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ビジネスシーンにおいて、よく見聞きする「幸いです」という言葉。何となく使っているけれど、実際どんな意味があるのか分からない……という人も多いのではないでしょうか。また、使い方を間違えると失礼にあたる可能性があるため注意が必要です。
この記事では、「幸いです」の意味や利用シーン、使い方を例文とともに解説します。また、知っておくと便利な言い換え表現も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

「幸いです」の意味とは

「幸い（さいわい）です」は、「その人にとって望ましく、ありがたいこと」を意味します。日本語の丁寧な表現のひとつで、相手に何かを依頼したり、感謝の気持ちを伝えたりする際に用いられます。

「幸いです」を使うことで、「お願いいたします」と直接的に表現するよりも少し柔らかい印象になります。ビジネスシーンでは、メールやチャット、口頭でのコミュニケーションなどさまざまな場面で使用されており、「～していただけると、ありがたいです」という意味合いで「～していただけますと幸いです」などと使われるのが一般的です。

ビジネスシーンで使う際の注意点

「幸いです」は、ビジネスシーンにおいて頻繁に使用されていますが、注意すべき点もいくつかあります。相手にネガティブな印象を与えないよう、正しい使い方を覚えておきましょう。

目上の人に使うには不適切

「幸いです」は丁寧語ではあるものの、謙譲語や尊敬語とは異なります。目上の人や取引先に対して敬語表現で使いたい場合には、「思う」の謙譲語である「存じる」を用いて、「幸いに存じます」とするとより丁寧な表現になります。

例

(上司に対して）この度の打ち合わせにご参加いただき、幸いに存じます。 （取引先の部長に対して）この度のご発注、幸いに存じます。

話し言葉ではなく文章での使用が一般的

ビジネスシーンにおいて「幸いです」は、メールやチャット、書類などの文章で使われることが多いです。話し言葉で使っても問題ありませんが、やや堅苦しい印象を与えてしまう可能性があるため、対面で「幸いです」と同じ意味を伝えたい場合には、「お願いします」や「嬉しいです」などの言い回しを使うのが良いでしょう。

急ぎの依頼をするときには使わない

「幸いです」は、「～してもらえるとありがたい」という気持ちを込めた表現で、その判断は相手に委ねているというニュアンスになります。

そのため、納期が決まっているなど、緊急度の高い依頼で用いるのには適していません。急ぐ必要がある場合は、依頼の強制度が高い「していただきたいです」「お願いいたします」といった表現を使い、迅速な対応を促しましょう。

シーン別！「幸いです」を使った例文を紹介

ここからは、ビジネスシーン別での「幸いです」の使用例を紹介します。
状況に応じて適切に使い分け、コミュニケーションを円滑に進めていきましょう。

何かを頼むとき

「幸いです」は、こちらが提示した内容について、相手によく考えて判断して欲しいとお願いしたり、確認をうながしたりと、相手に何かを丁寧にお願いしたいときに便利な表現です。相手に柔軟な対応を求めつつ、丁寧な配慮を示すことができます。

例

お手数をおかけしますが、添付資料をご確認いただけますと幸いです。 大変恐縮ですが、アンケートにご協力いただけますと幸いです。 〇月〇日までにご返信いただけますと幸いに存じます。 お忙しいところ恐れ入りますが、ご出席いただけますと幸いです。

頼まれたことを引き受けるとき

頼まれたことを引き受ける際にも「幸いです」は用いられます。相手の依頼を快く引き受ける意思を示し、相手に好印象を与えることができるでしょう。

例

ご提案の件、お引き受けさせていただきます。お役に立てれば幸いです。 ご指名いただき、ありがとうございます。全力で取り組ませていただきますので、お役に立てれば幸いに存じます。 微力ではございますが、誠心誠意努めさせていただきます。ご期待に沿えれば幸いに存じます。

理解や協力を求めるとき

「幸いです」は、相手の理解や協力を丁寧に求める際にも有効です。
「していただけると幸いです」よりも「していただけますと幸いです」のほうがより丁寧で、相手の立場を尊重し、謙虚な姿勢を示すことができます。

例

急な仕様変更となり大変恐れ入りますが、ご理解いただけますと幸いです。 本プロジェクトの進行について、お力添えいただけますと幸いです。 ご多用のところ誠に恐れ入りますが、ご支援いただけますと幸いに存じます。

