感染症対策の行き過ぎで退職者が…職員も元気がなく、プライベートを晒すことに疑問も感じます。
本日のお悩み
特養、ショート、地域密着型サービスなどが併設した施設で働く看護師です。施設全体の感染対策委員会に所属しています。
昨年からの新型コロナ感染対策で、ガイドラインを作成し、職員に守ってもらうよう注意喚起しております。
その中で施設から職員へ行動の自粛、また職員家族へも行動を制限するようなお達しがあり、市外へ出る時や何か行動する際(学校行事、冠婚葬祭は参加不可、美容室、趣味活動など)施設へ行動予定表を提出するよう義務付けされています。
提出するのが面倒な職員、自粛を守る職員は家に閉じこもりがちとなり活気がなく心身ともに不健康な状態です。
出かける予定のある者は、行動予定表を提出することだけでもストレスなのに、提出後にチェックが入り注意を受けます。
感染対策は必要なことであると、職員皆が思っているのですが、その対策が職員だけではなく家族にまで制限が及ぶこと、職員の子どもの習い事まで口を出し習い事を辞めることになったり、また職員のプライベートを当たり前のように晒していることに疑問を持っています。
この感染対策のために辞めていった職員もいますが、表向きは自己都合の退職です。
これから私を含めて退職を考える者が出てきそうですが、行き過ぎた感染対策になっても仕方ないことなのでしょうか?
コロナへの感染が怖くて辞める、ではなく、施設の感染対策の方針が行き過ぎて辞めるという問題にどう対処したら良いのでしょうか…。
相談者:りこ さん
強い規制への反動も注意。ポジテイブリスクマネジメントという考え方も!
伊藤 浩一のページ
https://mynavi-kaigo.jp/media/users/14
ご質問ありがとうございます。
本当に悩ましい問題です。
感染者がでれば、濃厚接触者も含む大きな影響が出て、事業ストップも視野にいれなければならない。
これにより、介護サービスを必要とする方も助けられなくなり、そのご家族にまで影響が。
職員への影響も心配、不安で辞めるなんて言われたらどうしよう。
もちろん経営的打撃も避けられない。さらに怖いのは、誹謗中傷、風評被害・・・。
なんて想像すればするほど、規制を強くせざるをえなくなっていく。
実はこれ、施設長としての私のリアル思考です。
質問者さんの事業所もほぼ同様の思考スパイラルがまわっているのではないでしょうか?
でもちょっと度が過ぎていると私も思います(苦笑)
職員も最優先で守る
さて、今回のご質問、この不安増幅スパイラルによって本来最優先で守るべき職員が逆に耐えられなくなり辞めてしまっているとのこと。
これはまずいですよね。
もちろん、感染したら命にかかわるご利用者さんを守ることが第一ですが、そもそも、ケアする職員がいなくなってしまっては元の子もないですよね。
そういった考えでは、私は、職員も同じく最優先で守るべきだと思います。
では、どうしたら良いか?
「免疫力投資」で心身ともに健康に
「免疫力投資」という考え方をご存知ですか?
これは標準予防策というリスク管理と同時に健康を意識し、免疫力を高めることに意識や時間を投資しようという考え方です。
実はスポーツ選手等の方は、上気道感染症(風邪)にかかりやすい(*マラソンなどの強度の強い運動をした人は、しなかった人に比べて運動後に風邪にかかる率が2〜6倍増加)というデータがあります。
なぜなら、極限まで心身を追い込んでいるので免疫力が低下し感染症を跳ね返す力が弱くなってしまっているとのこと。
筋肉隆々なのに意外ですよね。
健康とは「体:健やか」「心:康らか」をあわせた言葉です。
つまり、心身ともに良い状態こそが健康となるのですね。
きっと介護職員のみなさんは、プライベートでも感染予防をしっかり意識し行動されていると思います。
あまり追い込みすぎると返って免疫力や普段抑えている心がちょっとした弾みで弱まり、アスリートが風邪にかかりやすい状況と同様の結果をもたらす可能性も否めませんよね。
発想の転換を!
そこで提案です。
いま総務省で「健康経営」を推しています。
これは、企業や事業所は社員の健康づくりをサポートするという制度です。
質問者さんの施設では、どうやって感染源を立つかの対策は十分すぎるほど検討、実行されているのではないでしょうか?
ここは発想を転換して、どうやって職員の健康を支援し、免疫力を高めるか?コロナ禍でも明るく元気に勤務してもらえるか?などポジティブな対策も検討するのも良いと思います。
最後に
ちなみに私の施設ではオンラインマラソン大会参加助成や、社内で1ヶ月の歩数をグループ競うイベントをやってみました。
すると健康の意識も高まり、会話も増え、職員の笑顔も増えたと感じます。
規制も度が過ぎると、裏を返せば職員を信頼していないとも捉えられます。
リスクマネジメントをポジティブ視点で再考してみることをおすすめします。
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https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/42