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高齢者向け!道具なしですぐできる盛り上がるレクリエーション9選

「みんなの介護」ニュース

藤野 雅一

高齢者向けレクリエーションの目的と効果

今日も同じレクリエーション、盛り上がらないかも…。

そんな不安を抱えながらレクリエーションを企画していませんか?実は、特別な道具がなくても、高齢者の方々と楽しく過ごせる時間を作ることができます。

医師向けメディアONE DOCTORとクーミル株式会社が2024年8月に実施した調査では、55.3%もの方が高齢者施設でのレクリエーションに参加したいと答えています。

でも大切なのは、ただ参加するだけでなく、本当に楽しめる内容であること。

さらに同調査では、参加頻度について週2〜3回が23.7%、毎日が30.3%と、定期的な実施を望む声が多いことも明らかになっています。

このような状況を踏まえると、手軽に実施でき、かつ効果的なレクリエーションの重要性は明らかです。今回は、準備いらずですぐに実践できる、道具なしレクリエーションの魅力をご紹介します。

なぜ道具なしのレクリエーションが重要か

急な時間変更で予定していたレクができない。道具の準備に時間がかかりすぎて、肝心の実施時間が短くなってしまう。そんな経験はありませんか?道具なしのレクリエーションなら、そんな悩みを解決できます。

最大の魅力は、今すぐ始められること。朝のミーティング後でも、おやつの時間の合間でも、参加者の様子を見ながら臨機応変に実施できます。また、道具の使い方に慣れている・慣れていないという差も生まれにくいため、誰もが平等に参加できます。

クーミル株式会社の調査によると、参加者の34.8%が参加者同士のコミュニケーションや交流の促進を重視していることがわかりました。道具に頼らないからこそ、人と人との直接的な関わりが生まれやすいというわけです。

また、バリアフリー設計など快適な施設設備環境を重視する声も20.1%あり、道具を使わないことで、施設の設備に関係なく実施できる利点も大きいと言えます。高齢者施設において、限られたスペースや設備でも効果的なレクリエーションを提供できることは、非常に重要なポイントとなっています。

高齢者の心身機能維持とレクリエーション

レクリエーションは単なる暇つぶしではありません。実は、私たちの想像以上の効果が期待できるのです。

ONE DOCTORの調査結果では、16.8%の方が身体的な活動や運動による健康促進効果を、12.9%の方が認知能力や脳の活性化を期待していると回答しています。さらに、26.1%の方がストレスの軽減やリラックス効果を期待しており、心身両面での効果が期待されています。

特に道具を使わないレクリエーションでは、自分の体が最大の表現道具となります。手を叩く、声を出す、体を動かすといった一つ一つの動作が、実は絶妙な運動になっているのです。

認知機能面では、ゲームのルールを理解し、状況に応じた判断を行うことで、注意力や記憶力の維持に効果があります。他の参加者の動きに反応して行動することで、反応速度も自然と改善されていきます。

レクリエーションによるコミュニケーション促進効果

道具を使わないレクリエーションの醍醐味は、まさにここにあります。例えば、ジェスチャーゲームでは、相手の表情やしぐさを読み取りながら、自然と会話が生まれます。惜しい!という声が飛び交い、いつの間にか笑顔があふれる空間に変わっていくのです。

同調査では、29.7%の方が同じ施設やグループの仲間と一緒に参加したいと答えています。また、参加者同士のコミュニケーションや交流の促進を重視する声が34.8%を占めており、レクリエーションが人と人を結ぶ架け橋となっていることがわかります。

興味深いのは、レクリエーション活動に参加する際の基準として、同じ趣味や興味を持つ人との交流を望む声が16.2%ある一方で、どんな人とも一緒に参加できると回答した方も12.3%いることです。この結果は、レクリエーションが新しい出会いや関係作りのきっかけとなる可能性を示しています。
 

すぐに実践できる!道具なしの盛り上がるレクリエーション

では、実際にどのようなレクリエーションが効果的なのでしょうか。ここでは、すぐに実践できる道具なしのレクリエーションを、目的別に紹介していきます。

座ったままでもできる認知機能向上レク5選

①しりとり連想ゲーム

通常のしりとりに、言葉から連想できるものを説明するルールを加えることで、より深い会話が生まれます。例えば「さくら」と言った後に、思い出の桜の話や、お花見の思い出を語ってもらうことで、自然と回想法としての効果も期待できます。

実施方法として、6~8人程度で円になって座ります。進行役は「その桜はどんな色でしたか?」「お花見には何を持って行きましたか?」など、会話を広げる質問をしていきます。認知症の方には、季節の写真を見せながら行うと参加しやすくなります。

