【相模原市】上溝南、相模田名が統合 県立高校再編 2031年度
神奈川県教育委員会は9月26日、県立高校8校を再編・統合し、4校を削減する計画案を発表した。市内では上溝南(上溝)と相模田名(田名)が対象となった。相模田名は2029(令和11)年度以降の入学生の募集を停止し、31(令和13)年度に統合する。新校は上溝南の敷地、施設を活用する。
敷地は上南校名「検討」中学卒業者半減
県教育委員会では、少子化を理由に16(平成28)年度から県立高校を削減する計画を進めている。市内ではこれまで20(令和2)年度に弥栄、相模原青陵が「相模原弥栄」に、23(令和5)年度に城山、相模原総合が「相模原城山」に再編・統合されてきた。県内の公立中学校の卒業者は1988(昭和63)年の12万人強をピークに現在は6万人強程度まで減少している。
上溝南と相模田名は28年度から統合校設置に向けた準備を進める。相模田名は入学生の募集を停止することから29年度は2、3年生、30年度は3年生のみとなる。新校の校名について県は「今後検討」としている。
なお現在、神奈川県内の県立高校に学区はない。
「文化引き継いで」
今回の再編・統合について、県立高校の教諭に話を聞いた。教諭は過去、市内の県立高校が統合された際に現場に立ち会っていた。
そのケースでは2つの学校が一つとなり、新校は両校から半数ずつの生徒で構成された。事前に交流会などを設け、統合に向けた機運を高めていったという。
一方、今回のケースでは相模田名が29年度で募集を停止するため、新校に相模田名の生徒が通うことはない。新校の生徒は上溝南の在校生と新たに入学する生徒で占められる。そのため、相模田名が長年築いてきた伝統や校風が引き継がれない可能性がある。教諭は「これが寂しいところです。上溝南には相模田名の文化を引き継ぎ、新しい学校として歩みを始めてもらいたい」と語った。
新校設置にともない校歌、制服も新しくなるものと思われる。「仕方がないことですが、こういったニュースは寂しい。ただ、生徒数が増えるため部活動が盛んになるなど良い面もある。いずれにしても今の中学生にしっかり説明をし、不安のない中で進路を検討する環境にしてほしいと思う」と指摘した。
私立無償化影響か
また、市内の塾経営者は、県教育委員会が「断腸の思いで再編・統合を決断している」との前置きをしたうえで、並行して進められる「私立無償化」について「影響は大きいと思います。私の塾の範囲でいえば、無償化以前は私学への進学は1割未満でしたが、今では3割程度にまで増えています」と現状を語った。