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屋良朝幸・中川晃教らが再び作品と向き合い、さらにパワフルな2024年版『SONG WRITERS』を作り上げる 稽古場取材会レポート

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(左から)岸谷五朗、実咲凜音、中川晃教、屋良朝幸、武田真治、森雪之丞

作詞家・森雪之丞と俳優・演出家の岸谷五朗がタッグを組み、2013年に初演を行ったオリジナル・ミュージカル『SONG WRITERS』。魅力的な音楽とストーリー、演出が評判を呼び2015年に再演された。長らく復活が待ち望まれていた本作が、2024年11月に約10年の時を経て再び上演される。今回、自信過剰な作詞家エディ・レイク役の屋良朝幸、気弱な作曲家ピーター・フォックス役の中川晃教、音楽ディレクターのニック・クロフォード役の武田真治、マフィアのボスのカルロ・ガンビーノ役のコング桑田ら初演オリジナメンバーが再集結。さらに、実咲凜音、相葉裕樹、青野紗穂、蒼木陣、東島京らが新キャストとして参加する。

開幕まで約2週間のタイミングで、歌唱披露と囲み取材が行われた。

まず披露されたのは本作のテーマソングとも言える「ソングライターズ」。作詞家を夢見るエディと作曲家を夢見るピーターがタッグを組んだきっかけ、夢を歌うナンバーだ。森が「“この世に100の悲しみがあっても101個目の幸せを書き足せばいい”というのがソングライターの大きな意味だと思っています」と説明。岸谷の「この楽曲の中で屋良っちとアッキー(中川)が本当にエディとピーターになっていく。我々もいつも興奮させられるナンバーです」という言葉に森が「作中ではアッキーがピアノを弾いたり、真治がサックスを吹いたりするシーンも盛り込まれています。役者だけじゃなくミュージシャンとしての一面をみんな持っているのも大事なポイント」と付け加える。

屋良と中川は、自信家なエディと気弱なピーターという真逆な性格の2人を魅力的に表現。お互いの才能を認めたエピソード、まっすぐに夢を追う若者のエネルギーを明るくポップに歌い上げた。

続いては、エディがスカウトしてきた謎の歌姫・マリー(実咲凜音)が歌う「秘密があれば」。岸谷は「物語の舞台は1976年ですが、この楽曲の中で過去へ遡ります。新キャストとオリジナルキャストが面白い化学反応を起こしていますから、そこも楽しみにしていただきたいです」と語る。実咲演じるマリーの華やかでパワフルな歌声にエディとピーター、ニックが魅了されるシーンからスタートし、曲中でパティ(青野紗穂)や刑事のジミー(相葉裕樹)、カルロ(コング桑田)率いるマフィアたちも登場。物語が動き出す予感を感じさせるシーンとなっている。

マフィアたちの怪しいがコミカルな芝居に笑いと拍手が起きる中、ぐっと雰囲気を変え、相葉演じるジミーと青野演じる元恋人・パティが歌う「愛はいつも愚かなもの」が歌われる。森の「ギャングが登場するのは1975年、しかもエディが書いた脚本の世界が形となって現れます。その中に登場する2人のすごく素敵なラブソングです」という説明を受け、切ない歌詞をしっとり聞かせる相葉と青野に引き込まれた。

最後に披露された「あなたがスターだ!」については、森が「一番賑やかなミュージカルナンバーで、いろいろなブロードウェイミュージカルのオマージュも散りばめられています」と紹介し、岸谷も「武田真治大暴れです(笑)。特技のサックスも出てきます」と笑顔を見せる。紹介の通りユーモラスでポップなナンバーで、コミカルなやり取りに歌にダンス、武田のサックス演奏と要素が盛りだくさん。作品に対するわくわくを掻き立ててくれた。

