大山 山岳遭難事故が多発 過去10年間で最多
大山での山岳遭難事故が多発している。標高1252メートルで首都圏からも近く、「日帰り登山に最適な山」として知られるが、伊勢原警察署によると、今年の山岳事故は12月2日現在で75件発生し、過去10年で最多。同署では事前準備の必要性や、ゆとりのある登山計画の重要性、登山者カードの提出を呼び掛けている。
伊勢原警察署によると、大山での山岳遭難事故は、今年10月末には過去10年で最多となった一昨年の47件を超える49件にのぼった。
その後も事故件数は増え続け、紅葉のライトアップが行われた12月2日までに26件の遭難事故が発生。11月28日には死亡事故も起き、75件に達した。
遭難件数の増加を受け伊勢原署では、多くの登山客が予想される紅葉のライトアップに合わせ、11月19日から12月2日までの土・日・祝日に、大山阿夫利神社下社周辺で軽装の登山客に注意などの声掛けを行い、バス停付近ではチラシの配布や登山者カード提出の呼び掛けなどを実施。しかしながら、声掛けが出来なかった登山客が遭難事故になってしまうケースが多かった。
伊勢原警察署山岳救助隊リーダーの北條保徳警部補によると、救助者の原因の多くは疲労による遭難で、20代から80代まで年齢を問わず遭難原因の一番になっているという。また近年、中高年の低山登山が人気で、大山もその中に含まれていることも、登山客が増えている要因の一つとみている。
「高齢者の中には昔は登れたというイメージのまま登り、途中で動けなくなってしまう例が多くみられる。大山登山は『初級者』でも可能な山であって決して『初心者向き』ではないことを理解してほしい」と訴える。また、街歩きの延長のような服装の登山客も多いことから「体力や装備、登山カードの提出など事前準備を万全にして登山を楽しんでほしい。便利なアプリもあるのでぜひ活用してもらえれば」と呼び掛けている。
環境の変化も原因のひとつか
北條警部補によると、近年、クマザサが減少したことで登山道の岩や木の根がむき出しになり、今まであった段差がなくなるなどが原因で滑落が起きるケースもあるという。「詳しいことは分からないが、実体験として感じている」と話す。