺腫瘍である可能性があります。「マイボーム腺腫」とも呼ばれています。
皮脂を分泌する働きのある皮脂腺が異常に増殖したもので、犬に最も多い皮膚腫瘍であるとされています。
悪性である場合には「皮脂腺癌」と呼ばれますが、犬には稀な病気です。まぶたにしこりが発見された場合でも、癌である可能性は低いでしょう。
皮脂腺腫瘍(マイボーム腺腫)はほとんどが良性で、自然と消えてしまうこともあります。
急は要しませんが、犬が目を開けづらそうにしたり、目ヤニが多く出たり、目を引っかいてしまうなどする場合には、二次感染によって、角膜炎や結膜炎を起こす可能性があります。
犬がしこりを気にするようであれば、なるべく早く動物病院で診てもらいましょう。
まとめ
愛犬の体にしこりがある場合に考えられる病気を4つ解説しました。
✔乳腺腫瘍
✔脂肪腫
✔リンパ腫
✔皮脂腺腫瘍
愛犬の体にしこりが発見されたときは、まずは大きさを確認しましょう。しこりの色や形も確認し、写真に撮っておくとよいと思います。
大きさに変化が見られるときは、悪性である可能性があります。
しこりの正体が何であるのか、良性なのか悪性なのかは、動物病院で検査をして診断してもらう必要があります。
不安に思われるのであれば、なるべく早く受診し、検査を受けることをおすすめします。
(獣医師監修:後藤マチ子)