横浜FCと清水エスパルスが王手の昇格争い。残り4試合、藤枝MYFCのプレーオフ入りに希望はあるか
【サッカージャーナリスト・河治良幸】
2024シーズンのJ2は第34節まで終えて、残り4試合。首位の横浜FCと2位の清水エスパルスが、J1昇格に王手をかけている。
清水としてはホームのモンテディオ山形戦に勝利し、ぜひともアイスタ日本平で昇格を祝いたい。数字上は3位のV・ファーレン長崎にも逆転昇格の可能性はあるが、清水はアウエーの栃木SC戦を挟んで最後の2試合もホームゲームであることを考えると、自動昇格の可能性は限りなく“100”に近い。
もし横浜FCと清水の昇格が決まれば、その後は3位から6位までの4チームに与えられる昇格プレーオフ枠を巡る戦いに注目が集まるだろう。
長崎は現在の勝ち点が63で、4位のジェフ千葉とは勝ち点8も離れているので、よほどのことがない限りはプレーオフの一枠を確保するだろう。4位千葉、5位ファジアーノ岡山、6位ベガルタ仙台は勝ち点55で並んでおり、7位の山形も勝ち点54でほとんど差がなく、残り4試合にプレーオフ入りをかける。
8位のいわきFCは現在の勝ち点が51で、6位の仙台とは勝ち点4差と十分に射程圏内。9位のブラウブリッツ秋田が48、10位のレノファ山口が47、11位の藤枝MYFCが46。さらに勝ち点45で12位の徳島ヴォルティスまで数字上は可能性を残すが、勝ち点差と残り試合数を考えると、苦しい立場にあるのは間違いない。
数字上は難しくても…
藤枝は開幕当初から、須藤大輔監督が昇格プレーオフを現実的な目標に掲げて戦ってきた。開幕4試合で1分3敗、序盤の11試合で2勝2分7敗とスロースタートだったが、第12節のアウェー水戸戦で3−2と競り勝ち、上昇気流に乗った。
ここまでの藤枝の戦いぶりを見ると、下位や順位が近い相手との試合はうまく主導権を握って、勝ち点3に結びつけているが、横浜FCと清水に連敗するなど、上位との対戦でなかなか勝ち点を拾えていない。
前節のホームいわき戦で終盤に追いつかれて1−1で引き分けたのは痛かった。4位千葉、5位岡山、6位仙台とは勝ち点9差で、得失点差も加味すると、藤枝が仮に4連勝で終えても、この3チームが1勝でもすると逆転でのプレーオフ入りは難しい。まずは勝ち点1差で12位の徳島ヴォルティスにアウエーで引導を渡して、上位に少しでもプレッシャーをかけていきたい。
かすかな希望をつなげるか
藤枝にとっての希望は徳島戦の後に来るホームの千葉戦、アウェーの岡山戦だろう。つまり、この2試合でプレーオフ圏内の2チームを直接叩くことができる。
千葉にはアウェーの1試合目で0−4の大敗を喫している。しかも元藤枝のMF横山暁之に“恩返し弾”を決められての悔しい敗戦だった。岡山にもホームで0−1で敗れており、難しい戦いになるだろう。徳島、千葉、岡山に勝利して、最終節のアウェー秋田戦に望みをつなげられるか。
ただし、秋田にはホームで1−0の勝利を飾っているとは言っても、相手の割り切ったロングボールに苦しみながらも耐えて、後半アディショナルタイムに中川風希が一度相手ブロックに阻まれたボールを強引に押し込む、泥臭いゴールでなんとか勝ち切った形だ。現在9位の秋田は藤枝より勝ち点2上回っている。最終節の段階で、両者の位置付けがどうなっているかも勝負に大きく関わってくるかもしれない。
今必要なマインドとは…
4連勝のためには守備が安定していることが絶対条件になってくる。その意味でも、前節のいわき戦で揃って出場停止だった山原康太郎と中川創の奮起に期待がかかるが、点を取らないことには勝ち点3は入ってこない。
攻撃のキーマンは得点ランキング3位の15ゴールを記録しているFW矢村健だ。特にここ8試合で7得点を挙げており、頼りになる存在だ。ただし、徳島、千葉、岡山との試合では藤枝も矢村も得点できていない。ラストパスの供給源である梶川諒太はもちろん、夏に加入した若きストライカー千葉寛汰の存在も重要性を増してくるだろう。
前半戦にいなかった戦力としては右ウイングバックのモヨ・マルコム強志もアドバンテージになりうる。パワーと推進力を兼ね備えたモヨが藤枝の攻撃に迫力をもたらすことは間違いないが、ここまで目に見える結果は残しておらず、残る4試合で数字がほしいところだ。
藤枝が4連勝しても、上位のライバルが崩れなければプレーオフ圏内には届かない。しかし、それでも自分たちが勝利を重ねていかなければ、希望は繋がっていかない。4位の千葉も藤枝戦の他にヴァンフォーレ甲府、長崎、山形と厳しいカードばかりを残しており、5位岡山も6位仙台も横浜FCとの試合を残している。
藤枝としては周りを気にするより、目の前の試合を一つ一つ全力で勝ちにいき、ライバルの結果を待つ。そういうマインドが大事になるだろう。