【リスク孕む高齢化】新潟県の「社長の平均年齢」は61.6歳で全国6位、過去最高を34年連続で更新
社長の高齢化に歯止めかからず
帝国データバンクの調べによると、新潟県内企業の社長平均年齢は、2024年時点で前年を0.1歳上回る61.6歳となった。統計として遡れる 1990 年から毎年上昇しており、34 年連続で過去最高を更新。社長交代率は 3.80%で、前年
(3.74%)をやや上回ったものの、3%台に低迷している。
一方、社長交代前の平均年齢(71.0 歳)に対し、社長交代後の新社長の平均年齢は 52.6 歳となり、社長交代によって18.4歳若返る結果となった。
2024 年時点における社長の年代別構成比をみると、「50 歳以上」が 83.9%を占めた。2024 年はいわゆる「団塊ジュニア」世代の多くが50歳を超える時期であり、8年連続で8割を上回るなど上昇が続いている。また、「60 歳以上」で区分しても56.0%と半数を超えている。
全国47都道府県別でみると、秋田県(2023年比+0.1歳)と岩手県(同+0.2歳)が62.6歳で最も高かった。岩手県は5年ぶりのトップとなった。以下、高知県(62.5歳、同+0.2歳)、青森県(62.3歳、同+0.1歳)が続いた。とりわけ、東北地方の6県すべて全国平均(60.7歳)を上回り、社長の高齢化が顕著となっている。
一方、最も低かったのは三重県の59.6歳(同+0.2歳)で、8年連続で最低となった。その他、愛知県や沖縄県(いずれも59.7歳)など、60歳を下回ったのは7府県だった。総じて、都道府県別の社長平均年齢は「東高西低」の傾向が強い。その中にあって、新潟県の「61.6歳」は47都道府県中6番目ときわめて高水準である。
一方で、「30歳未満」は0.1%、「30代」は2.1%にとどまり、30代以下の社長は全体の3%にも満たない状態となっている。近年は全国的にスタートアップなど新興企業を中心に若手経営者に注目が集まり、例えば2024年にはタイミー(東京都港区)の小川嶺氏が、当時27歳で東証グロース市場に上場を果たしたことで話題となった。全国的にはこうしたトピックスこそみられるものの、新潟県内では経営者の高齢化が進行しているのが実態である。
業種別では「不動産」が最高齢
社長の平均年齢を業種別でみると、「不動産」が 64.5 歳でトップとなった。このほか「卸売」や「運輸・通信」も 62歳を超えるなど、「その他」を除く7業種全てで60歳を超えたほか、1995年との比較では全業種が上回る結果となった。
交代した社長の就任経緯を分析すると、「同族継承」が48.4%と5割近くを占め最高となり、「内部昇格」が27.7%で続いた。「出向」は13.0%だった。
就任経緯別に社長交代前後の平均年齢をみると、「同族継承」が交代前の平均年齢では72.1歳で最も高く、「出向」が67.1歳と最も低かった。一方、交代後では「出向」が60.1歳で最も高く、「同族継承」が48.1歳で最も低かった。交代前と交代後の年齢差でみると、「同族継承」が年齢差24.0歳と最も大きく、若返りが大幅に進んでいる結果となった。
新潟県における社長の平均年齢は 61.6 歳となり、過去最高を更新した。社長が「50 歳以上」である企業の割合は引き続き 8 割を越えるなど、「社長の高齢化」は一層深刻となっている。社長交代率も低水準にとどまるなか、今後も社長の平均年齢は上昇し続けるとみられる。
社長高齢化のリスク
2019 年、中小企業庁は「2025 年までに 70 歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約 245万人となり、うち約半数の 127 万人が後継者未定」1との試算を発表しているが、鈍化する社長交代率を背景に平均年齢の上昇に歯止めがかからない状態が続いている。今後は事業承継が進まずに事業継続を断念せざるを得ないケースがさらに増加する可能性がある。
こうした結果の一つとして、全国的に「経営者の病気・死亡」による倒産が増加している。2 2024 年には316 件判明し、過去最多の件数を記録した。社長が高齢になれば「不測の事態」が生じる可能性は高まり、企業経営にも重大な影響を及ぼしかねない。社長の高齢リスクが高まるなか、十分な期間を設けた事業承継に向けた周到な準備が求められる。
【出典】帝国データバンク・新潟県企業・「社長年齢」分析調査(2024年)
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