紹興風でちょっと珍しい小籠包が食べられる阿佐ヶ谷「みんみん小籠包」
阿佐ヶ谷にある手作りの小籠包、餃子、焼売がいただける「みんみん小籠包」を紹介します。TDCのXで200リポスト、1200いいね超えの反響があったお店です。
「みんみん小籠包」
https://x.com/tokyodeepchina/status/1864798399427379508?s=46
今回は「みんみん小籠包」の魅力をさらに伝えるべく店主にこだわりポイント等をインタビューしてきました。それでは早速レポートしていきます!
店主は浙江省紹興出身
店主は紹興出身の童民さん。ご家族は北京で老舗飲食店(大童小籠)を経営しています。
童民さんは日本の大学で経営学を学んだ後に中国に戻りご家族のお店で働いていましたが、コロナで経営難になったのを機に、お店で習得した技術と日本での留学経験を活かして「みんみん小籠包」の出店を決めたそうです。
お店のオープンは2024年の夏、取材時点では4名体制です。
みんみん小籠包の皆さん、店主の童民さんは左から2番目
JR阿佐ヶ谷駅から徒歩4分
阿佐ヶ谷駅から向かう場合は、中杉通りを南阿佐ヶ谷駅(杉並区役所)方向に4分ほど歩いた場所にあります。中杉通りに面しているので見つけやすいかと思います。
カジュアルで清潔感のある店内
店内はカジュアルかつ清潔感があります。席はカウンターとテーブルが2つとこじんまりとしており、席や入口から厨房の様子を見ることができます。
お客さんの大半は中国人で店内は中国語が飛び交っていましたが、日本人で初めてきた旨を伝えるとオススメや食べ方を日本語で説明してくださり楽しく過ごせました。注文から提供までもスムーズで時間が無い際にも立ち寄りやすいです。
小籠包、餃子、餅米シュウマイがメイン
小籠包、餃子、餅米シュウマイがメイン、その他にスープやサラダ、飲み物等がありテイクアウトもできます。
私のようなガチ中華ソロ活勢は、食べたいもの以前に一人で注文できそうなものから選ばざるを得ないのですが、どのメニューも大丈夫そうなのが嬉しいです。また紹興直送の紹興酒が飲めるのもポイント。ちょい飲みも楽しめそうな感じです。以降、メニューの一部を紹介します!
小籠包(6個入り)~天然酵母「老麺」のこだわり生地
店一番の人気メニュー。一番のこだわりは中国の天然酵母「老麺」で作った生地だそう。こだわりの生地は後ほど深掘りします。
この店の小籠包は「嵊州(シェンジョウ)小籠包」に分類されるタイプで具材は豚とネギ。一見すると、肉まんでは?と思う方もいそうですが、嵊州小籠包は中国では主食の扱いで皮が厚いのが特徴。食べてみると生地はみっちりと詰まっているのにふわふわ、もっちもち。噛むとほのかに甘さを感じます。
肉も脂のバランスがよく、肉汁が染み込みしっとりした皮もまた美味しいです。黒酢と唐辛子たっぷりのラ一油で食べましたが皮との相性が大変良いです。
ちなみに「嵊州小籠包」は浙江省紹興市にある都市「嵊州(シェンジョウ)」が発祥で、中国では「杭州小籠包」と呼ばれ中国本土各地で食べられています。嵊州より杭州の方が知名度があったため「杭州小籠包」として売り出されたのだとか。
焼き卵小籠包(6個入り)~紹興風スナックは黒酢ラー油で
小籠包を焼いて溶き卵をいれ、さらに焼き、ネギと胡麻をトッピングとしてかけています。紹興では豆腐が具材の小籠包を使い、この食べ方をする事も多いそうで、ご家族のお店にも同様のメニューがあるそう。
焼いたことで小麦の香ばしさが引き立ちます。また皮の表面がサクサクになったことで食感が変わり、肉の存在感が増します。小籠包は主食感がありましたが、焼き卵小籠包はスナック感覚で軽く食べられます。お酒に合いそうです。こちらも黒酢とラー油でいただくのがおすすめ。
餅米シュウマイ(4個入り)~椎茸や蓮根も入ってアクセントに
餅米シュウマイはその名の通り餅米が具材の焼売。こちらも手作り。日本ではあまり見かけませんが、中国の一部地域ではポピュラーです。
丁度良い蒸し具合、醤油の優しい味付けの餅米で食べやすいです。皮もモチモチなのでモチモチ好きにはたまりません。また椎茸、蓮根も入っており食感にアクセントがあります。お店の方におすすめされ黒酢で味変をしましたが、さっぱりして美味しかったです。
肉餃子(6個)~肉がしっかり入ってる
肉がしっかり入っており、食べると旨みたっぷりの肉汁が溢れ出てきます。お肉には脂がのっていますが、肉質や調理方法故か、後残りやしつこさはなかったです。
小籠包が皮のインパクトが強かったので、冷静に肉の味を蒸しの観点で味わえたなと。私はまだ食べられていませんがこちらも焼き卵バージョンもあります。
みんの中華スープ
のり・卵・干しエビ入りで優しい味です。メインの小籠包、餃子、焼売との相性がバッチリです。
こだわりの生地を深掘り!
「みんみん小籠包」の小籠包の生地は中国の天然酵母「老麺」で作られています。一般的なイースト菌は1つの菌で発酵が進みますが、老麺は空気中の菌(乳酸菌等)が関係し合いながら発酵が進み、単菌では作れない風味を出すことができます。一方で、 酸味の調整が難しかったり、悪い菌の増殖を防ぐ必要があったりと扱いが難しいです。
老麺は使う度に一部を次のタネとして残して繋いでいきます。そのため一種に老麺と言っても同じ物はなく、同じタネでも時間が経つと異なる組成になります。
みんみん小籠包ではご家族のお店で30年以上使われていた老麺を使っています。1つの小籠包を通して、ご家族が中国で繋いできた歴史、そして新たに日本で繋がれる歴史を感じることができるのだと奥深さを感じました。
自慢の生地を見せてもらいました。すごい弾力感です。この生地を作るために12時間もの長時間発酵、その日の老麺のコンディションに合わせて、重曹による酸味の調整、老麺の量、湿度など様々な事に気を配り、調整しているそう。童民さんの職人技があってこそですね。
最後に
「みんみん小籠包」のレポートいかがだったでしょうか。
小籠包の生地の美味しさが衝撃的で定期的に通いたいお店です。テイクアウトもできるので「おかずにもう一品!」といった使い方も良いかもしれません。また初訪問時は小籠包の感動に加え、童民さんが熱心に説明してくださったり、丁寧で明るい接客をしてくださったのが印象的でした。お店の雰囲気や皆さんの人柄も私的にはおすすめポイント!是非いってみてくださいね。
執筆を終えて
TDCでの初めてのレポートでした。私とガチ中華との出会いは中国人親友ができたことでした。ガチ中華の開拓を進める中で交流や発信の場が欲しいと思いTDCに応募させていただきました。
TDCの活動や今回の取材を通して、ガチ中華の背景には「街の歴史」「人との繋がり」「人生」あるのだと感じ、ガチ中華の奥深さを再認識、新たな楽しみ方に気づくことができました。これからTDC、ガチ中華界隈を盛り上げていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
(文香)
店舗情報
みんみん小籠包
杉並区阿佐谷南3-32-1