【クイズ】何色の服が、遭難を防ぐ?笹やぶに入って調査!山菜採りの5つの注意点
毎年、春に相次ぐのが、山菜採りでの遭難事故です。
記者が遭難を疑似体験して、なぜ事故が起きるのか探りました。
あわせて注意すべき「山でのクマ対策」についてもお伝えします。
連載「クマさん、ここまでよ」
【この記事の内容】
・なぜ遭難してしまうのか?
・何色の服がいい?5つの注意点
・あわせて注意!クマ対策
事故の原因、約8割が…
札幌市近郊の「中山峠」では、5月18日、警察官らが、山に入るときの注意点が書かれたチラシを配り、山菜採りでの遭難防止を呼びかけました。
北海道警察によりますと、道内の山菜採りによる遭難者数は、2023年までの5年間で381人にのぼります。このうち、およそ7割が5月と6月に発生しています。
その原因の多くが「道迷い」です。
例年、約8割が道迷いにより遭難しているといいます。
警察官立ち会いのもと、記者が遭難を疑似体験しました。
林道から15メートルほど、笹やぶの中を進むと…。
警察官「後ろの人が見えづらかったりしますよね」
記者「本当にそうですね。少ししか離れてないのに」
振り返ってみると、笹やぶが揺れていますが、人は見えません。
視界を遮られ、1メートル先にいる人の姿も見えづらくなりました。
どこも似たような景色のため、山菜採りに夢中になると、自分の居場所がわからなくなってしまいます。
体験した記者は、「奥に行けば行くほど、やぶの高さも高くなっていて、だんだん車の音も遠のいて行くので、どこから登ったのかがわかりづらくなった」と気づきました。
遭難を防ぐには
遭難を防ぐために重要なのが「服の色」です。
目立つ色の服を着ることで、捜索にあたるヘリコプターなどが発見しやすくなります。
では、何色がいいのでしょうか?
実際に山の中に入ってみると…
青い服を着た人は周囲に同化して見えづらく、赤い服を着た人は目視することができました。
北海道警察は、「ヘリからも見つけやすいと言われている。色をちょっと調整して山に入るのも大事」と話します。
相次ぐ山菜採りでの遭難を防ぐために、呼びかけている5つのポイントです。
・携帯電話を常に持ち歩く
・目立つ色の服装
・行き先と帰宅時間を家族に伝える
・単独行動をしない
・クマ対策グッズを携帯
この「クマ対策」とは、何をすべきなのか。何を持つべきか。
この連載と連動するサイト「クマここ」で、酪農学園大学の佐藤喜和教授の監修のもとご紹介しているポイントをもとに、もう少しくわしくお伝えします。
山に入るときは…気を付けるべきポイント
クマは積極的に人を襲う動物ではありませんが、お互いに笹やぶに姿が隠れてしまっていて気づかないうちに出会ってしまい、びっくりした場合などは、身を守るために攻撃してくることがあります。
そうなると、命にもかかわります。
なので、まずは「出会わない」ことが一番です。
ばったり出会わないように、「人がいるよ、来ないでね」とアピールするのが大切です。
ルール①音を出す
クマ鈴をつけたり、声を出したり、ラジオを流したり、クマと近づく前に音で人の存在を知らせておきます。
ただ、鈴や笛を持っていても、クマと会ってけがをした人もいます。
ちゃんと音が鳴るか?ラジオの電池は切れていないか?
山菜採りなどに夢中になって、声や音を出すのを忘れていないか?
車に忘れたり、カバンの中にしまい込んだりしていないか?
「音が鳴るものを持つ」だけでなく、「音を出す」をルールとして覚えておきましょう。
ルール②ひとりで行動しない
ひとりよりも、複数人で行動するほうが、クマとお互いの存在に気づきやすくなり、ばったり出会って事故にあうリスクを下げられます。
もし出会って事故になってしまった際も、助けを呼ぶなどして、命まで失うリスクは下げることができます。
ルール③「意識」と「知識」を持つ
自分だけは大丈夫…と思わずに、「いつクマに会ってもおかしくないという意識」を持つことも大切です。
クマの痕跡に敏感で、新しいものを見つけたらすぐに引き返すなど、クマに出会わないために「緊張感」を持っておきましょう。
山菜採りでの遭難は、毎年5月と6月に集中しています。
それに伴って、クマと人の事故も「春と秋」に多く起きています。平成に入ってからの北海道でのクマの事故で、ハンターが被害者のものを除いて振り返ると、およそ半数が、「山菜・キノコ採り」中の事故です。
今一度、山菜採りの注意ポイント、クマ対策のルールを確認して、北海道の自然を安全に楽しみましょう。
連載「クマさん、ここまでよ」
暮らしを守る知恵のほか、かわいいクマグッズなど番外編も。連携するまとめサイト「クマここ」では、「クマに出会ったら?」「出会わないためには?」など、専門家監修の基本の知恵や、道内のクマのニュースなどをお伝えしています。
「クマここ」基本の知恵監修:クマの生態にくわしい、酪農学園大学・佐藤喜和教授
文:Sitakke編集部IKU
※掲載の内容は取材時(2024年5月)の情報に基づきます。