円安と円高では経済はどう変わるの?円安と円高のメリット・デメリットとは!?【眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話】
1:円安と円高のメリット・デメリット
「円の為替レート」の比較対象は米ドルかユーロです。これは米ドルやユーロが、各国の貿易取引では「中間の通貨」として各国間に介在するため、これら通貨との比較が非常に重要だからです。
たとえば、トヨタは2022年に国内で約265万台のクルマを生産し、うち167万台(約63%)を輸出し、アジア、北米、欧州、中南米、アフリカなど26の国や地域にも工場進出し、世界全体で903万台のクルマを生産しています。
23年3月期決算では売上が37兆円で過去最高でしたが、これは輸出が円安で競争力を増し、海外売上は円安での為替換算で大きく膨らんだからでした。グローバル企業のトヨタは、対ドルで、1円の円安で営業利益が450億円も膨らみます。輸出主力の製造大企業にとっては、円安が膨大なメリットをもたらすわけです。
しかし、私たちの日常生活ではどうでしょう。日本はカロリーベースでの食料自給率が38%しかありません (生産額ベースでは58%)。牛肉や豚肉大豆、小麦、トウモロコシ、生鮮野菜など輸入品だらけです。たったの11・8%しかありません。当然ですが、円安になるとこれらの輸入に頼る日本は、物価上昇で青息吐息にならざるをえないのです。
長くデフレが続いた日本では、あらゆるモノの価格が抑えられてきました。それゆえ円安で国内物価が少々上昇しても、外国人から見ると、まだまだ格安に映ります。ゆえにインバウンド(訪日客)消費には期待できても、日本人が海外旅行する時のアウトバウンド消費は厳しくならざるをえません。円安は輸出にはメリットがあるも、輸入にはデメリットです。円高はこの逆になります。
円安・円高のメリットとデメリット
円安…輸出
【経済とお金の豆知識】
日本の株式市場は輸出主導型の企業が多く、円安が歓迎され、円高を忌避する傾向です。しかし、円高で世界からモノを安く買えることを考えればおかしな風潮です。通貨高で滅んだ国はないからです。
【出典】『眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話』著:神樹兵輔