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佐藤勝利「深みのあるドラマをエネルギッシュに演じたい」~PARCO PRODUCE 2025『ブロードウェイ・バウンド』 が開幕

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PARCO PRODUCE 2025『ブロードウェイ・バウンド』会見より

長年にわたってブロードウェイの第一線で活躍したコメディの名手ニール・サイモンが1990年代に取り組んだ自伝的作品「B・B三部作」のひとつである『ブロードウェイ・バウンド』。『ブライトン・ビーチ回顧録』『ビロクシー・ブルース』に続く完結編で、第二次世界大戦を経て青年となった主人公・ユージンが、家族への愛情と失望の狭間で揺れ動きながらも夢に向かう姿を描いた作品だ。

36年ぶりとなるPARCO劇場での上演では、2021年に東京芸術劇場プライハウスで上演された『ブライトン・ビーチ回顧録』に続いて演出・小山ゆうな、主演・佐藤勝利のタッグが実現。さらに松下由樹、神保悟志、入野自由が続投し、小島聖、浅野和之が参加して家族の物語を描き出す。初日を前に開幕前会見とプレスコールが行われた。

<開幕前会見レポート>

ーー初日を前にした心境や意気込みを教えてください。

佐藤:『ブライトン・ビーチ回顧録』から4年越しに『ブロードウェイ・バウンド』が開幕します。緊張感もありますが、お客様に楽しんでいただけるよう、エネルギッシュに演じたいです。4年ぶりに家族が集結でき、本当に暖かい現場で楽しくやらせていただいていますし、今回は小島さんと浅野さんが加わってくださり、すごく刺激をいただいています。

松下:初日を迎えるにあたって、大変緊張しています。あまりにも良い作品なので、それを楽しんでいただくには本当に集中して挑まなければと思っています。でも、お客様に楽しんでいただけるように初日を迎えたいです。

入野:この作品は、皆さんが言うようにすごく良い作品。役者としてはハードルが高く大変な戯曲です。1ヶ月近く向き合ってきた作品がお客様と共に花開くのを楽しみにしています。

神保:いよいよ初日ということで緊張していますが、素晴らしい作品なので、一人でも多くの方に見ていただけたらと思っています。このチームというか家族の結束力が高く、良いお芝居ができるので成功は間違いない。よろしくお願いします!

小島:この作品に関わらせていただき、とても幸せに思っています。物語の中に素敵な言葉が散りばめられていて、心に響くなあと思いながら皆さんのお芝居を見ています。客席にお座りになる皆さまにも届くと思いますので、劇場にいらしていただけたら嬉しいです。

浅野:役者を何十年やっていても、毎回同じような緊張がやってきます。皆さんがおっしゃる通り、非常に人間を深く描いた良い作品です。皆さんにお届けできるよう臨みたいです。

PARCO PRODUCE 2025『ブロードウェイ・バウンド』会見より

ーーニール・サイモンのB・B三部作完結編となる作品ですが、本作の魅力はどこにあるでしょうか。

小山:三作品とも素晴らしい戯曲ですが、それぞれカラーが違っています。この作品はニール・サイモンが59歳の時に描いたもので、幼少期を振り返っていた最初の作品と比べると自身を俯瞰して見ていたり、描いた時の自身の年齢と近いお父さんの心情に対する発見があったりと、かなり大人な作品です。また、第二次世界大戦を経てからの作品で、家族の価値観が揺らいでバラバラになっている。辛いシーンもありますが、ユージンは常にユーモアを持っているのがとても魅力的です。そんな作品を素晴らしい俳優さんたちが結集して作っているので、私も稽古場からすごく楽しみました。

ーー2021年に上演された『ブライトン・ビーチ回顧録』から4年ぶりに家族を演じて、いかがでしたか?

