子どもの脳に刻まれるストレスの影響──心の傷が未来を左右する理由とは 【眠れなくなるほど面白い 図解 メンタルの話】
子ども時代の強烈なストレスは大人になっても引きずる
未熟な脳へのストレスは影響が大きい
人間の脳が、大人としての脳になるのはいつなのかというと、実はけっこう遅くて25歳ぐらいです。生まれてから脳は徐々に成長していきますが、思春期に入ると「第二の誕生」と呼ばれる形で成長は加速します。思春期以降、だんだん複雑なものや抽象的なものも考えられるようになっていき、親や友人を疑ったり、ときに結託し、社会や親世代らに反抗できるようになります。
しかし、子ども時代の未熟な脳のときに、虐待やいじめといった強烈なストレス体験をすると、発達が遅れたり、大人になってからの精神疾患の発症率が増えることが知られています。たとえば、うつ病やPTSD、双極症や統合失調症、依存症といった病気の発症につながります。若い草木が踏まれて茎が折れると、成長できても、うまく伸びていかないのと似ています。ストレスを受けた直後だけでなく、何年も経ってから発症するケースもあるのです。
また、精神疾患には至らなくても、自己評価が低くなったり、人を信頼できなくなったりといった心の傷を抱えたまま大人になるケースも少なくありません。本当は他人を信用したいけれど、過去のトラウマから「またいじめられるのではないか」「ひどいことをされるのではないか」といった不安が拭えず、苦しむこともあります。子ども時代の強いストレスは、それだけ脳に深刻な影響を与えるのです。
トラウマがもたらす影響
強烈なストレス体験親からの虐待ネグレクト大人からの性的暴行同級生からのいじめ
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子どものうつ病
成長途上の未熟な脳に悪い影響を与えてしまうトラウマとなって残る
大人になってから、うつ病などになりやすい
精神疾患うつ病複雑性 PTSD侵入症状回避覚醒・反応気分変動性自己肯定感低下不安障害摂食障害強迫性障害など考え方への影響自己評価が低い人を信頼できない安心できない内面は未熟不安を感じやすい
大人になってから心の病気がどんどん悪化40代、50代で発症するケースもある
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 メンタルの話 』監修:益田 裕介