プレゼントやお土産を渡すとき

相手に品物を渡す際に、「あなたの好みに合うか分からないけれど、喜んでもらえたら嬉しい」という意味合いを込めて「幸いです」と表現します。
このようなケースでは、書き言葉ではなく話し言葉でも使われることがあります。

例

旅行のお土産なのですが、お口に合えば幸いです。 心ばかりではございますが、何卒ご笑納いただければ幸いに存じます。

「幸いです」の言い換え表現

最後に、「幸いです」の言い換え表現を紹介します。
相手や状況に応じて類似語や言い換え表現を正しく使い分け、コミュニケーションの幅を広げていきましょう。

お願いいたします

「お願いいたします」は、「幸いです」よりも直接的かつ明確な依頼の意味合いを持っているため、曖昧さを避けたい場合や、確実に対応してもらいたい事柄について依頼する際に適しています。

フォーマルな場面以外でも使いやすく、上司や取引先といった目上の人から、同僚や部下といった同等・目下の人まで、幅広い相手に使えるフレーズです。

例

添付の資料をご確認いただき、ご意見をお聞かせいただけますようお願いいたします。 ご迷惑をおかけいたしますが、ご検討いただきますようお願いいたします。 ご多忙の中誠に恐縮ではございますが、ご協力を賜りますようお願いいたします。

幸甚（こうじん）です

「幸甚」という言葉は、「大変ありがたく、心から幸せに感じる」という意味合いを持っています。「幸いです」よりも改まった表現であり、特に目上の人に対して感謝の気持ちを丁重に伝えたい場合に用いられます。

ただし、「幸甚です」はやや堅苦しい印象を与える可能性があるため、状況や相手を見極めて使用するようにしましょう。

例

添付資料をご一読いただき、ご返信いただけますと幸甚に存じます。 試作品をお送りさせていただきますので、お使いいただいたご感想をお聞かせいただけますと幸甚です。 お手数をおかけいたしますが、ご理解とご協力を賜りますと幸甚に存じます。

助かります

「助かります」は、相手の協力によって自分の抱えている問題や負担が軽減されるという意味で使われることが多いです。
使える相手は同僚や後輩など、同等の立場や目下の人に限られます。謙譲語ではないため、上司や取引先といった目上の人に対して使うのは適切ではありません。

例

明日の会議に向けて、資料の準備を手伝っていただけると助かります。 急な変更にも関わらず、迅速に対応していただけて助かりました。 プロジェクトの進捗状況を定期的に共有いただけると助かります。

ありがたく存じます

相手からの親切や好意に対して感謝の気持ちを丁重に伝える際に、「ありがたく存じます」が使われます。謙譲語であることから、目下の人に対して使うには適していません。上司や取引先など、目上の人や敬意を払うべき相手に対して、感謝の念を示す場合に有効です。

ただし、親しい上司相手に使うと堅苦しい印象を与える可能性があるため注意しましょう。

例

先日のプレゼンテーションにおいて、貴重なご意見を賜り、ありがたく存じます。 この度は、弊社の新入社員研修にお時間を割いていただき、ありがたく存じます。 長年にわたり、弊社の事業にご理解とご支援を賜り、大変ありがたく存じます。

うれしく存じます

「うれしく存じます」は、「うれしく思います」という表現を敬語に置き換えたものです。謙譲語の一種で、目上の人から好意的な提案や協力を受けた際や、望ましい行動を取ってくれた場合に、感謝の気持ちと喜びを伝える際に用いられます。また、「他人のことに対して」嬉しく感じた際にも使用できます。

例

この度は、弊社の新製品をご採用いただき、誠にうれしく存じます。 長年の功績が認められ、社長賞を受賞できたこと、大変うれしく存じます。 ご多忙の中、私どもの会社説明会にお越しいただき、うれしく存じます。

まとめ

「幸いです」は「～していただけるとありがたい」と、柔らかく相手にお願いする際に用いられる便利な表現です。「嬉しく思う」という意味で使われることも多く、ビジネスシーンではメールやチャット、文章などさまざまな場面で用いられています。
一方で、急ぎのお願いには不向きだったり、目上の人に使う際には「幸いに存じます」と言い換えたほうが良かったりと注意すべき点がいくつかあります。
ぜひ、この記事を参考に「幸いです」という言葉を正しく使って、コミュニケーションを円滑に進めていきましょう。

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