相模湖 「飲食店は無くせない」 地元企業 そば屋継ぎ開店
JR相模湖駅前で30年以上営業し、昨年末に閉店した「そば処濱陣」(与瀬1147の1)が5月7日(水)のグランドオープンに向け準備を進めている。年末に閉店の知らせを聞いた株式会社アトリエヨシノの吉野勝恵代表取締役社長が、「相模湖から飲食店を無くす訳にはいかない」という思いで店を引き継いだ。4月7日にプレオープンし、早くも地域の人が戻ってきている。
「いらっしゃいませ」。プレオープンした翌日の8日正午ごろ、元気の良い声が響く店内はカウンター席が満席になっていた。「オープンしてて良かった」という客の声も聞かれた。
同店は33年前にオープン。駅前で長く地域住民や登山客などに愛されてきた。しかし、店主やスタッフの高齢化、後継ぎがいないことなどを理由に昨年末での閉店を決めた。「リーズナブルで相模湖地域の味」と、週に1〜2回は食べに通っていたという吉野社長。閉店の知らせを聞き「びっくりでショックだった」と振り返る。さらに、店をスケルトンの状態に戻すと聞き、「厨房を無くしてしまったら次に飲食店が来る確率が低くなってしまう。また、相模湖から飲食店が無くなってしまう」と危惧し、「うちの会社がやります」とその場で話したという。
相模湖観光協会の会長も務める吉野社長は、駅前の飲食店が次々と閉店していく状況を憂う。「観光の活性化をしないといけない相模湖で飲食店が無くなるのは困る。社員は驚いていたけど、昔から飲食店をやってみたいという気持ちもあった」と思いを口にする。
その後、同社が飲食部門を立ち上げると、2月末に正式に店の受け渡しが行われた。前店主や従業員の協力を得て、料理のレシピや味はそのまま引き継いだ。店の内装はリニューアルしたが、閉店前の雰囲気は変わらない。新しいスタッフも揃い体制が整ったことで、4月7日にプレオープンした。
再び暖簾を掛けた店について吉野社長は「やるとは言ったけど、『できるかな』という気持ちもあったし、本当に全てが初めてだらけだった。だけど、味はもちろん店名も受け継ぎ、店が継続できてうれしい。地元の人や観光の人、みんなに愛されるおそば屋さんとして、リーズナブルでおいしいおそばを提供していきたい」と話した。
なお、同店の営業時間は午前11時から午後3時。月・金曜定休。駐車場は3台。