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阪神・佐藤輝明はなぜ初球を空振りするのか?データで判明した弱点とは

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阪神・佐藤輝明,ⒸSPAIA

巨人との天王山2連戦で計7打数1安打とブレーキ

首位・巨人との「甲子園決戦」で連勝を狙った阪神は1勝1敗に終わり、2ゲーム差に逆戻り。巨人のマジックは4に減り、残り5試合となった阪神は、膨らみかけた“逆転アレンパ”のムードも一気にしぼんだ。

2試合とも1-0の投手戦。阪神は初戦が才木浩人、2戦目が高橋遥人、巨人は初戦が菅野智之、2戦目がグリフィンと安定した投球を続けている投手が先発しただけに予想された展開ではあった。

ただ、阪神は2戦目で5番・佐藤輝明に1本出ていれば違った展開になったかもしれない。初回2死一、三塁、3回2死三塁、6回無死二塁とチャンスで巡ってきた打席で、空振り三振、空振り三振、センターフライと凡退。先頭打者として打席に立った9回もショートゴロに倒れた。

2連戦が始まる前の時点で9月は62打数18安打の打率.290、4本塁打、13打点と好調だった。それが大事な2試合で計7打数1安打。得点に絡むことはできなかった。

もちろん、2試合で計1得点だから佐藤輝明だけの責任でないことは言うまでもないが、主軸として期待された天王山で甲子園が溜息に包まれた責任の一端はある。

初球スイング率トップもコンタクト率は24人中21位

ルーキーイヤーから24本、20本、24本と3年連続20発をマークしているが、今季はここまで15本と4年連続は望み薄。バットの芯で捉えた打球の破壊力は凄まじく、打率.266も2022年の.264、2023年の.263と変わらないものの、どこか物足りない。

その印象を強くする要因のひとつが、初球をあっさりと空振りするシーンではないか。積極性と言えば聞こえはいいが、ストレートを“決め打ち”して変化球が来たらバットが止まらないのか、淡泊な空振りが目立つ。

今季の規定打席に到達している24選手の初球スイング率を調べてみると下の通り、佐藤は.402でトップ。思い切りの良さが結果につながっているならともかく、バットに当たるコンタクト率は.691で24人中21位なのだ。


そこでファーストストライクの成績も調べてみた。セ・リーグトップは打率.467、8本塁打の村上宗隆(ヤクルト)。2位は打率.460、11本塁打のオースティン(DeNA)、3位は打率.448の近本光司(阪神)と続いている。


当然ながら初球=ストライクとは限らない。ボールが先行した場合は、相手投手はストライク欲しさに甘いコースに置きにいくこともある。打率4割以上をマークしている強打者たちはそのファーストストライクを逃さずに捉えているわけだ。

佐藤も打率.311、3本塁打と悪くない成績ではあるものの、規定打席到達者24人中18位。初球のスイング率がリーグトップのわりにこの成績は現状を端的に示している。

追い込まれるともろい佐藤輝明

もうお分かりだろう。佐藤は初球のボール球に手を出し、空振りしているのだ。そこでボールゾーン割合を調べてみた。


やはり予想通りの数字だった。佐藤はボールゾーン率が56.4%でセ・リーグ4位。村上宗隆、小園海斗(広島)、細川成也(中日)に次いで高い。極論すると、相手投手はストライクを投げずにボール球で勝負しているのだ。

ちなみに規定打席到達者でストライクの方が多いのはボールゾーン率49.4%の野間峻祥(広島)、48.9%の中野拓夢(阪神)、48.9%の矢野雅哉(広島)、48.8%の岡林勇希(中日)の4人のみ。一発を浴びる危険性の低い打者は、比較的ストライクゾーンに来る。

ボールゾーンが多いのはスラッガーの宿命でもあるわけだが、それを我慢できずに空振りしていては術中にハマっていると言わざるを得ない。

ここまでデータにも表れているにもかかわらず、なぜ佐藤は振ってしまうのか。そのヒントはカウント別の成績にあった。


佐藤は追い込まれる前、0ストライクと1ストライク時点の打率は24人中11位の.342と高い。しかし、2ストライクに追い込まれると24人中18位の打率.203と極端に下がるのだ。

首位打者を走るサンタナ(ヤクルト)が、2ストライクでもリーグトップの打率.260をマークしているのとは好対照。追い込まれると心理的プレッシャーがかかり、相手投手も得意のウイニングショットで勝負するため、ある程度打率が下がるのは仕方ないとはいえ、佐藤は追い込まれるともろいのだ。

その弱点を自覚しているいるからこそ、初球から狙いを絞って思い切り振りにいくのではないか。それがハマれば一発長打になるが、プロの投手はそう簡単に勝負してこない。

佐藤はストレートの打率.283、6本塁打に対し、変化球も打率.255、9本塁打を放っており、決して変化球が苦手なわけではない。“決め打ち”せず、狙い球が来るまで待てる粘り強さと、追い込まれても対応できる技術を身に付けないと、いつまでも同じミスを繰り返しかねない。

決して簡単ではないだろうが、佐藤は「ミスタータイガース」を継承するだけの資質の持ち主。今年は間に合わなくても、いつか高い壁を乗り越えてほしい。

※成績は2024年9月24日現在

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記事:SPAIA編集部

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