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【閲覧注意】意外と美味しい!?昆虫食の魅力を昆虫料理研究家・内山昭一さんに聞きました

アットエス

人口増加による食料不足を解決する次世代のタンパク源

近い将来、動物性タンパク質が不足すると言われています。となると懸念されるのは物資の争奪戦。生きていくために必要な動物性タンパク質の不足が起こり、新たな選択肢としての「昆虫食の時代」が来るかもしれません。国連の発表によると、世界人口が2050年には97億人に達し、およそ30年で20億人も増加すると言われています。

そこで今回は、昆虫料理研究家でNPO法人昆虫食普及ネットワーク理事長の内山昭一さんに、「鉄崎幹人のWASABI」パーソナリティーの鉄崎幹人、SBSアナウンサー堀葵衣が話を聞きました。

昆虫食のきっかけはトノサマバッタ

堀:内山さんが昆虫を食べ始めたきっかけは何ですか?

内山:私は長野県出身で、子供の頃に蚕のサナギを食べた経験があります。においが独特で、当時はあまり好きになれなかったのですが、26年前に友人3人と多摩動物公園で昆虫食の講演を聞いておもしろいなと思ったので、川原で捕まえて食べることにしたんですね。

ちょうど秋で、トノサマバッタが一番おいしい頃、旬を迎える頃だったんですね。おそるおそる捕って焼いて食べてみたらすごくおいしくて。それが本格的に食べ始めたきっかけでした。

トノサマバッタの網焼き(内山昭一さん提供)

ハチノコからヘビトンボまで日本の昆虫食文化

鉄崎:長野県にはハチノコ(クロスズメバチの幼虫)」やザザムシ(カワゲラ・トビケラ・ヘビトンボの幼虫)など、昆虫食文化がありますよね。

内山:ザザムシは長野の南部、飯田や伊那の天竜川流域で食べられています。

鉄崎:いや〜、マゴタロウムシ!!ヘビトンボの幼虫はおいしいですね。

内山:よくご存知ですね〜。最近は収量が減ってますが、大きくて食べごたえがありますね。

鉄崎:ヘビトンボの幼虫は、きれいな水にしかいないですからね。

内山:そうですね。値段も高いので、なかなか手に入らないんです。

鉄崎:佃煮にするとうまいね〜。ちょっとちょっと堀さん!話に入ってくださいね(笑)。

堀:はい…。聞いてます。

鉄崎:だいぶ距離感が…引いていますけど(笑)。大丈夫ですよね。

堀:私、口を開いたら失礼なこと言ってしまいそうで。

栄養価と安全性のポイント

鉄崎:具体的に内山さんは、これまでにどんな昆虫を食べていますか?

内山:よく食べたのはスズメバチの幼虫やサナギです。あとは、セミとかサクラケムシってご存知ですか。

鉄崎:サクラケムシは何とかっていう蛾の幼虫ですね。桜の味がするんですよね。

内山:あ〜。よくご存知ですね。モンクロシャチホコですね。桜の香りがすごいんです。フンもすごくいいお茶になります。最初の頃に食べたのはバッタ類でトノサマバッタやショウリョウバッタ、オンブバッタ。初めての人も採集しやすいので、入門としてとても良いと思います。

鉄崎:入門としてはセミの素揚げもいいですよね。

内山:そうですね。特に幼虫はおすすめです。中に身が詰まっていて食べやすいです。

セミチリ豆腐(内山昭一さん提供)

堀:…入門でセミですか?なんか私と同じようにびっくりしているリスナーさんも多いと思うんですけど、今日は学術的な話をしています。

エビやカニの味にそっくり?昆虫の驚きの味わい

鉄崎:しかし、セミの成虫は本当に甲殻類の味がしますよね。

内山:そうですね。エビやカニのような風味があり、カリッと素揚げで食べるのがおいしいです。

鉄崎:サクサク、カリカリしてね。

内山:セミやバッタなどは翅(はね)の根元に赤身の筋肉があって、ここを「胸肉」と呼ぶのですがすごく美味しいんです。

鉄崎:鳴き声を出すオスは共鳴板で中身がからっぽですから、メスの方がまだ身が入ってますよね。

内山:そうですね。メスは卵が入っている可能性もありますし昆虫全般に卵は本当においしいですよね。

堀:昆虫の卵…。

内山:はい、食べやすいです。昆虫の卵は小さく丸いので、見た目もそんなに抵抗がないと思います。

堀:抵抗はあります…(苦笑)。

ファーブルが「昆虫記」で絶賛した昆虫食とは!?