佐藤:一度同じ家族を演じているので、いい意味で稽古初日の緊張感がなかったです。自由くんとは兄弟役で、最初のセリフですぐに感覚を取り戻せました。再会できたことも嬉しいですし、4年経って集まるのも簡単ではないことなので、奇跡と言っていいくらい。本当に嬉しいです。

松下:またみんなに会えるのが嬉しかったです。前回はコロナ禍だったので普段のコミュニケーションがなかなか難しかったですが、今回は舞台上以外でもコミュニケーションを取ることができ、さらに家族の結束が強くなりました。すごく良い現場で安心感もありましたし、よりお芝居しやすくなってありがたかったです。

入野:勝利くんも言ったように、集まった時に変な緊張感がなく、4年前の話もしながら作ることができました。どういう家族なのかという部分をスキップして、深めていく時間をとれたのが大きいのかなと思います。4年間、テレビなどで皆さんを見た時に家族としての絆を感じていた部分があったので、また集まる機会があって幸せです。

神保:4年経って、同じメンバーで同じ役をできるのは奇跡みたいな感じです。小山さんからお話をいただいた時に飛び上がって喜びました。続編ということで時間経過もありますし、勝利くんと自由くんのリアルな成長にも驚き、大人になったなと感じます。素晴らしい皆さんと本当の家族のように稽古を進めてくることができました。本番でどう開花するか、僕自身も楽しみにしています。

PARCO PRODUCE 2025『ブロードウェイ・バウンド』会見より

ーー初参加のお二人は、印象的な稽古場エピソードがあれば教えてください。

小島:家族の結束力が強いところに入っていく不安がありましたが、すごく居心地の良い稽古場でした。(祖父役の)浅野さんが「俺がいなきゃこの家族は生まれていない」と言っていましたが、そうだなと(笑)。稽古まで浅野さんが皆さんとのコミュニケーションを引っ張ってくれて助かっています。

浅野:(佐藤から小島までを指して)ここからここまでは私がいないと生まれていません(笑)! ですから、皆さんが作った家族の結束に入っていくのはそれほど難しくなかったですね。みんなで仲良く楽しく作ってきました。私はずいぶん年上ですが、頑張ります!

ーー最後に、佐藤さんから皆さんへのメッセージをお願いします。

佐藤:4年前の『ブライトン・ビーチ回顧録』を見ていただいた方にとっては、同じ家族で3作目を見られる、中々ない演劇体験になると思います。初めての方にとっても、浅野さんが挨拶でおっしゃったように人間の深い部分を作品を楽しめる作品です。舞台の面白さを味わっていただけると思いますから、ぜひ足をお運びください。

<プレスコールレポート>

プレスコールで披露されたのは、ユージン(佐藤勝利)とスタンリー(入野自由)の兄弟がコメディ作家になるチャンスを掴みながらも台本が書けずにいるシーンから、父・ジャック(神保悟志)と母・ケイト(松下由樹)が夫婦の関係性について話し合おうとするシーン。短い時間ながら、家族の関係性やそれぞれの性格が伝わり、作品に対する興味と期待が高まった。

PARCO PRODUCE 2025『ブロードウェイ・バウンド』舞台写真

PARCO PRODUCE 2025『ブロードウェイ・バウンド』舞台写真

PARCO PRODUCE 2025『ブロードウェイ・バウンド』舞台写真

佐藤が演じるユージンは時折客席に向かって家族のこと、コメディ作家という夢について語る。ユーモアを交えた軽やかな語り口が聞いていて心地よい。また、兄・スタンリー役の入野との息の合った掛け合い、兄弟らしい遠慮のないやりとりも微笑ましい。

PARCO PRODUCE 2025『ブロードウェイ・バウンド』舞台写真

PARCO PRODUCE 2025『ブロードウェイ・バウンド』舞台写真

ユージンとスタンリー兄弟の夢、クリエイターとしての苦労がコミカルに描かれる一方で、共産主義者の祖父・ベン(浅野和之)と結婚した相手が金持ちになり裕福な暮らしをしている叔母・ブランチ(小島聖)のすれ違い、母・ケイトが抱える苦悩などがシリアスに紡がれていく。家族がバラバラになりつつある中、夢に向かってまっすぐ走っていく兄弟のキラキラした姿が眩しく感じられた。

PARCO PRODUCE 2025『ブロードウェイ・バウンド』舞台写真

PARCO PRODUCE 2025『ブロードウェイ・バウンド』舞台写真

PARCO PRODUCE 2025『ブロードウェイ・バウンド』舞台写真

PARCO PRODUCE 2025『ブロードウェイ・バウンド』舞台写真

会見でも語られていた通り、『ブライトン・ビーチ回顧録』を見た方はもちろん、今回初めて作品に触れる方も、家族の物語とそれぞれの選択をじっくりと楽しめる仕上がりになっているだろう。

本作は9月4日(木)~28日(日)まで東京・PARCO 劇場、その後10月2日(木)~13日(月・祝)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WW ホールで上演される。

取材・文・撮影=吉田沙奈

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