「バカ!」「お前」…子どもが乱暴な言葉遣いを発した時に親が心掛けることは?【専門家監修】子育ての悩み(11)
「バカ!」「お前」「うんち」「ちんちん」など、子どもの言葉遣いを心配する5歳男の子のママからのお悩みです。
桐川敦子さん
聖徳大学 大学院 教職研究科 教授
児童学博士。幼稚園教諭として25年勤務。同大学では保育者養成に携わる他、子どもの遊びや言葉を研究。
乱暴な言葉も成長の証、ただし攻撃的な言葉には注意
お友達と関わるようになると子どもは色々な言葉を覚え、その中で乱暴な言葉を使うこともあります。この場合、純粋にそういった言葉を使ってみたい時期である、または面白がって注目を集めたい気持ちから発している、ということが多く、好きな遊びなど他のことで心が満たされると、自然とそういう言葉は使わなくなります。また、成長とともに、使っていい言葉や適切ではない表現も分かってくるので、大人は一呼吸置いて「大きな声で言わないでね」などと注意する位にとどめ、心配し過ぎたり、きつく叱ったりしなくて大丈夫です。
ただ、人に向けて攻撃的な言葉遣いをする場合は別です。「なぜお友達は泣いているのかな?」「あなたの言葉はどう思われたかな?」というように、相手の気持ちについて子ども自身が考えさせるように働き掛けましょう。自分で考えるのが難しい年齢であれば、大人が一緒に考え、見守ります。「ごめんなさいは?」と謝罪を強要したり、「ダメ」と決めつけず、その子自身が考え、相手の気持ちを理解することが成長につながります。
お友達と乱暴な言葉を使っていた時は、ママ同士がお互いに注意し合えるのが理想的ですが、その場で言えない時は、「さっきどう思った?」など後で聞いてあげるといいですね。
日頃の家庭の会話から健やかな心と言葉が育まれる
社会のデジタル化に伴い、身近な大人が交わす会話を子どもが耳にする機会が少なくなる中、家庭での優しい声掛けや会話がこれまで以上に大切になると感じています。子どもの話を聞き出すのではなく、子どもが自発的に話し、それを保護者が受け止める、そんな関係を築く中で心と言葉は育まれ、言葉遣いについて話し合う土壌も培われていくでしょう。
相手の気持ちについて話し合ったとしても、何かの拍子にまた言ってしまうこともありますが、その都度考え、話し合うことが大切です。