アキバ系アイドル・あっとせぶんてぃーんの真実!新たな地平に向かう “友情・努力・勝利”
連載:ROAD to LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)① アキバ系アイドル・あっとせぶんてぃーんの真実!新たな地平に向かう “友情・努力・勝利”
LINE CUBE SHIBUYAを目指す “あっとせぶんてぃーん”
秋葉原・名古屋・大阪で多数の店舗を展開する老舗メイドカフェ『あっとほぉーむカフェ』に在籍する現役メイドで結成されたアイドルグループ “あっとせぶんてぃーん”(通称:あっせぶ)がLINE CUBE SHIBUYA(旧:渋谷公会堂)を目指すという情報をキャッチしたのは、ゴールデンウィークの直前だった。
普段、ビックアーティストの活躍をメディアを通じて見ている我々は感覚が麻痺しているのかもしれないが、ひとつのアーティストが2,000人キャパのLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)をソールドアウトにすることは容易なことではない。一握りの選ばれし者がこのステージに立ち、喝采を浴びることができる。2016年からのキャリアを持ち、熱狂的なファンに支えられているあっとせぶんてぃーんにしても、LINE CUBE SHIBUYAでの公演は新境地だと言っていいだろう。
あっとせぶんてぃーんが放つ熱量はまさしく “青春”
過日、彼女たちのリハーサルスタジオを訪れる機会を得たのだが、そこは、さしずめインターハイを目指す強豪校の部活のような現場だった。ボイストレーニング、ダンスレッスンとプロフェッショナルに相応しいメニューをこなしながら、スゥエット姿の彼女たちの真剣な眼差しが放つ熱量は、まさしく “青春” だった。そしてこの熱量は『少年ジャンプ』のキーワードでもある三要素、“友情・努力・勝利” を思い出さずにはいられなかった。
一瞬の迷いもなく、目の前の壁を乗り越えるためだけに一意専心しているメンバーたち。3期生としてグループに参加し、今や中核を担うメンバー、つららは言う――
“ソロで歌いたいとか、そういうことを考えたことは一切ないですね”
これは、あっとせぶんてぃーん全員が思っていることだろう。全メンバーがLINE CUBE SHIBUYAという同じ方向を見つめていることがすぐに分かった。そして思った。“彼女たちの青春に参加したい” と。おそらく、あっとせぶんてぃーんに関わるスタッフのみんながそう感じているだろう。それだけの求心力を彼女たちから受け取ったのだ。
“永遠の16歳” 綾小路 翔がプロデュースした「メイド in Nippon」
昨年、あっとせぶんてぃーんはメジャーデビューシングル「メイド in Nippon」を12月18日にリリースした。プロデュースは氣志團の綾小路 翔。“永遠の17歳” であるあっとせぶんてぃーんが、“永遠の16歳” である綾小路 翔にグループの未来を託したことになる。
綾小路が書き下ろした「メイド in Nippon」は、令和的なダンスミュージックをフォーマットにしているが、イントロで聴かせるギターのフィードバックやキャッチーなリフが、ロック華やかなりし時代のガールズバンドの勢いを彷彿とさせてくれる。そして、彼女たちのメイドとしての矜持、生き様が描かれているリリックが胸を打ってくる。まさに、あっとせぶんてぃーんの名刺代わりの1曲なのである。
そう、あっとせぶんてぃーんはこの楽曲との出会いにより、1980年代のミュージックシーンに接近した。令和のアイドルは汗と涙の “青春” を全うし、80年代当時 “ロックの殿堂” とされた渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)を目指していく。そんな彼女たちの動向を、Re:minderは全力で追いかけて行きたい。そこでまずは、現在のアイドル事情を考察してみよう。
坂道系、原宿系、アキバ系に分類される令和のアイドル
進化、変化が絶えない令和のアイドルは、大別すると3つのタイプに分類される。ひとつは、言わずと知れた王道の “坂道系”。秋元康がプロデュースする乃木坂46、櫻坂46、日向坂46、吉本坂46らの総称だ。
そして “原宿系”。こちらは、きゃりーぱみゅぱみゅ、CAPSULE、中田ヤスタカらが所属する音楽プロダクション、アソビシステムが手がけるCUTIE STREET、FRUITS ZIPPERが筆頭だろう。このネーミングは、80年代末から90年代に創刊されて一世を風靡したストリート系ファッション雑誌、『CUTiE』(宝島社)、『FRUiTS』(ストリート編集室)と『Zipper』(祥伝社)が由来だと思えてならないのだが、こういったディティールがいかにも “原宿系” だ。
そして、最後が “アキバ系”。ざっくり言ってしまえば、秋葉原を活動の起点とする個性派アイドルのことなのだが、その真意は奥深い。かつて、ドン・キホーテ秋葉原店8階にオープンした専用劇場で初公演を行ったAKB48こそがアキバ系アイドルの象徴と考える人も多いだろう。しかし、そうではない。秋葉原を起点に様々なコミュニティを持ち、インディペンデントな活動から世界に打って出るアイドルこそが、アキバ系の真髄なのである。まさに、老舗のメイドカフェ『あっとほぉーむカフェ』の “お給仕”(メイド)から生まれた “あっとせぶんてぃーん” もこの先駆者と考えていいだろう。
音楽とメイド、どちらも真剣に向き合っている あっとせぶんてぃーん
あっとせぶんてぃーんを知るにあたり、重要なキーワードがメイドカフェである。メイドカフェと聞いて、ガールズバーなどの飲食店と同じイメージを持つ人も少なくないだろう。しかし、足を運んでみてわかったのだが、その実情はそれと大きくかけ離れている。彼女たちが所属する『あっとほぉーむカフェ』にしても、劇場型エンタテインメントというか、まさしくディズニーランドにも通じる世界があった。
客層は、海外からの観光客、男女カップル、女性…と様々で、男性ひとりの客が意外にも少ないことに驚く。ゲストを “ご主人様” “お嬢様” と呼び、お城のような店内で繰り広げられるコミュニケーションはまさしく非日常の世界であり、メイドたちはこの場所で働くことに誇りを持っている。『あっとほぉーむカフェ』でメイドになれる倍率は10倍を超える競争率らしい。そして選抜されたメイドは、まず、研修で英語の日常会話を学ぶ。日々押し寄せる海外からの観光客は10カ国を超えるという。まさしくジャパン・カルチャーの一翼を担っているのが『あっとほぉーむカフェ』なのだ。
あっとせぶんてぃーんのメンバーは、音楽とメイド、どちらも真剣に向き合っている。だからなのか、店を通じてのファンとの関わりに心を大きく揺さぶられるメンバーも少なくないという。例えば、カフェで行われる他のメイドの誕生日イベントにゲストで呼ばれているのに、あっとせぶんてぃーんの活動が入りそのイベントに出演できなくなった時の呵責に苛まれることもあるという。つまり、メイドとしての矜持、あっとせぶんてぃーんのメンバーとしての矜持を持ちながら彼女たちはさらなる高みを目指す。それは紛れもなく令和の “青春” のかたちである。
次回は、あっとせぶんてぃーんとは何か? その活動内容、音楽性、他のアイドルグループにはない魅力について検証していきます。
Information
あっとせぶんてぃーんワンマンライブ
Road to 2000 Tokyo Fight 1/1 Bounce Back!!
▶ 開催:2025年9月14日(日)
▶ 場所:LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
▶ 詳細:ワンマンライブ特設サイトhttps://2000tfbb.bitfan.id/