企業内ハラスメントを「見聞きしたことがある」管理職は約8割 ハラスメントと偽る悪用事例も
転職支援サービスを提供するミイダス(東京都港区)は11月26日、企業内ハラスメントに関する調査結果を発表した。調査では、約8割の管理職が「勤務先でハラスメントが身近に起きている」と感じていることが判明。また、処分や指導に対する同情的な感情や、サポート体制への不満を抱く声も一定数みられた。さらに、「ハラスメントを偽装する」などの悪用事例が報告され、職場環境の複雑化が浮き彫りとなった。
ハラスメントを見聞きしたことがあるのは8割
この調査は、経営者・役員200人と、部下が3人以上いる部長・課長相当の中間管理職200人を対象に、2024年3月27、28日の2日間にわたって実施された。
最初に「勤務先でハラスメントに関する指導や処分を受けた管理職を見聞きしたことがあるか」を尋ねたところ、「1度以上ある」と回答した割合は、経営者・役員で79.0%。中間管理職で77.5%となり、ともに約8割に達した。
会社のサポート体制に不満を覚える人が約2割
次に、ハラスメントを見聞きしたことがある人に「その指導や処分についてどう考えたか」を聞いたところ、「当然の措置だと思った」と回答したのは、経営者・役員が55.7%、中間管理職が65.8%であった。一方、「仕方がないが可哀想だと思った」との回答は、経営者・役員が37.3%、中間管理職が27.1%に上った。指導や処分に対して同情的な感情を抱く人が一定数おり、ギャップが生じていることがわかった。
また、「会社からの事前研修・教育やサポートが足りないと思った」と答えたのは、経営者・役員が17.7%、中間管理職が18.1%に上り、約2割の人が企業のサポート体制に不満を抱いていることが判明した。
勤務先のハラスメント悪用事例「人間関係のトラブルをハラスメントと偽る」
調査では、「発生した・発生しそうになったハラスメントの悪用事例」についても尋ねている。経営者・役員の回答で最も多かったのは「人間関係のトラブルをハラスメントと偽る」(37.0%)、次いで「自身の業務不足を隠すための申告」(24.5%)。一方、中間管理職では「人間関係のトラブルをハラスメントと偽る」が29.5%、「自身の業務不足を隠すための申告」が29.0%という結果になった。
このような悪用事例について「発生した・発生しそうになったことがない」を除外すると、約7割が何らかの事例を見聞きしていることがわかった。
「ハラスメントを盾に上司を排除する」事例も
さらに、「ハラスメントを盾に上司を排除する」事例も挙げられた。具体例としては、「新たに配置された上司を排除するためのハラスメント申告」や「部下がストレス発散目的で実在しない行為をでっち上げた申告」などが報告されている。中には「部下が上司を挑発するような行為を繰り返し、その反応を隠し撮りして録音した」といった悪質なケースも含まれる。
職場でのハラスメントに敏感になっている人は8割以上
こうしたハラスメントへの意識について、当メディアはハラスメントの境界線についての労働者の調査を掲載。職場でのハラスメントに「敏感」になっている人は8割以上にのぼる。
また、ハラスメントに悩む従業員の退職代行サービス使用が定着していることからも、ハラスメントをめぐる状況は深刻になっているとみられる。
ミイダスの詳細な調査結果は同社のプレスリリースで確認できる。