満開の桜の下で「サクラ」してたら、予想外のことが起きてホッコリした!
さくら~さくら~♪ いま咲き誇る~♪ ようやく春になりましたなあ。先週は冬を感じさせる寒さだったけど、おかげで桜の満開時期がズレて、少し長くお花見を楽しむことができている。
毎年桜を見るたびに思う、「俺(佐藤)も咲き誇りてえなあ」と……。
そうだ! めっちゃいいこと考えた! サクラになればいいやんけ!ってことで、満開の桜の木の下で花見客を装った “サクラ” になってみた! そうしたら、予想外のことが起きてホッコリしちまったよッ!!
・桜の下でサクラ
「サクラ」とは客を装ってイベントや芝居を盛り上げたり、商品販売の場合は売れ行きが良いことを装ったりする行為の総称である。通販サイトでウソの口コミを書く行為などもこれに含まれる。今回私は、桜の下で花見客を装うサクラになることにした。はたして、私がサクラであることを一般の花見客は見破れるのだろうか?
とにかく、桜の名所「上野公園」にやってきた。今が見ごろとあって、平日昼間にも関わらず多くの人が足を運んでいる。
辺りを散策していると、人通りの少ない場所にポツンと1本の桜を発見した。桜よ、なんでお前はここでポツンと咲いているんだ。まるで、はみ出し者みたいじゃないか。
人に合わせることができず、いつも人とは違うことをしてしまう俺と同じ。俺たち、仲間だな、気に入ったぜ、ここでサクラをやってやる!
今日の私は花見客ではなくサクラだ。したがって、サクラとわかる格好をしていなくてはならないと思い、この格好を選んだ。
ポイントはパッと見た瞬間に「怪しい」と思わせることだ。強いていえば、職務質問を受けそうな格好である。
私の経験則からいえば、職質ポイントが高いのはキャップとフードである。スカジャンにパーカなんか最高の組み合わせだ。いかにも何かを隠してそうな雰囲気を演出するのに、絶大な効果があるので、皆さんも積極的に取り入れて頂きたい。
さらにサングラスまであれば完ぺき。サングラス・キャップ・フードの三種の神器が揃えば、昼でも夜でも職質される可能性爆上がり! マスクも着用すれば隠しごとがない方がおかしいとさえ思えるくらいである。
・サクラタイムスタート!
さて、そろそろ始めますか。目の前を和装の外国人観光客の集団が通り過ぎていったけど、彼らは私がサクラだと気づかなかったようだ。
久しぶりにカメラも持ってきた。小道具として良い仕事をしてくれそうだ。では、サクラタイム、スタート!
まずはさりげなく桜に歩み寄る、まるで誘われたかのように。
おもむろにカメラを撮り出して枝ぶりをうかがう。よほどのことがない限り、シャッターを押さないこだわりの趣味人が、今まさに心が動いた! そんな感じでもったいぶってカメラを構える。
イマイチ構図が決まらずに、頭のなかで「ああでもない、こうでもない」と思索をめぐらす。そんな様を演出する。
そして「これや!」とばかりにファインダーを覗いてパシャリ! どうだ、完ぺきなサクラぶりであろう。しかしながら、いくぶん挙動不審感を残すことも忘れてはいない。だって、ただの花見客ではないのだから。
花見といえば、ブルーシートを敷いて飲み食いだな。あいにく、1人用のブルーシートはなかったので、ゴミ袋を敷いてポンジュースを飲もう。
満開の桜の下で飲むポンジュース激ウマ! ……いかんいかん! これじゃあ本物の花見客じゃないか。そっちに心を動かされてどうするんだ。俺はサクラだ。桜の下にたたずむサクラに徹しなければならん!
っていうか、俺、何やってんだよ!? 何にこだわってこんなことしてるか、わからんくなってきた……。
・まさかの展開!?
本格的に挙動不審になってその場に立ち尽くしていたところ、先ほど通り過ぎた外国人観光客の集団の1部がこちらに戻ってきていた。
棒立ちしている私の横の方で、1組のカップルが記念撮影をしている。すると突然!
「Excuse me」
と声をかけてきたのだ。スマホを手に持ち、その画面を私に見せている。そこには、
「よかったら私たちを撮影してくれませんか? お金はいくらかかりますか?」
と翻訳された文言があった。
私をプロのカメラマンだと思ったらしいのだ。桜をバックに、着物姿を全部入れて撮影したいようだったが、自撮りに苦労している様子がうかがえた。だから撮って欲しいとのことだったが、私はズブの素人だ。しかも花見客を装ったサクラでもある。
う~ん、お金を頂くだなんて到底できない。ということで。スマホで以下の日本語を英語に翻訳して見せた。
「私は素人ですよ。お金なんていらないから撮りましょうか?」
と伝えると、2人は大喜び。かくして、急きょ撮影会のはじまり! 彼らはインドネシアからの旅行客で、ツアーの一環で和装で上野公園にやってきたらしい。ゆっくり撮影したかったが、あと5分でバスが来るという。急がねば!
ってことで、撮った写真がこちら。
いくつかカットを変えて、こんな感じで撮ることができた。
カメラマンの腕はイマイチだが、お2人の仲睦まじい様子がうかがえて、とてもホッコリしました! ということで、桜の下でサクラしてたら幸せな気持ちになれたので、皆さんもぜひ試して欲しい。もうすぐ散り始めるから、やるなら今のうちだぞ~!
※おふたりには写真の掲載許可を得ています
参考リンク:上野恩寵公園
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24