【黒部ダム 2025】高さ186mから毎秒10t以上! 圧巻の観光放水が6/26からスタート
堰堤の高さが186mと日本一を誇る黒部ダム。
右岸から左岸へわたるだけで10分近く要する、長さ492mのダムは見るだけで迫力に圧倒されますが、さらに夏から秋のシーズンにかけて見られるのが放水。轟音を響かせながら描かれる水のアーチは近くで見れば怖さすら感じるほどで、運がよければ虹がかかることもあります。
展望台からは標高3000mの北アルプス連峰に囲まれた奥深い自然とエメラルドグリーンの湖面を背景に鮮やかな放水を臨むことができ、五感すべてで体感したい絶景です。
2025年シーズンの観光放水は6月26日から10月15日まで。黒部ダムの見どころも合わせて紹介します。
黒部ダムってどこにある?
3000m級の山々が連なる北アルプス立山連峰。
その山中を貫いて富山県と長野県を結ぶ立山黒部アルペンルートは、富山が世界に誇る山岳観光スポットです。
そんなアルペンルートのなかでも一大観光スポットとなるのが「黒部ダム」。
長野県大町側からのアクセスが早いことから、黒部ダムがあるのは長野県と勘違いしている人も少なくないようですが、実は富山県立山町にあります。
日本の高度経済成長を象徴する黒部ダム
黒部ダムが完成したのは、1963(昭和38)年6月5日。
約60年前、高度経済成長期の真っ只中にあった日本は、急速に進む重工業化とは裏腹に電力不足に悩まされていて、安定した電力の確保が国全体の大きな課題となっていました。
そこで白羽の矢が立ったのが、日本一深いV字峡谷で世界有数の豪雪地帯でもある黒部峡谷。豊富な水量と大きな落差により大きなエネルギーを得られることから、黒部ダム(黒部川第四発電所、通称「くろよん」)の建設が計画されました。
しかし、水力発電に適した好立地であることは確かなものの、人を寄せ付けない厳しい自然環境で工事がきわめて難しいのも事実。戦前から何度も構想と失敗を繰り返していた黒部峡谷で、実際にダム工事が始まったのは1956年でした。
工事に7年もの歳月を要した黒部ダム。完成から60年以上経った現在でも、堰堤の高さは186mで、日本一。さらに、492mという長さ(堤頂長)も、アーチ式コンクリートダムとしては日本一を誇ります。
日本の“最後の秘境”と言われた黒部峡谷の深部に作られた日本最大級のダムは、有名な映画『黒部の太陽』にも描かれている通り、戦後日本の経済復興をかけた一大プロジェクトであり、大自然に人間が挑んだ世紀の大工事でもありました。
▽完成当時の60年前の貴重映像で知る黒部ダム
観光放水が見られるのはいつ?
黒部ダム観光放水
実施期間:2025年6月26日(木)~10月15日(水)
【放水時間】
6月26日~7月31日(6:00~17:30)
8月1日~9月10日(6:30~17:00)
9月11日~10月15日(7:00~16:30)
立山黒部アルペンルートの観光シーズンは、毎年4月中旬から11月末まで。その間も黒部ダムを訪れることはできますが、観光客向けの放水が行われるのは6月下旬から10月中旬までの期間だけです。
発電用に建設された黒部ダムですが、この放水自体は電力を作るためのものではありません。発電施設自体は地下に作られているため、放水は黒部川下流の生態系を守り、また、観光客に楽しんでもらうために行われています。
1秒間に10tを超える放水量は大迫力!
轟音を肌で感じながら、ダイナミックな水のアーチを存分に楽しんでください。
アクセス
黒部ダムは、3000m級の山々が連なる中部山岳国立公園内を横断する立山黒部アルペンルートにあり、富山側と長野側の両方からアクセスできます。
スピード重視なら長野県側からが便利
短時間で辿り着きたいなら、長野側からのアクセスが最適です。
玄関口となるのは、長野県大町市の扇沢駅。
そこから電気バスで関電トンネルを進むこと約16分。あっと言う間に黒部ダムに到着です。
東京駅から新幹線や高速バスなどを乗り継いで来るとしても、4時間程度で日本最大級のダムを見ることができます。
景色を楽しむなら富山県側から
富山県側の玄関口となるのは、富山地方鉄道の立山駅。
それから立山ケーブルカー、高原バスと乗り継いで、標高2450mの「室堂ターミナル」に辿り着きます。
室堂ターミナルからは、トロリーバスに代わって2025年シーズンから運行が始まった電気バスに乗って大観峰へと向かいます。
電気バスが走る立山トンネルは、立山の主峰・雄山の直下を通る3.7kmのトンネルです。
さらに、立山ロープウェイ、黒部ケーブルカーと乗り継いで、ようやく黒部ダムに辿り着くことができます。
ちなみに…立山ロープウェイは、途中に支柱がない「ワンスパン方式」として日本一長い約1.7kmを誇るロープウェイ。また、冬季の雪害対策と自然環境への配慮から全線が地下となっているケーブルカーも、日本で唯一ここだけのものです。
これだけの乗り物を乗り継いでいくため、東京駅をスタートして黒部ダムに辿り着くまでの時間は、寄り道などせずにスムーズに進めたとしても約7時間!
ただし、道程ではいろいろな日本唯一の乗り物に乗ることができ、かつ、窓からは北アルプス・立山連峰の雄大な絶景を満喫することができるので、時間に余裕のある方や乗り物好きの方にはオススメです。
【立山黒部アルペンルート 室堂ターミナル】
住所 富山県中新川郡立山町芦峅寺