②パタカラ体操

パ行、タ行、カ行、ラ行の音を順番に発音することで、口腔機能の維持・向上を図ります。これに手拍子を加えることで、リズム感も養えます。さらに、歌に合わせて行うことで、より楽しく継続的に取り組むことができます。

具体的には、「パ・タ・カ・ラ」の音を、はっきりと大きな声で発声していきます。まずは1音ずつゆっくりと3回ずつ(パ・パ・パ、タ・タ・タ…)、慣れてきたら「パタカラパタカラ」とつなげて発声します。「パ」で手を叩き、「タ」で膝を叩くなど、部位を変えることで、より効果的な運動になります。

童謡や演歌など、参加者になじみのある曲に合わせると、より楽しく続けられます。

③数字の足し算ゲーム

2人以上で行うゲームで、交互に1から3までの数字を言い、合計が20になることを目指します。

20を超えた人の負けというシンプルなルールですが、計算力と戦略的思考が必要となり、認知機能の維持に効果的です。

具体的な進め方としては、参加者が順番に1から3の数字を選んで言っていきます。

例えば、1番目の人が「2」と言い、2番目の人が「3」と言えば合計5に。ここで3番目の人が「3」と言うと合計8になります。次の人に移る前に、必ず「今の合計は○です」と全員で確認することで、計算力の維持につながります。

19まで来た時に、次の人が必ず負けになるという戦略的な面白さもあり、頭の体操として最適です。

④ご当地クイズ

参加者の出身地や思い出の場所にまつわるクイズを出し合います。特産品や名所、方言など、テーマは様々です。このゲームは、記憶力の活性化だけでなく、参加者同士が互いの人生経験を知る良いきっかけとなります。

実施の際は、進行役が「この地域の夏の名物といえば?」「この地域で有名な温泉は?」などの質問を投げかけます。参加者から「はい!」という声が上がったら指名し、答えてもらいます。

正解が出たら「その温泉に行ったことがある方はいらっしゃいますか?」と話を広げ、思い出話へとつなげます。地域の古い写真や郷土料理の写真があれば、それを見せながら進めるとより記憶が呼び起こされやすくなります。

⑤右左反対ゲーム

指示された動作を右左逆に行うゲームです。例えば「右手を挙げて」と言われたら左手を挙げる、という具合です。単純な動作でありながら、指示と反対の動きを意識することで、脳の活性化を促します。

具体的には、最初は「右手を挙げて」→左手を挙げる、「左耳を触って」→右耳を触るなど、基本的な動作から始めます。慣れてきたら「右手を挙げて、左足を上げて」など、2つの動作を組み合わせていきます。

間違えても笑って済ませ、むしろ間違いを楽しむ雰囲気を作ることで、参加者がリラックスして取り組めます。テンポよく指示を出すことで、反応速度の向上も期待できます。

グループで楽しむコミュニケーションレク5選

グループでのレクリエーションは、クーミル株式会社の調査で明らかになった「社交的な交流」への期待に応える重要な活動です。参加者同士の自然な交流を促す、以下のレクリエーションを紹介します。

①伝言ゲーム

参加者同士のコミュニケーションを楽しみながら、聴覚や記憶力も使うゲームです。8~10人程度の参加者が円になって座り実施します。進行役が最初の人に「秋の味覚の松茸ごはん」などの季節感のある文章を伝え、順番に耳打ちで次の人へと伝えていきます。

最後の人まで伝わった言葉を発表し、どのように変化したかを楽しみます。

最初の言葉と最後の言葉を比べることで自然と笑いが生まれ、コミュニケーションが活性化します。

認知症の方も参加しやすいよう、初めは5人程度の少人数から始めることをお勧めします。

②私はだれでしょうゲーム

想像力を働かせながら、質問を通じて参加者同士が交流できるゲームです。

進行役が参加者の一人に「犬」「猫」「象」など、誰もが知っている動物や、「お相撲さん」「野球選手」など、分かりやすい職業をお題として伝えます。

他の参加者は「大きいですか?」「肉は食べますか?」など、はい・いいえで答えられる質問を順番にしていき、お題を絞り込んでいきます。

質問は一人3回までとし、答えが分かった人は手を挙げて回答します。

お題は参加者の年代に合わせて、昭和の歌手や俳優などにすると盛り上がるでしょう。

③思い出話リレー

まず進行役が「運動会の思い出」「好きだった給食」「遠足の思い出」など、誰もが経験したことのあるテーマを設定します。

参加者は順番に1分程度で思い出を語ります。例えば「給食のソフト麺が大好きでした。特に夏の日に出る冷たいソフト麺は最高でしたね」といった具合です。共通の思い出があると「私も!」と自然と会話が広がります。