続いて、森雪之丞、岸谷五朗、屋良朝幸、中川晃教、実咲凜音、武田真治による囲み取材が行われた。

:この10年で日本にミュージカルブームが起きました。ただ、どうしても海外からの輸入作が多い。僕は音楽の世界から出てきた人間ですが、日本のクリエイターは素晴らしく、日本の音楽は世界を席巻していくと思います。今後は日本のクリエイターにオリジナルを作っていってほしい。その足掛かりとして3回目の公演ができることを誇りに感じながら挑みたいと思います。

岸谷:雪之丞さんと同じ気持ちです。悲しいニュースが世界中で飛び交っていますが、エンターテインメントの力で、劇場に来てくださるお客様になんとか元気を届けたいと思っています。

屋良:10年くらい経ちますが、僕とアッキーと真治さんと見ればわかるように歳をとっていません(笑)。いい意味で前回以上にはっちゃけて稽古しています。初演ではいろいろ勉強させてもらい、ミュージカルに対する気持ちが変わりました。3回目の今回、自分としてもいろいろ心境が変わって1発目のミュージカルになるので、全力でぶつかっていきたいです。

中川:僕が演じるピーター・フォックスの綴りが「fox」なので、時々キツネのようなポーズをしたり、自由に遊ばせていただいています。体当たりでキャラクターを生きること、10代を演じるコツを教えてくれた作品だと思います。僕にとってのターニングポイントだったということを改めて実感しながら、素敵なカンパニーの皆さんと全力でお届けしていく最高のエンターテインメントです。

実咲:私は今回から参加していますが、稽古初日からみなさん阿吽の呼吸で、心の中で焦っていました。でも、みなさんが毎日稽古場で挑戦している姿に刺激をもらいながら臨んでいます。みんなで作り上げているという実感ができるお稽古場で、とても充実しています。

武田:11年前にこの作品に出会い、「演じる」ということの楽しさを実感しました。今回も五朗さんの演出で自分やみなさんが日々変化していくのを楽しみに稽古場に通っています。また再演してほしいですし、その時に活きの良い連中が「出演したい!」と言うような公演にすることが五朗さんや雪之丞先生への恩返しだと思うので、一生懸命取り組んでいきます。

再々演についての思いを聞かれた屋良は「『SONG WRITERS』という作品のファンがすごく多くて、再演してほしいという声をたくさんいただいていました。奇跡的にこのメンバーが揃ったことが嬉しいですし、10年経って自分がどう演じられるのか楽しみでもあります」と話す。

中川も「シアタークリエで行ったライブにシークレットゲストで(屋良が)登場してくれて、想像を超える拍手喝采をいただきました。僕も曲を書き下ろしさせていただいた思い入れもあったので、再び作品が蘇る意味を噛み締めました」と振り返り、武田は「また声をかけてもらえるとは思っていなかったので嬉しかったです」と率直に喜びを語った。

森はコロナ禍がなければもう少し早く再々演をしたかったと話しつつ、「みんなが乗り越えてきた上でこの作品が再始動することに僕自身は深い意味を感じています。みんな成長し、それでいてキュートさをなくしていないのが本当に素敵」と讃える。

初参加の実咲は「笑顔の絶えないカンパニーで、それが作品にも影響していると感じます」と話し、今回の演出について聞かれた岸谷は「初演キャストは当時の自分を超えなきゃいけない。大変なことですが着実にやっていて、そこに新メンバーが加わることで全く新しい『SONG WRITERS』になっていると感じます」と自信を見せた。

最後に、中川が「この作品、本当にハッピーになります。私たちも全力でこの作品の魅力を届けていきたいと思っていますので、どうぞ応援よろしくお願いします」とアピールし、屋良も「こんなにライブ感溢れるお芝居はなかなかありません。軸はぶれないようにしつつ、今回はいろいろチャレンジしていこうと思っています。毎公演カラーが違い、何度見ても楽しめる作品になると思うので、ぜひ楽しみにしていてください」と呼びかけた。

本作は2024年11月6日(水)~28日(木)までシアタークリエで上演され、12月には大阪、愛知でのツアー公演も行われる。

取材・文・撮影=吉田沙奈

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