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【第70回浜松市芸術祭 はままつ演劇フェスティバル2024「オムニバス公演」】 容原静さん、演劇ユニットデッグデッグアー、会心之一撃団。満腹で帰路に

アットエス

静岡新聞論説委員がお届けするアートやカルチャーに関するコラム。今回は浜松市中央区の浜松市鴨江アートセンターで1月18~19日開催の第70回浜松市芸術祭 はままつ演劇フェスティバル2024「オムニバス公演」を題材に。(写真・文=論説委員・橋爪充)

1928年に浜松警察署庁舎として建設され、2013年からは文化拠点として活用されている歴史的建造物の一室で、県内外の劇団の演目が入場料1000円で三つ見られる。足を運ぶ側にとっては「お得」だが、安かろうまずかろうでは決してない。18日午後7時の公演を見たが、各30分ほどの3演目はそれぞれに強烈な色が感じられた。満腹で帰路に就いた。

奈良県で活動している容原静さんの独白劇「終演挨拶」は、とある劇団の解散公演終了後の代表挨拶をひたすら繰り返すというメタ的な内容。繰り返し述べられる「私の半生を演劇的に回想しました」を枕に、幾多の言葉が費やされる。「あれ、さっきもこの話聞いたぞ?」という感覚とともに、だんだん「その演劇」がどういうものだったか、輪郭がおぼろに見えてくる。

静岡県西部の高校演劇部卒業生による「演劇ユニットデッグデッグアー」の「十日後に騙される男」は、偽装結婚を迫る女、ギフトカード詐欺を持ちかける女の間で右往左往する男の10日間。急死した女友達のささやき声にも翻弄され、流されるようにして無為に時間が過ぎていく。悲劇的な結末は自業自得とも言えるか。ジャック・ホワイトの歌声、色彩的な工夫も印象に残った。

静岡市を中心に活動する「会心之一撃団」の「裏表/新訳『そば清』」は、落語「そば清」を映像を交えて現代的に解釈。そばの大食い、うわばみと薬草といった原作のモチーフを、パンの大食いに挑戦するYouTuberに置き換えた。食パン60枚に挑戦する映像の男と、目の前でパンを食べる男。どちらが虚でどちらが実なのか。境目を見失う瞬間があり、演劇のスリリングさを味わった。

<DATA>
■第70回浜松市芸術祭 はままつ演劇フェスティバル2024「オムニバス公演」
【19日の公演予定】
午前11時開演 おはなつみっこ、会心之一撃団、容原静
午後1時半開演 演劇ユニットデッグデッグアー、試験管ベビー、Moipa Miraミラミラ
午後4時開演 といしば企画、容原静、流体プリズム
会場:浜松市鴨江アートセンター(浜松市中央区鴨江町1)
観覧料:1000円(各回34席)
※チケットは完売の可能性あり。詳細、チケット予約は浜松アーツ&クリエイションの公式サイト(https://www.hamamatsu-artscreation.jp/event/event-2662/)参照

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