認知症の方には、写真や実物(給食のはしやエプロンなど)を見せながら思い出を引き出すことも効果的です。

これは参加者同士の共感を引き出し、世代を超えた交流を生むアクティビティであり、いわゆる「回想法」としても有効です。

④感情表現ゲーム

進行役が「うれしい」「悲しい」「怒っている」「驚いた」などの感情を指定し、全員でその感情を表情と動作で表現します。

「今、宝くじが当たった時のうれしい顔をしてください」「大好きなケーキを落としてしまった時の悲しい顔をしてください」など、具体的な場面を設定すると表現しやすくなります。

他の参加者の表情を見て真似をしたり、笑い合ったりすることで、自然とコミュニケーションが生まれます。

高齢者向けレクリエーションを成功させるポイント

安全に実施するための3つの注意点

1つ目は、開始前の体調確認です。特に血圧の変動や疲労感には注意が必要です。参加者一人一人に「今日の調子はいかがですか?」と声をかけ、表情や返答から体調を確認します。気になる様子が見られた場合は、見学での参加を提案するなど、柔軟な対応を心がけましょう。

2つ目は、適切な環境作りです。座る位置や姿勢が安定しているか、車いすのブレーキはかかっているか、動作の範囲は十分か、など細かなチェックが必要です。特に、座ったまま行うレクリエーションでも、興奮して急に立ち上がることがありますので、周囲に危険な物を置かないよう注意します。

3つ目は、こまめな休憩と水分補給です。レクリエーションに夢中になると、疲れや喉の渇きを感じにくくなります。15分程度の活動ごとに短い休憩を入れ、必要に応じて水分補給を促します。季節や室温にも配慮し、特に夏場は頻繁な休憩を心がけましょう。

参加者の状態に合わせた実施方法

同じレクリエーションでも、参加者の認知機能や身体機能によって適切な実施方法は異なってきます。例えば「しりとりゲーム」を例に具体的な調整方法を説明しましょう。

認知機能が比較的保たれている方の場合は、「食べ物限定」「3文字言葉限定」などのルールを追加すると、より楽しめる可能性があります。

一方、認知機能の低下が見られる方には、進行役が選択肢を示す(「りんご」の「ご」なら、「ごはん」「ごま」「ごぼう」などを提示する)ことで、参加しやすくなります。

また、聴覚に不安のある方が参加する場合は、大きな文字で書いたカードを用意したり、ジェスチャーを交えたりすることで、情報が伝わりやすくなります。視覚に不安のある方に対しては、はっきりとした声で、ゆっくりと説明することを心がけます。

参加者の様子を見ながら、「もう少し簡単にしましょうか?」「次は少し難しくしてみましょうか?」と声をかけ、その日の状態に合わせて調整することが大切です。

また、利用者の状況に合わせたグループ分けをするのもポイントです。

例えば、グループの中に一人だけ難聴の方がいた場合、ご本人が気にしてしまい楽しめないといった可能性もあります。支援者のフォローによって回避できる場合は問題ありませんが、できれば配慮のうえでグループ分けをするようにしましょう。

レクリエーションを盛り上げるための進行のコツ

道具なしのレクリエーションを成功させるには、進行役の声かけやタイミングが重要です。

第一に、参加者全員が見渡せる位置に立ち、明るく大きな声で話しかけることです。「今日は皆さんと一緒に楽しい時間を過ごしたいと思います」など、期待感を高める言葉から始めると、参加者の気持ちが前向きになります。

第二に、参加者の発言や行動に対して、必ず反応することです。例えば「私の故郷は長野です」という発言があれば、「長野といえば美味しいりんごの産地ですね」と話を広げます。このような受け応えにより、参加者は自分の発言が大切にされていると感じ、より積極的に参加するようになります。

第三に、失敗を恐れない雰囲気作りです。「間違えても大丈夫です、みんなで楽しく過ごしましょう」と最初に伝えておくことで、参加者はリラックスして活動に取り組めます。進行役自身が時には冗談を交えたり、わざと間違えたりすることで、より和やかな雰囲気が生まれます。

さらに重要なのは、参加者の様子を見ながらの柔軟な対応です。盛り上がっている時は、その流れを大切にし、疲れが見えてきたら適度な休憩を入れます。「もう少し続けましょうか?」「ここで休憩にしましょうか?」など、参加者の意思を確認しながら進めることで、全員が心地よく参加できます。

最後に、活動の締めくくり方も大切です。「今日は皆さんのおかげで、とても楽しい時間を過ごすことができました」「次回も皆さんと一緒に楽しみたいと思います」など、感謝の言葉と次回への期待を伝えることで、継続的な参加意欲を引き出すことができます。

このように、道具なしのレクリエーションは、進行役の工夫次第で、より魅力的な活動となります。参加者一人一人に寄り添い、その日の状況に合わせて臨機応変に対応することで、心温まる交流の場を作ることができるのです。

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