初の主演舞台の直前にまさかの大号泣! 元宝塚トップスター真風涼帆さん
ファッションデザイナー:コシノジュンコが、それぞれのジャンルのトップランナーをゲストに迎え、人と人の繋がりや、出会いと共感を発見する番組。
真風涼帆さん
1986年熊本県生まれ。2006年に第92期生として入団し、2009年に新人公演で初主演。2017年に宙組8代目トップスターとして活躍した後、昨年退団して現在は女優として舞台等で活躍中です。
出水:真風さんは熊本県菊池郡のお生まれだそうですが、どんなところですか?
真風:もう山ですね! 空港から阿蘇山に向かう途中と言いますか、阿蘇の入り口ぐらい。私の家も坂を上がったところにあるので、窓を開けたらもう阿蘇山。なので野山を走り回っていました(笑)
JK:子どもの頃から男役だったのね(^^)
真風:かなりおてんばさんで(^^;) でも母がバレエ教室を自宅でやっていて、結構舞台とかも好きで劇団四季だったり音楽だったり身に連れて行ってもらって。ちょうど中学生の時に宝塚の熊本公演を拝見して、素敵な世界だなぁって。
JK:タイミングがいいわね。じゃあ中学卒業してまっすぐ入ったんですか?
真風:いえ。中学卒業の時に1回目の受験をしたんですけど、そこまで準備ができていなかったのもあって見事落ちまして(^^;) 高校1年生の時もまさかの落選。宝塚は4年間、高校卒業まで受けられるんですけど、私はチャンスがあと2回あったんですが、「次も落ちたらあきらめよう」と腹をくくって、そしたら3度目の正直で。
JK:それは厳しいですね! 歌とダンスと日本舞踊もありますよね。あとはセリフ?
真風:受験の時は歌とダンスとバレエと面接。それと身体の柔軟体操とかもあったと思うんですけど、今はコロナで対面の面接も少なくなってるかもしれません。その年によって倍率も違うので、上級生の先輩は倍率20倍とか30倍とか聞いたような気がするんですけど・・・
JK:受験の順番待ちだけでも大変ねぇ!!
出水:同期は何人ぐらいいらっしゃるんですか?
真風:私の時は48人。娘役で蘭乃はなちゃんという子がトップにいて、今月組のトップスターの鳳月杏も同期です。
JK:宝塚見に行くと、フアンが全部女性ですよね! ポツンとたまに男性もいるけど。
真風:でも近年は男性のお客様も増えて、男性トイレもたまに混むという噂を聞いています(^^)
出水:念願の宝塚音楽学校に入って、そこで鍛錬を積んだ後、2006年に92期生として入団。入団時にも特別な思いがあると思いますが?
真風:私は宙組で初舞台を踏ませていただいて、憧れの宝塚大劇場に同期みんなで立てるのはそれが最初で最後。ラインダンスと口上の2場面しかないので。
JK:口上があるの? 歌舞伎みたいに?
真風:はい、紋付袴を着て。それまでの2か月弱、同期とひたすらお稽古する日々なんですけど、青春!って感じですね。ただただその場面をみんなで作って、宙組の上級生の公演に参加させていただいて初舞台を踏む、って言うのは特別な時間だったなと思います。
JK:紋付袴も宝塚独特ですよね。緑色の袴をちょっと短く履くの。
真風:そうですね。入学して最初に採寸して、自分用の黒紋付と袴が届くとやっぱり嬉しかったですね。イベントごと行事ごとに、黒紋付と緑の袴の時もあれば、上を色着物にするときもありました。
出水:そこから皆さんそれぞれの組に散っていくわけですね。配属では希望は出せず?
真風:はい。本人の意志ではなく、自動的に「あなたはこの組です」と辞令をいただく。
JK:新人公演は突然主役でしょう? やっぱりビビりますか?
真風:ビビります! 私は3年目の終わりぐらいだったので、ちょっと心の準備ができておらず・・・もうどうしよう?!って感じでした。「できないかもしれません」と言ったぐらいです。本番が始まる5分前にも、その時2番手だった先輩の柚希礼音さんが通りかかって「大丈夫?」と声をかけてくださったんですが・・・ビーッ!と泣き出しちゃって(^^;)トップだった安蘭けいさんとか先輩の皆さんが飛んできて、皆さんに心配されながら初主演をやらせていただきました。
JK:ご自分にとって最近のマサカは?
真風:やはり・・・結婚です!
JK:そうよねぇ! そういうイメージないもの。卒業して何か心境の変化でも?
真風:自分でもイメージがなかったので、自分でも驚いてます。結婚するとか想像もしてなくて、ただただ目の前のことをやっていたら突然現れ(笑) いろんな意味でマサカでした。
出水:旦那さまで俳優の勝矢さんとはミュージカル「ルパン」で出会われたそうですが?
真風:劇中はほとんど関りはなく、公演をしていく中でいろいろお話するようになって、公演が終わってからですね。
JK:人生のタイミングというか、とんとんとんですね! 今結婚してどんな感じですか?
真風:思ったよりも何も変わらないし、一緒に誰かと過ごす生活にあまり不便を感じない。自分の中で何かが変わっちゃうかなと思ったんですけど、いい意味で変わることはなく、でもやはり自分にはない感覚だったり、人間関係も1人で生きているより広がって、いろんな方に出会わせていただく機会も増えて。いろんな刺激をもらいながら生活しています。
出水:退団してから様々なお仕事をしていますが、今後やってみたい夢はありますか?
真風:卒業してから今まで、自分自身いろいろ考えることがありました。新しいことにもたくさん挑戦させてもらっている中で、これからも歌ったり表現することは続けていきたいと思うと同時に、宝塚に入って20年間どんどん自分の立場が変わっていくので刺激的もありましたけど、ずっとひとつのことを追求することしかなかったので・・・
JK:外の世界をあんまり知らないのよね。
真風:そうなんです!コシノさんのファッションショウのランウェイを歩いた時に、宝塚を目指して入ったときの知らない世界に入る感覚を味わって。せっかく卒業したんだから、これからできるものもあるだろうなぁって。
JK:楽屋にいても1人だけみんなと違うのよ。だから私「あなたは一緒じゃいけない!モデルじゃないのよ」って言ったのよね。これからもずっと自分らしくいてほしい!
真風:来年の夏にはビルボードでやらせていただけたらと計画中です。まだ細かい日程は決まっていないんですけども、歌うことは辞めたくないなと思っています!
(TBSラジオ『コシノジュンコ MASACA』より抜粋)