鉄崎:僕、今まで一番好きだったのはクリシギゾウムシです。クリに入っているムシを炒って食べると本当にうまい!クロスズメバチの幼虫に似た味ですが、それより甘くてうまいな〜。

内山:あれは確かにおいしいですよね。

堀:普通の食べ物のように話していますが、お二人はどういう感覚で食べてるんですか?

鉄崎:普通の食べ物ですよ。

内山:そうですね。普通の食べ物以上にごちそうというか(笑)

鉄崎:クリシギゾウムシはドングリを1個1個開けて採るから面倒くさいしね。

内山:普通、穴が開いたクリは皆さん捨てちゃいますけど、入手が難しいので中の虫を食べないともったいないですよね。

クリムシごはん(内山昭一さん提供)

鉄崎:一番のおすすめ、おいしかったのは何ですか?

内山:定番なのですが、カミキリムシの幼虫です。網にのせて直火で焼くと皮はパリパリ、中はトロトロでね…。

堀:春巻きみたいな言い方してますね。

内山:すごくコクがあってクリーミーでバターみたいな食感で、マグロのトロのような味わいです。あのファーブルも「昆虫記」の中で絶賛しています。

苦くて食べにくいのは○○○ムシ

堀:あの〜、これ以上ダメージを受ける心の準備はできていないのですが、内山さんでも食べるのに躊躇する虫はいないんですか。

内山:実際に食べて吐き出したのはいますね〜。例えばテントウムシです。かなり苦いんですよ。

鉄崎:だって警告色をテントウムシは出してますもんね。俺は、ダンゴムシを食べた時に「わっ!苦い!」と思いました。カブトムシの成虫も殻が硬くていまいちだし、タガメも殻があんま好きじゃないんですよね。

内山:食べ方としては、幼虫やさなぎの方が軟らかいので応用範囲が広いですよね。あと昆虫には完全変態と不完全変態があるじゃないですか。

鉄崎:トンボとチョウの違いですね。

内山:やっぱりサナギ?

堀:これ、何の話をしてますか?

鉄崎:お食事の話ですよ。

内山:鉄崎さんは何が好きですか?

鉄崎:僕はやっぱりクリシギゾウムシやハチノコ。カメムシからパクチーの味がしたのが意外でしたね。

内山:あと、ホシハラビロヘリカメムシなどスマートなカメムシは、青リンゴに似たフルーティーな香りがします。今年はたくさん採れたようなので、ぜひお試しいただければ。

鉄崎:僕はカメムシでは果樹系のカメムシがやっぱおすすめですね。ツヤアオカメムシとかね。カメムシは揚げるより茹でるのが一番おいしいと思います。

堀:ええ…。

将来のために昆虫食に慣れておくべき?

堀:今後、気候変動や食料不足が懸念される中、昆虫食が必要になるのでは?と考えられていますね。

内山:昆虫は栄養価が非常に高く、特にタンパク質の含有量が多く、供給源として優れています。日本は多くの食材を輸入に頼っているため、温暖化や世界各地の紛争によって食糧不足、特に動物性タンパク質が不足する可能性が高いので、今のうちから「昆虫食に慣れておくこと」が重要ではないかと思います。

鉄崎:昆虫が人類の食料問題を救ってくれる存在になるかもしれませんね。内山さん、ありがとうございました。

※2024年10月22日にSBSラジオ「鉄崎幹人のWASABI」で放送したものを編集しています。今回、お話をうかがったのは……内山昭一さん
昆虫料理研究家、NPO法人昆虫食普及ネットワーク理事長、NPO法人食用昆虫科学研究会理事。昆虫の味や食感、栄養をはじめ、あらゆる角度から食材としての可能性を追究。好きな(美味しい)昆虫はカミキリムシ、スズメバチ、セミ、モンクロシャチホコ、タイワンタガメ、トノサマバッタ、ほか多数。

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